ページの先頭です。

ホーム >> 家庭介護サポーターズ >> 野田明宏の「俺流オトコの介護」
野田明宏の「俺流オトコの介護」

なぜ オトコは介護から逃げるのか?

n4.png

 今、介護者の3割前後が男性という時代になったらしい。統計ではそうなのかもしれないけれど、オレにはあまりピンとこない。講演先(時々しております)で、聞きに来てくれてる男性が以前より増加してることは実感してるものの、3割という数字に現実味が湧かない。
 まあ、3割という数字は棚に置いといて、介護者主力軍である女性たちはオレにこんな言葉を頻繁に投げかける。
 「オトコは介護から逃げるのよ。その点、野田さんはエライ!」
 エライ! と誉められると嬉しいのだけれど、反面、介護から逃げるオトコはオレをどう評価してるのか? となると少々恐い面もある。裏切り者? 異端者? やれやれだ。
 で、ここからが今回の本旨。ならば、なぜオトコは介護から逃げるのか?
 オトコからの場合、両親か妻を介護することになる。希に、祖父母というケースもある。
 一般的な時系列で記すが、オトコよりオンナの方が寿命は長い。妻が夫を看取る。妻は一人になり、妻の介護が必要になったとき、その妻の子供たちが介護者となる。 
 当然、子供たちは結婚しており、長男の嫁という立場の女性が介護を一手に引き受ける・引き受けざるを得ない、という状況が今も地方では圧倒的だろう。付け加えるが、長男は介護に口を出しても手は出さない。改めて記すが、一般的ケースだ。
 そして、ここからがタブーに挑戦なのであります。
 オレの場合、息子が母を介護するというケース。“息子が母を”などと記してるから曖昧だと想像するのだけれど、お母ちゃんを介護しているのだ。
 お母ちゃん。お母さん。ただのオンナではないのだ。
 介護するということ。これは、お母ちゃんの全てを見なければならないということ。つまり、お母ちゃんの性器までも見て、触れなければならない。
 息子であるオトコは、これに恐怖する。たじろぐ。お母ちゃんはマドンナなのだから。受胎告知のマリア様に通じるような。もちろん、そうは言っても思春期の頃、息子と母には距離ができる。反抗期。母に向かって平気で“ブス”などと呼称するが、母であるから特別なのだ。
 夫が妻を介護する場合。この恐怖は全くない。そこは親しい場所であるのだから。
 では、娘が父、お父ちゃんを介護する場合はどうなんだろう? オレもアチコチ聞いてきた。
 「父のオチンチンですか? 別にどうってこともなかったですよ」
 という声が大勢だった。
 今回は、なぜオトコが介護から逃げるのか? をオレなりの視点でオレ流に考察したのだが、的から大きく逸脱してるとは思っていない。だけど、オレを応援してくれる女性介護軍団からもこんな声が聞こえてきそうだ。
「そうなのよ。ヤッパ、オトコは皆、マザコンなのよ」
 と。
n3.png

続きを読む


コメント


おはようございます。
これは納得します。高校生になったばかりの頃、母が癌で死んだのですが病室を見舞ったとき、たまたまおむつの交換をしている現場に遭遇しました。この時の衝撃は忘れられないですね。嫁さんのばあいでも最初はやはりこわごわでしたけど(苦笑)。男の介護者が増えたとはいえ、介護の担い手の多くが女性であることは変わっていないわけで、介護の現実をかえる原動力は女性陣たちのものなのかもしれません。


投稿者: miyata | 2010年07月30日 10:31

今日は7月30日
和子さんの介護9年目ですね。
偶然にも今日は訪問日です。もうすぐ伺いますね。
言葉にすれば簡単になってしまうけれど本当にいろいろなことがあったことと思います。
でも、今 和子さんがこの世におられること
嬉しく思います。長く続いている在宅介護、その間多くの方がいろいろな形でお2人をサポートしてこられた事と思います。そんな皆様がいたことに感謝です。
そして何よりも、深い愛情と優しさの中で介護を続けておられる野田さんに出会えたことに感謝です。
9年目があること 
おめでとうございます。
言葉を言われる事がない和子さんの心の中に
深く美しい世界があることを願って・・・


投稿者: ひかり ケアマネ | 2010年07月30日 15:55

miyataさま

早速にコメント ありがとうございます。
納得組が存在してくれたことに、とりあえずホッ!
こういうことを問題提起すると、
不適切
と、お叱りを頂くことも。
とはいえ、介護というリングへ上がり、
ゴングが鳴った途端に強烈なパンチに見舞われKO負け。
というオトコ組はアッパレ。
リングにも上がらないままに敵前逃亡組も多いのが実情でしょう。
母親を敵と位置ずけるのは、これこそ不適切ですが、
ここで問題提起している現場は、
それはそれは、想像することさえ避けたいですからね。
まあ、1ラウンドさえ耐え抜けば、どういうこともないのですが...
とにかく、最初のワンパンチが強烈すぎて!


投稿者: 野田明宏 | 2010年07月30日 16:23

ひかり ケアマネさま

さやかちゃん ありがとう
では、次回は8月20日17時
ヨロシクー(^。^)


投稿者: 野田明宏 | 2010年07月31日 15:41

そうなんですよ~
私も母を有料老人ホームへいれていしまった組です。
施設へお見舞いに行ったとき、母親のおむつがパジャマの裾から見終えてしまい、おもわず目をそらしてしまいました。マザコンです。
偉大だった母は寝たきりになっても偉大でしたねー。
ほとんどの子供たちは親を施設へれることを願っているんだから、うちも同じようにしても無理はないよね・・・とかいいながらです。
願ってはなかったがやむをえずとか、理屈はなんとでもつきますからね。


投稿者: my男 | 2010年08月01日 13:36

my男さま

おかあちゃんは偉大ですよ。
ただ、オンナであったことと不幸にして向き合った者は、
いや、自身から立ち向かうオトコもいますが、
どちらにしても、現実を見た瞬間、
あたりまえのことなんですがね、
どうにも感性が混乱してしまうのですよ。
冷静であれるオトコを、私は信用しません ネッ!


投稿者: 野田明宏 | 2010年08月02日 09:17

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

コメントを投稿する




ページトップへ
プロフィール
野田明宏
(のだ あきひろ)
フリーライター。1956年生まれ。約50カ国をバックパックを背負って旅する。その後、グアテマラを中心に中央アメリカに約2年間滞在。内戦下のエルサルバドルでは、政府軍のパトロールにも同行取材等etc。2002年、母親の介護をきっかけに、老人介護を中心に執筆活動を開始。2010年現在、83歳になる母と二人暮らしで在宅介護を続ける。主な著書は『アルツハイマーの母をよろしく』『アルツハイマー在宅介護最前線』(以上、ミネルヴァ書房)など多数。『月刊ケアマネジメント』(環境新聞社)にて、「僕らはみんな生きている」連載中。
http://www.noda-akihiro.net/
メニュー
バックナンバー
その他のブログ

文字の拡大
災害情報
おすすめコンテンツ
福祉資格受験サポーターズ 3福祉士・ケアマネジャー 受験対策講座・今日の一問一答 実施中
福祉専門職サポーターズ 和田行男の「婆さんとともに」
家庭介護サポーターズ 野田明宏の「俺流オトコの介護」
アクティブシニアサポーターズ 立川談慶の「談論慶発」
アクティブシニアサポーターズ 金哲彦の「50代からのジョギング入門」
誰でもできるらくらく相続シミュレーション
e-books