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ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

第106回 「寝て待つ」ことも大切な仕事

イベント紹介 「かわいそう」「大変そう」といった福祉機器が持つイメージを転換させるイベント
【2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展】@渋谷ヒカリエ

 先日、補助犬3種のユーザーさんにご協力いただき、秋晴れの気持ちのよい霞ヶ関の駅に降り立ち、勉強会の会場まで一緒に歩きました。ユーザーさん達の緊張をよそに、補助犬達の表情はいつもと変わらず堂々としており、秋の音や匂いを楽しみながら、シッポフリフリ歩いてくれている様子に、非常に心強く感じました。そして、どんなに人が緊張していても、そこに笑顔を生み出してくれる、そんな素晴らしい力を持っている犬達に、改めて感謝しました♪

『待機という名の爆睡』は、補助犬にとって
最も大切なお仕事です♪

 今回の勉強会は、いつもとはちょっと違いました。会場は国交省の会議室。複数の事務次官の皆さんが集まってくださり、「ユニバーサルデザイン社会の創造」をテーマにした自主勉強会です。貴重なお昼休みを利用して、おにぎりを食べながらの1時間半。現役事務次官4名のほか、元事務次官経験者他、関係者総勢約30名での実施となりました。

 「事務次官」というと、官僚トップの皆様……。さすがにユーザーの皆様の表情も、最初はこわばっておられましたが、補助犬3種が並び、いつもと変わりない『待機という名の爆睡』の様子に、開始前から参加者の皆さんから「かわいいね~♪」の声がかかり、とても和やかな空気のなか、会は始まりました。
 皆さんの眼差しが温かで、フランクに接してくださったのが、非常に印象的でした。皆さんが、素直に学ぼう!という姿勢を持ってくださるのが伝わるほどの近い距離での勉強会。このような素晴らしい機会をいただけたこと、主催者の竹中ミナミ様に心より感謝です!

 冒頭、盲導犬ユーザーさんから、先日の徳島での盲導犬ユーザー交通事故死に関するお話が行われ、続けてご自身の体験談から下記のようなお話をいただきました。

  • ・生活音の中には、騒音として対応(消去)されている音が多くあるが、それを命の絆として、大切な情報源として生活している視覚障害者がいるのだということを、社会へ周知していただきたい
  • ・盲導犬の歴史は最も長いので、我々は多くの同伴拒否などの問題に長年取り組み、尽力してきた。これからはさらに、就労問題や安心安全な住居の問題等に取り組んでいきたい
  • ・私たち盲導犬使用者は、単に自分たちが常に被害者意識で対応するのではなく、私たち自身も、自分とパートナーの生活は守るという前向きな考え方で対処していきたい。まずは、夜間の交通事故をなくすにはどうしたらよいかを考えていきたい

 続けて、介助犬ユーザーさんから、「介助犬が来たことにより、大変になった部分も当然あるが、それを加味しても非常に幸せだ。なぜこんなにも幸せなのかはわからないが、介助犬を持つ前と今とでは大きく人生が変わった!」とのお話があり、皆さん大きく頷いて聞いてくださっていました。

さらに、車椅子利用者として、多くの施設内での縦の移動性(エレベーター等)の脆弱さに関してのお話もありました。そして、下記のような公共交通機関を利用する際の実体験を、具体的な事例に沿ってわかりやすくお話しいただきました。

  • ・鉄道を利用する際に、何日も前に予約を入れないといけない
  • ・窓口に行っても、長時間待たされることは日常茶飯事である
  • ・エレベーター利用時のマナー違反の増加に伴い、ぜひとも、エレベーターでしか移動ができない人がいることを知っていただきたい!
  • ・身障者用トイレや駐車場のマナー違反が目立つ

 最後に、聴導犬ユーザーさんお二人に来ていただき、タイプの違う犬種を並んで見ていただくこともできました。皆さんからは、やはり、「聴導犬は初めて見た!」という声が挙がり、「補助犬=ラブラドール」という思い込みに気づいていただけるきっかけにもなりました。
 また、「聴導犬と共に暮らすとはどういうことか?」「聴導犬がもたらしてくれる心の安心・安全」に関するお話とともに、最近の同伴拒否事例を紹介し、補助犬法啓発の不足を訴えました。

  • ・聴導犬は最も知られていないので、未だにペット扱いされることが多くある
  • ・「聴導犬を連れている=聴覚障害者」という認知に繋がることで、安心・安全に繋がる
  • ・聴覚障害者にとっては、目から見える文字情報がすべて。情報保障の確保を、さらに進めていただきたい

 その他、当会としても、複数のユーザーさんからご意見をいただいており、それらを資料として提出させていただきました。

 事務次官の皆様からも一言いただきましたが、皆様一様に「勉強になった」と話してくださいました。なかでも、「普段テレビなどでも目にする機会はあったが、皆さんの生の声を聞いたことで、報道から得られる情報とは少し違うな、と感じる部分が多々あった。報道のあり方に関しても、十分検討が必要だと感じた」とのご意見が、非常に的を射ており、さすがだな~!と感じました。これを契機に、引き続き当事者の声を伝えてまいりたいと思っております。

 終了後、ユーザーの皆さんと遅いお昼ご飯をいただきました。やはり、視覚障害者の方と聴覚障害者の方と、車椅子の方とで盛り上がるお話は、非常に痛快で楽しかったです! 途中、視覚障害者の方の発言を、私が口話と簡単な手話を交えて通訳するサポートをさせていただきましたが、皆さんまだまだ話し足りないご様子。そんな空間に同席できたことで、私もたくさんのパワーをいただきました。ありがとうございました♪

ご寄付のお願い

 当会の使命は、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人と動物に優しい社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

  • ※ 2015年7月、日本介助犬アカデミーより「日本補助犬情報センター」へ名称変更いたしました。
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