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野田明宏の「俺流オトコの介護」

来るものが来た

新年あけましておめでとうございます。
本年も、母ともどもヨロシクお願いします。

 さて、今回は前回からの延長戦となる。クリスマスイブイブと呼ばれる2004年12月23日から24日へと続く深夜未明、母の尿失禁が始まったことについてだ。
 これまで、何度も記してきたことだけれど、母とオレは六畳間に布団二つ並べて眠っていた。トイレに近い方がオレなのだが、これには理由が当然あった。この頃、母はどこにトイレがあるか分からない状態であり、夜中、トイレに行こうとしても部屋中を徘徊。ガラス戸を開けて玄関方向に向かうこともあった。なので、歩く方向にオレが寝ていれば、母が動き出せば感知できる。というのも、オレは眠りが浅いから為せる技。
 母が起きた。感知。眠い目を擦りながら声掛けしたかどうかは記憶にないが、母はトイレの方向へ向かいはじめた。オレも母の後を追う。といっても、トイレまでは3メートル前後。
 後方から母を見る。なにか変? おかしい? 違和感がある。豆電球から蛍光灯に。部屋を明るくして、改めて母の後ろ姿を再確認。
 母が履いてるズボン。濃い緑のジャージだったはずだけれど、お尻の部分が濡れている。まさか?
 母の敷布団に目を向けた。アチャー!! ビッショリだ。いつか来るだろうことは覚悟していたが、とうとう来てしまったのだ。
 オレは混乱した。部屋が寒い。六畳間と三畳間に各1台あるファンヒーターを全開にし部屋を暖める。ながらも、脳裏のアチコチで赤色灯が点滅。
 母を着替えさせる。洗濯する。敷布団を替え、干さなければならない等々。イライラが募る。
 部屋は直ぐに暖まらない。とはいえ、着替えをさせなければならない。寒い。しかし、決行あるのみ。オレの心は泣き崩れんばかりだった。やはり、クリスマスなどというのはオレの人生とは無縁なのだ。楽しいクリスマス、という意味でだ。
 母の腕を掴んだまま、いろんな事が脳内を駆け巡った。
 「和ちゃん、着替えするぞ」
 母が失語するのはまだ先のこと。言葉はシッカリしていた。
 「オシッコへ行くんじゃ」
 もう出してしまっているではないか。
 「ゴチャゴチャ言わんとワシの言うことを聞けえ」
 母のズボンを下ろす。寝ていて出しているから背中も濡れている。スッポンポンにしなければならいのだ。またイライラ。
 途端、母の股間からオシッコが勢いよく噴き出してきた。オレはのけ反る。嗚呼! 三畳の畳まで濡れてしまった。
 瞬時、オレの手は母の脚に一撃を食らわしていた。
 「このクソ婆…(あとの言葉は書けない)」
 とはいえ、母が先に言った
 「オシッコへ行くんじゃ」
 は、まだ残りがあることを分かっていたのだ。それを理解し、トイレに誘導し、それから着替えさせる。オレからすれば神業だ。
 この夜を境に、そろそろオシッコかな? に神経を尖らせ、出るか出ないか分からないトイレ誘導が始まった。
 「オムツにすれば問題解決じゃん」
 と介護を経験してない人は言う。
 しかし、実母にオムツをさせるということ。それは、とてもとても切ないことであることを理解していない。
 トイレ誘導の厳しさ・切なさ・情けなさ等、少し時間を置いて記すことにする。
  冬の夜 耳が霜焼ける母に耳当て

20110107.png

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コメント


トイレ誘導の厳しさ・切なさ・情けなさ・・・・・・・野田さんのお気持ち、想像するとコメントが書けなくなり、日にちをおいて書き込みしています。母親のトイレ介助・・・・・・・切ないですね。深夜の静けさ、冷え込み・・・・・余計にこたえます。


投稿者: my男 | 2011年01月11日 08:56

my男 さま

いつもありがとうございます。
気持ちを察していただけることは ありがたいことです、
とはいえ、もう昔むかしの話になりました。
ときどき 懐かしくもなり 心 というのは不思議です。
本年もヨロシクお願いします。


投稿者: 野田明宏 | 2011年01月11日 10:41

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
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