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野田明宏の「俺流オトコの介護」

胃ろう再考

 胃ろうについて再考したい。

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 上から見ると、こんな感じでお腹まで繋がっている。

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 専門用語は避けたいので、というかオレも未だに良くしらない。胃と栄養が入る管が連結される前ですね。

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 そして、驚くこと。前回胃ろう交換して5ヶ月少し。8月半ばには改めて胃ろう交換しないといけないというのに、胃ろう周辺から浸出液が漏れることがない。乾いている。不良肉芽に至っては全くない。目力ではだけれど。
 これは、介護者にとってのストレスがスコブル軽減される。病院を替え、医師も当然代わった。胃ろう器具そのものも、医師の説明ではオリンパスの最新式のモノだそうだ。だから、他メーカーのモノは云々? などと力むことはしない。
 たまたま母にビンゴだったのかもしれないし、次回交換後にはどうなるかも不透明だ。ただ、お腹の肌と胃ろうの隙間がかなり狭まったことは確かで、この辺りに善循環している要素があるのかもしれない。
 夏。今年も暑い。あるグループホームの夜勤を撮りに出向いたとき、一人の職員が目眩から早退していった。室温は27度から28度になっていた。が、この温度設定は利用者向けに設定されているもの。動く職員が働く環境温度としては暑い。入浴介助などすれば尚更だ。それが複数人となると、ガッツの世界に彷徨い込むことになる。オレも、カメラに三脚付けて動いていたら汗 汗 汗。
 職員が、個室にいる利用者さんに問い掛けた。
 「どうですか? 暑いですか?」
 利用者さんからの返答は、認知症とは思えないほどにクリアな回答だった。
 「暑いんか? 寒いんか? 分からんな」
 そうなのだ。オレも、正にその言葉どおりを体感していた。背中の汗が冷えて、Tシャツの後ろが冷たく感じるものも、身体全体はといえば暑いのだ。
 とても複雑で微妙な温度&湿度設定が必要になる。こういうとき、特に気配りしないといけないのが水分補給。お年寄りは、喉の渇きが鈍っている。ましてや認知症ともなれば、
 「喉が渇いたかな?」
 の質問自体を把握することさえ、中度程以上の方は判断できないはず。
 水分補給。夏は当然だけれど、常に、文字どおりに生命線だと承知していなければならない。
 話が少々逸脱したけれど、胃ろうにすると、この水分補給の患わしさから介護者は解放される。
 口からモノが入らなくなる。オレも1時間半ほどを費やして3度の食事を母に食べさせていた。
 美味しく食べる。
 こんなことは夢物語だ。栄養を詰め込む。水分を流し込む。半強制的でもある。母が、認知症の人が生き残るために。母は、本当に一生懸命だった。苦を背負いながら食べさせられることに。
 もっとも、この時期になると水分を流し込んでいたら誤嚥性肺炎に直結してしまう。だから、食事もお茶もトロミで粘りをつける。
 今、父や母を、胃ろうにすべきか否か? 迷っている方々も多いはず。オレは強く思う。胃ろう管理は、看護師云々語られているけれど、少しの時間を割けば自分のモノにできる。難しいモノではない。簡単、と言い切っても良いとオレは思っている。不器用の極めを自認するオレでも出来たのだ。
 だから、もし、これからも一緒にたいのであれば、ただただ眠っているようでも愛おしいのであれば、オレは胃ろう造設を薦める。ご本人がNOを選択していたのなら、方向性は改めて模索の必要に迫られるのだけれど。
 オレ個人は、胃ろうという器具? で、母との連結を強く感じることができる。
 それは、“絆”だと強く信じることができる今日この頃だ。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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