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野田明宏の「俺流オトコの介護」

車椅子を部屋に入れるということ

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 まずは、構図を最初から意図して撮った写真が4枚。
 デイサービス職員が押す車椅子に乗った母が、スロープの上を部屋へ部屋へと上がっていく。アルミサッシの窓は寒いので閉まってはいるが、スロープの上まで来れば開けて部屋に入っていく。もちろん、部屋の中は暖かくしている。
 本来ならばオレが窓の奥で待ち受けているのだけれど、意図した写真が欲しかったので、この4枚を撮った後に急いで部屋に入り窓を開け母は入室。車椅子に乗ったままで。敢えてもう一度記す。
 車椅子に乗ったままで。
 さて、3月4日掲載の本ブログで、
 「車椅子を部屋の中で保管しておくということには、かなり葛藤と抵抗があった」
 と記した件を説明したい。
 写真を見てもらえれば分かるのだが、車椅子本体、更にはタイヤも新しいのでほとんど汚れは見えない。だけど、スロープに注目すると一目瞭然。これでも、数日前に箒で掃いたばかりだ。
 スロープ下の地面。ここが、学校の一般的運動場のような土で、土というより微粒な石で構成されているとでも表現すれば良いのだろうか?
 まあ、それは土でも石でもオレ的には同じ。この土なり石が、外部から部屋の中に車椅子に紛れて一緒に入室してくるということにスコブルで違和感を感じた。ストレスはダブルスコブルだ。もちろん、車椅子用にカーペットを敷き、その上には吸塵吸水マットも置いた。
 オレ自身、部屋の掃除などはほとんどしない。母のアルツハイマーが発覚してから、母と一緒に暮らす部屋だけは掃除機をかけた。それも、“四角い角を丸く掃く”などという例えもあるけれど、視野に入らない角などは無視。蛍光灯の笠などは、塵がホンワカホンワカと部屋内に浮き初めてから清掃。いつも、塵はかなりの厚みになっていた。ホンワカ浮いた塵が母の顔や口元に落ちる、などというこも珍しくなかった。
 基本的に、室内で自然に発生する塵や埃には免疫があった。無精からくる免疫だけれど、一人暮らしの頃からこういう生活があまりに長かったので苦にならないのだ。元気な頃の母はといえば、それはそれは清掃の神のようであったけれど。
 ところが、車椅子をレンタル。この車椅子を室内だけで使用するなら全く問題ない。もっとも、車椅子で家内移動するほど借家に部屋はないのだが。
 「ちゃんと、入室するときにタイヤを雑巾で拭けばいいのよ」
 介護職に問えば、当然のようにこんな声が戻ってくる。それもストレスなのだ。
 以前の家では、オレが母の脇から両手を挟み込んで上半身を支える。お迎えの介護職員が脚を支え、部屋から車へ移乗させていた。帰宅時はこの逆になるのだが、簡単なことだった。
 しかし、スロープを置き、車椅子で移動し、挙げ句にタイヤをキレイにするために雑巾がけ。オレ的には、なんだかとーーても仕事が増えた感じだった。体力的には些細なことなのだが、精神的にはとてもハード。
 確かに、母を運ぶに際して、腰への負担は軽減されること間違いない。介護職員も同様。
 結局、嫌々ながらもこのシステムで母をデイサービスへ送迎することにした。以前は6キロほどの距離があったデイサービスも、今では直線距離で50メートルほどに。だけど、この車椅子の件で、今まで以上にデイサービスへの距離が長くなった気が当初はした。職員たちとも。イライラが募り、お迎えの若い職員二人に喧嘩腰の言葉も吐いたりもしたから。
 とはいえ、今、このシステムがほぼ当たり前感覚になって、やっとデイサービスが近所に位置することを体感している。
 人間、ストレスの源&有り様は十人十色? それとも、この車椅子の件はオレだけなのだろうか?
 今の借家への転居で誤算はまだあった。聞けば、この運動場モドキの空き地兼駐車場には、雨が降りだす季節から雑草が元気に生えだすそうだ。
 草刈り。
 嗚呼ーー! ストレスだ。

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コメント


野田さま

そうでしたかー
考えようなんでしょうけれど、
土足で上がる
みたいにも想像できますね。
施設と自宅では、意識も違ってくるような?
とにかく、お疲れさまです。
草は除草剤でやっつければ簡単ですよ。


投稿者: 熊夫 | 2011年03月09日 14:06

熊夫さま

土足
そんな感じに思えたんですよね。
ちゃんとした、靴置き
と同じようなスペースがあれば
違和感なかったんだと思うのですよ。


投稿者: 野田明宏 | 2011年03月10日 07:45

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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