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荒川区男性介護者の会の「オヤジの介護」

警察の対応

 今から8年前の5月、亡くなる10か月前に父は自宅の屋上から飛び降り自殺を図っている。
 休日の午前中、父の見舞いに来るという姉夫婦を近くの駅まで車で迎えに行く途中、母から連絡があり、屋上から飛び降りたことを知らされた。寝たきりになって一人では歩けないはずの父が「トイレに行きたい」と言うので、知的障害のある弟が体を支えてトイレに連れて行った後、弟を振り払って階段を屋上まで上り、飛び降りたという。

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 姉夫婦にバスで来るように連絡して自宅に引き返すと、すでに警察と消防が駆けつけており、家の周りに非常線が張られていた。当事者の息子であることを告げて中に通してもらうと、父は地面に横たわっており、とりあえず意識はあるものの頭部の傷から頭蓋骨が露出していた。瞬間的に「助からない」と思った。
 自宅では駆けつけた警察が母と弟に別々に事情を聴いていた。一刻も早く父が搬送された病院に向かいたいというのに私まで事情を聴かれる事になり、複数の警察官に何度も同じ話をさせられた。「さっき別の方に話しました」と言っても、「関係ありません。答えてください」の繰り返しである。ようやく解放されそうになった時、警察官から告げられた言葉に驚いた。
「現場の指紋を採るのでお母さんと弟さんは上の階に行かせないで下さい」
 父が落下した際、自宅にいた母と弟が疑われていたわけだ。コイツはさすがにきつかった。これまでで精神的には一番追い詰められた瞬間だった。
 幸い、早い段階で向かいのマンションから目撃者が現れ、事なきを得た。

 この時、以前知人から聞いた悲惨な話を思い出していた。
 認知症の父親と二人暮らしで介護をしていた50歳くらいの女性の話。
 外出の際はデイサービスなどを利用していたがたまたま施設がとれず、父親を自宅において出かけることとなった。父親は寝たきりだが、時折思い出したように自分で歩く事があるので、念のため親戚に連絡して出かけたそうだ。
 親戚が彼女の家に着いた時、父親は風呂場で茹で上がり亡くなっていた。女性は警察に連行され、疑いがはれて釈放されたときには通夜・告別式は終わり、長年健気に介護してきた父親は灰になっていたという。
 介護を苦にした悲惨な事件が絶えない昨今、警察の事情もわからなくもないがもう少し配慮のある対応はしていただけないものだろうか。地域行政一体となっての取り組みを切望する。

 救急病院に運ばれ緊急手術を受けた父は、一晩生死を彷徨い、翌日ICUで奇跡的に意識を回復した。
 面会が許され、母親とともに会いに行くと「早く家に帰りたい」と言う。母が「二度とこんなバカな真似はしないでくれ。」と泣きながら嘆願すると、父は「今度はちゃんと死ぬから」と言い返し、横で呆れて聞いていた医者のすすめで精神科病棟に入院させる事になった。

(K)

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プロフィール
荒川区男性介護者の会
(通称:オヤジの会)
妻や両親を介護している男性、介護をしていた男性を中心とした「男性介護者の会」の先駆け。東京都荒川区を中心に、住み慣れた地域で暮らす家族介護者の支援を展開している。定例会での介護の悩みや意見交換のほか、行政や地域の企業や商店、研究者、他の介護者の会などと連携をしながら、様々な情報発信を行っている。
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