メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

ほじょ犬って、なあに?

橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

身体障がい者の生活を支える、「盲導犬」「介助犬」「聴導犬」。そんな補助犬たちにまつわる話を紹介するコーナーです。

プロフィール橋爪 智子 (はしづめ ともこ)

NPO法人日本補助犬情報センター専務理事 兼 事務局長。
OL時代にAAT(Animal Assisted Therapy:動物介在療法)に関心を持ち、ボランティアをしながら国内外で勉強を始める。1998年、米国DELTA協会(現・米国Pet Partners協会)の「Pet Partners® program」修了。2002年より現職。身体障害者補助犬法には、法律の準備段階からかかわっている。

第73回 飲食店の大きな誤解!

 みなさん、3月3日はお雛祭りでもありましたが、【耳の日】でもあったんですよ♪
 各放送局で字幕放送も増えて来ています! リモコンの『字幕』ボタンをONにし、音量を0にして、字幕体験を楽しんでみては如何でしょうか?(^o^)/
 生放送字幕もたくさんあります。大相撲を字幕で見てみるなんて、おもしろそうですね♪↓

 さて、今日は飲食店の大きな誤解について、考えてみます。

補助犬達は飲食の間、足元で大人しくしています。もし、体やシッポが邪魔になっていたりしたら、それはハッキリと伝えて下さい。場所を移動させるなどして対応可能です。

 飲食店は、補助犬ユーザーさんが最も訪れる回数が多い所であると同時に、最も同伴拒否をされる所でもあります。それはもちろん、機会が多いから、おのずとそうなるのだと思いますが、他の理由として「食品を扱う所」ということも、単なる買い物で短時間滞在するような業態よりは、ハードルが高いのかもしれません。

 飲食店で同伴拒否をされる際に、未だに良く耳にするのが、「保健所からの指導で、動物は入れてはいけない事になっておりまして・・・」という言葉。本当にそうなのでしょうか・・・?

 正解は・・・全くの誤解、なのです。
 保健所の指導というのは、食品衛生法上の指導となります。各自治体に食品衛生法施行条例があり、その中の「第二 衛生措置」の「二 共通事項」「(一)施設の管理」に「ト 作業場には、営業者及び従事者以外の者を立ち入らせたり、動物等を入れたりしないこと。・・・」と明記されています。つまりは、作業所=厨房ということになります。ですので、当然客席はOKなのです。

  • ※参考)神奈川県「食品衛生法に基づく営業に係る公衆衛生上講ずべき措置の基準」に関する管理運営要領作成のガイドライン 10ページに、
    (2)食品等取扱室【全業種対象】 2 食品等取扱室への動物の入室に関する事項 食品等取扱室に犬や猫等の動物を入れない(ただし、客席に身体障害者補助犬を入れることを除く。)旨を記載します。
  • ※参考)札幌市の『よくわかる管理運営基準』9ページに、
    「犬、猫の動物の立ち入り(11)作業所には、犬、猫等の動物を入れないで下さい。ただし、販売場所において、動物を入れる事により食品が汚染される恐れの無い場合は、この限りではありません。【身体障害者】「身体障害者補助犬」は、障がいのある方の生活をサポートする「盲導犬」・「介助犬」・「聴導犬」のことをいいます。補助犬は社会生活ができるよう十分に訓練を受けています。“犬だから”という理由で、施設の利用を拒むことのないようにしてください。」
    と明記して下さっています!素晴らしい!!!

