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荒川区男性介護者の会の「オヤジの介護」

“うつ”とは闘わない 

 うつ病を患う以前の父は、元々明朗快活な人物だった。どんなに遅くまで酒を飲んでも、毎朝6時ちょうどには車のエンジンをかけて出勤するタフさを備えていた。「病は気から」が口癖で、極端な不整脈をもちながら、70歳まではほとんど医者にかかったことが無い。
 その父が気の病に侵されてしまった。老人性うつ病である。

 当時の私はうつ病に対する理解がまるでなく、それまでの言動と正反対の状況にある父に苛立ちを覚え、ずいぶんつらくあたったものだ。
 父はむしろそのような私の気持ちを理解していたのだろうか。
 「叩いてくれ!」
 「殴ってくれ!」
 「いじめてくれ!」
と私からの虐待をやたら嘆願してきた。堪えきれずに手を上げてしまった事も多々ある。今となってはあまりにつらい思い出だ。

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 うつ病っていうのは一度かかってしまったら、なかなか完治するものじゃない。無理に普通の状態に戻そうと躁状態にしてしまうと、その後のリバウンドが恐ろしい。
 「山高ければ谷深し」
 軽いうつ状態に“軟着陸”させることがある程度いい方法なんじゃないか……、と素人ながらに思う。
うつ病を患った父への「がんばって」という言葉はまさしく禁句だった。この言葉をかけられた後に、父が自殺衝動に駆られた率は100%である。


 父の死後、自分の中にあるうつの遺伝子に漠然とした恐怖と不安を感じていたことがある。いつか父と同じように自分が自分でなくなってしまう病気に侵されるのではないかと。自分が自殺する夢まで見た。

 そんなある日、とあるテレビ番組でタレントの北野誠さんが、父親の死因が焼身自殺であったこと、ご自身もうつの遺伝子に怯え、お子さんへの隔世遺伝も懸念されていたことなどを話されていた。その淡々とした語り口に感じ入るものがあった。

 悶々と抱え込むのはやめよう。怖いものは怖い。人に相談しようと思った。
 幸いにというか、精神科医に知り合いは多い。父が生前お世話になった先生や知的障害をもつ弟の主治医、荒川区男性介護者の会に来てくれる先生もいる。
 それぞれの先生が私の話を聞いてストレスへの対応をアドバイスしてくれ、穏やかな口調で「大丈夫ですよ」と諭してくれた。

 父の言っていたとおり、 「病は気から」である。どんなことでも心に迷いがある時はかかえこまず相談できる人を探す。うつへの恐怖が全くなくなったわけではないが、今はなんだか「自分は大丈夫」と思えている。

 そういえば私は父が要介護状態になって以降、寝込むような風邪は一度もひいていない。

(K)

コメント


新聞で「オヤジの会」を知りました。
投稿して良いものか(私は43歳、女性)…と悩みましたが送らせて頂きます。

実家の父(76歳)が心配です。
昨年11月頃より母(71歳)が老人性うつ病になり父が看病しております。
母にはその病気特有の症状が色々とあるのですが、私が父を心配する母の症状は、一人でいられない事です。

母は一人でいる事が精神的に不安、一人で歩く事が出来ない為、父が買い物で外出出来る時間も30分~1時間。それも一日おき。

また、母はテレビや新聞を嫌がり父は見る事ができません。
パソコンも持っていないのでこちらの会に参加する事もできません。
男性介護者の雑誌はないものかと私は探しているところです。

2週間前、私は初めて(母が病気になってから)実家に2人の顔を見に行ってきました。
それまでは、母が私が行くことを嫌がっていたからです。今の自分の様子を私に見せるのが辛かったのでしょう。

父は愚痴らしい愚痴を言いません。
でも、これから先の父の事を考えると心配で仕方ないのです。


投稿者: am | 2009年03月23日 15:31

am 様

ご心中お察し申し上げます。

>父は愚痴らしい愚痴を言いません。

男性介護者の多くがこの状況にありがちです。
長い人生において勤め上げた仕事など、多くの困難を乗り越えたという自負もあり簡単に弱音を吐かないものです。
お父上も器の大きな方でいらっしゃるのでしょう。
しかしながらその器に一滴ずつもたらされていくご苦労は今までの困難とは違って終わりがみえず、達成感によって排除される事の無いまま蓄積されていってしまいます。どんなに大きな器でもいつしか溢れてしまいます。
そうなる前に溜まっているモノを流してしまわなければいけないと思います。

まずは貴方ご自身がご両親の居住地にある「社会福祉協議会」を訪ねてみて下さい。

また地域的に可能であれば「荒川区男性介護者の会」にもお越し下さい。
定例会等の詳細は荒川区社会福祉協議会Tel03(3802)2794でご案内しております。


投稿者: 男性介護者 | 2009年03月23日 20:55

男性介護者さん、お返事のコメント
ありがとうございます。

「荒川区男性介護者の会」に父が参加させて
頂くのは、今のところ時間的にも不可能です。
でも、お気持ちにとても感謝しております。

両親は所沢市在住です。そちらの社会福祉協議会
を訪ねてみようと思います。

また、父に代わって私が母の看護を少しは出来るようにならなくては…と考えています。

男性介護者の心の支えになるような雑誌や
記事などご存知でしたら、ご紹介いただければ
嬉しく思います。
私は女性なので恐縮ですが、またこちらの
ホームページ?サイト?を読ませて頂きたいです。

am


投稿者: am | 2009年03月25日 13:47

am 様

>「荒川区男性介護者の会」に父が参加させて
頂くのは、今のところ時間的にも不可能です。

amさんにお越しいただいてもいいんですよ。会ではそのような方がオブザーバーとして参加される事も間々あります。
大きな事は言えませんが、何かのヒントを得られるかもしれません。

>男性介護者の心の支えになるような雑誌や
記事などご存知でしたら、ご紹介いただければ
嬉しく思います。

まもなく(4月中くらい?)週刊ダイヤモンドが「介護特集号」を出す予定です。私も取材を受けましたが、「家族介護」とテーマに男性介護者に関する記事も多く掲載されるようです。


投稿者: 男性介護者 | 2009年03月26日 11:11

週刊ダイヤモンドですね。
是非購入し、父にも紹介しようと思います。

母が病気になって以来、雑誌等のうつ病の
記事が目にとまるようになったのですが、
老人性うつ病の記事は少ないように感じ、
相変わらず情報を探しています。

いつも参考になるコメントをいただき、
本当にありがとうございます。

am


投稿者: am | 2009年04月10日 08:24

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
荒川区男性介護者の会
(通称:オヤジの会)
妻や両親を介護している男性、介護をしていた男性を中心とした「男性介護者の会」の先駆け。東京都荒川区を中心に、住み慣れた地域で暮らす家族介護者の支援を展開している。定例会での介護の悩みや意見交換のほか、行政や地域の企業や商店、研究者、他の介護者の会などと連携をしながら、様々な情報発信を行っている。
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