 ですので、是非とも皆さんが行かれた飲食店で、補助犬ユーザーが同伴拒否にあっている場面に遭遇しましたら、皆さんから「補助犬法で同伴の入店が認められている犬たちなので、安心して受入れて大丈夫ですよ♪」とアドバイスしてあげて下さい。きっと、そのお店の方は、補助犬法を知らなかったり、補助犬法上のユーザーの責務である「衛生管理、行動管理」を理解しておられず、犬は汚いとか、犬はその辺でオシッコをしてしまうという、勝手な誤解による拒否をしているのだと思いますので。

 第71回の「補助犬同伴の就労」の中で、紹介した内容は、あくまで理想論であり、現実はそんなに甘くないのです。

「例えば同じ同伴拒否でも、お店を変えれば食事ができる飲食店と、そう簡単に変えるわけにはいかない医療機関とでは、当事者の受けるダメージが違ってきます。」
と書きました。が、物理的なダメージはそうです。「拒否されたイメージの悪いお店に行かず、気持ちよく食べられる別のお店に移れば良い」と簡単に口では言えますが、それは単に物理的なこと。その場の空腹は、別のお店でも解消できるでしょう。でも、精神的にはどうでしょう?
 例えば、「その店のラーメン」が食べたくても、結局入らせてもらえるお店でしか食べられない…そんな人として当たり前の選択すらできない生活は、あまりに不公平です!

 私達が普段当たり前に考えている「今日は何を食べようかな~」という希望、それを障害が故に叶えられないシーンが多すぎるのです! 特に、車いすの方などは、段差があるかないか?等で、そもそも物理的に入れる店が限られます。その中から、「食べたい」と思ったメニューのお店に行ったとしても、更にそこで「犬はご遠慮願います」と断られる・・・そんな想いを、補助犬ユーザーさん達は、補助犬法ができて12年経つ今も、受け続けておられるのです・・・

 先日、私の大切な友人である補助犬ユーザーさんが同伴拒否に遭いました。とある商業施設の飲食店で「他のお客様にご迷惑です」とハッキリ言われました。「説得し続けたかったが、友人と一緒だったので、その友人に嫌な想いをさせたくなかったから、諦めた・・・」と話していました。ユーザー歴はベテランの彼女でも、やはり拒否される度に「自分のパートナーを全面拒否された事で、心がズタズタに砕ける・・・」と言います。

 補助犬は『単なるお利口なペット』として連れている訳ではなく、社会参加・自立のためのパートナーです。周囲に迷惑をかけないように、ユーザー自身がしっかりと管理して社会参加しておられます。それを全面否定されることは、つまり【障害者である自分を全面否定】される事と同じ気持ちになるのです。同伴拒否した方は、自分の言葉により、そこまでの想いをさせている事に気づいているでしょうか??? 本当に悲しくなります・・・

 【障害】というものは、障害者自身が【障害】なのではなく、利用できない『環境・社会』こそが、【障害】である!、という考え方が、UDの観点から広まって来ています。

 つまりは、様々な理由で、車いすを利用していたり、白杖を利用していたり、補聴器を利用していたり、補助犬を利用していたり・・・色々な方が社会には存在します。でも、そこに階段があるから、車いすの方はその先には進めなくなります。つまりは階段=障害なのです。視覚に障害のある方に対し、音声案内や点字案内、周囲の人々の声によるサポートが無ければ、その方は知らない土地ではどこへ行く事もできません。その環境=障害なのです。聴覚に障害のある方に、周囲の人々が筆談や口を大きくあけて話す等の少しの配慮もしなければ、その方は孤独になります。その社会=障害なのです。

 私達1人1人ができること、やらなければならないこと、まだまだたくさんあります。でも、それらは難しい事ではありません。1人1人が心のバリアフリーを進めれば、必ず社会は変えられると信じています。

 全ての人に優しい社会は、必ず自分にとって、自分の家族にとっても素晴らしい社会になります。是非みんなで作って行きましょう!

 次回は、第74回「シンシアモニュメント」についてご紹介します。

ご寄付のお願い

 当会の使命は、全国民が正しく補助犬法を理解することで、すべての人と動物に優しい社会を実現することです。補助犬ユーザーの社会参加推進活動、普及活動、最新情報収集、資料等作成配布、講演会・イベント等、当会の活動はすべて無償で行われております。皆様のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

  • ※ 2015年7月、日本介助犬アカデミーより「日本補助犬情報センター」へ名称変更いたしました。
JSDRC(日本補助犬情報センター)ロゴ