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介護漫画家・國廣幸亜は見た! 愉快な利用者と家族たち

ありがとう、さようなら、いつかまた

1年間読んでいただいたこのブログ、実は今回で最終回となりました!
わ〜ん、なんだか寂しい…。(ノ_-。)
ちょうど訪問介護の仕事の方も一区切り。
パートとして働かせてもらっていましたが退職することになりました。

そんな時苦手なのが、最後の挨拶!!
私の事務所では一人の利用者さんに何人もローテーションで入っており、私が担当してずっと通ってました!って方はいないのですがやはり今日で辞めることに…なんていうのは切り出しにくいものです。
中には全く気にしない方やそちらもビジネスだからね、と割り切って次は誰が来るの?なんて素早く切り替えてくれる方もいます。

そうなるとこちらも楽なんですが…

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「アナタだと頼みやすいのよ〜」などとこんな私でも信頼してくださる方もいてそういう方に報告するのは非常に心苦しいです。

このブログにも登場してくれた(「愛のことば」や「甘くってもいい?」の回)私のことを何故か気に入ってくれているおばあちゃん。
私料理も遅いし掃除も手際悪い…そんな私を何故?こうなってくるとやはり相性なのでしょうか。ありがたいことです。

さて、今日こそいよいよ辞めることを報告しなければ…!と緊張しながら訪問しました。

おば「あら!今日あなただったの〜良かった〜」

manga110531.jpg

私の訪問を喜んでくれるなんて…。またまた言いづらくなっていまいます。

そのままいつも通り掃除や洗濯、おばあちゃんをお風呂に入れてあっという間に終了時間間際。
私は意を決しておばあちゃんに話しかけました。

クニ「あの…えっと…はあ…」

ドキドキしてなかなか言葉が出てきません。
不思議そうに見つめるおばあちゃん。

クニ「実は私、辞めることになったんです!今日でこちらに来るのは最後になりました!

言った…!!
ついに言ってしまった…。

おばあちゃんはきょとんとしています。
でも落ち着いた口調で

おば「そうなの。残念だけれど分かったわ。今までありがとうね」

と言ってくれました。

どちらかというと感情をストレートに出してくれて気持ちが高ぶるとテンションが上がってしまうおばあちゃん。
それなのに…いつになく冷静で堂々とした態度に私はびっくりしました。

毎日家に通ってくる人でもやはりヘルパー。一生そばにいられる訳ではない。

おばあちゃんはそれを分かっているんです。私よりずっと…。
その落ち着いたたたずまいに、やはり人生の先輩なんだ。と改めて尊敬の念を抱きました。私なんて本当に若輩ものです…。

そしておばあちゃんはこんな話をしてくれました。

おば「私は戦争も知ってるし戦後の貧しい時代を生きてきたわ。
アナタはそれから50年も後、
豊かな時代に生まれ私とは全く違う人生を生きてきた。
それなのにこうしてお部屋で料理をしてくれたりお風呂に入れてくれたり世間話をしたり…私ときどきとっても不思議な気分になるのよ」

おばあちゃんに言われてはっとしました。

本当にこの仕事は不思議な仕事です。
全く違う世代の全く違う人生を歩んできた赤の他人の私たち。普通なら出会うはずもないのにこんなプライベートに入り込んで同じ時間を過ごす。
それが仕事だなんて、思えばすごいことです。

おば「でも、楽しいわね〜」

はい、本当に楽しかったです。

もちろん家族でない私たちが色んな事情や歴史を抱えた利用者さんの家に立ち入るということはとても勇気がいるし上手くいかないことも多いです。

でもそれだけに…他人だからこその不思議な繋がりができるのがとても楽しかったり感動したりする。

このブログを書かせていただいた1年間。正直、自分にはやっぱり向いてない…と大変さばかりに目がいって考えが揺らぐ日もありました。(そんな日の方が多かった。・゚゚・(>_<;)・゚゚・。

それでもこの仕事はとてもやりがいのある格好いい仕事だと私は思いました。

だからこの仕事の大変な部分だけでなく、面白い部分をもっと知って欲しい。
そして色んな人が介護に参加してくれたら…!

おばあちゃんの言葉は私を初心に立ち返らせてくれました。

おばあちゃんありがとう。おばあちゃんにもまた新たな縁があると思います。
きっと私にも。

そしてこのブログへ立ち寄ってくださった方々との縁にも感謝して。
最終回にしたいと思います。

今まで本当にありがとうございました。
このブログを読んで少しでも介護に興味をもっていただけたら嬉しいな…なんて願いをこめて。(●´ω`●)ゞ

ありがとう、さようなら、いつかまたどこかでお会いできますように。


コメント


わ~ん、とっても残念です。
毎回、ブログをとっても楽しみにしていたのに…!

向いていないだなんてとんでもない!
國廣さんの、お年寄りに向けるまなざしの温かさがとてもうれしくて、介護職の方がみんなこんなだったらいいなと思っていたのです。
お年寄りにもいろんな方がいて、少なくともうちの母は、可愛くないタイプのお年寄りです。
でも、國廣さんがうちの母に会ったら、可愛く描いて下さるかもしれない…。そんな気にさせられました。こんなヘルパーさん、とっても素敵です。いつかうちの母と一緒にお会いしたいものです…。

ところで。
10日ほど前に、私も「最後の挨拶」とやらをやる羽目になりました。
こちらは、最愛の伯母が亡くなってしまったので、遺族を代表しての挨拶です。
これは、葬儀屋さんから渡された「ご挨拶の例」のような文章をほとんどそのまま読み上げただけになってしまいました。
あまりにも急でショックだったし、喪主の叔母の代わりにと言われても、どう話してよいかわからなかったし、何よりも「何を話そうか」なんて考える余裕がなかったし…。

お年寄りと接していると、いつかはこういう事態に遭うことになってしまいます。これはなんともつらいことですね。

でも、子供の頃から今までの、たくさんの思い出を思い返したり、お通夜やお葬儀でお会いした方々からお聞きした話を思い返したりして、少しずつ気持が落ち着いて…きたかな?

49日で、先日お会いした方々(の一部)にまたお会いします。今度は、懐かしい思い出を交え、皆様に、もうちょっとちゃんとしたご挨拶をしてみたい…と思っています。


投稿者: 親不孝娘 | 2011年06月01日 23:28

親不孝娘さま

毎回読んでくださっていたとのこと。
本当にありがとうございます!!!

私は本当にとほほなヘルパーで…。でも現場にいて伝えたいことがたくさんあるなあと思ってこのブログを描かせていただきました。

伯母さまへの最後のご挨拶。
親不孝娘さんの思いを読んでいてウルウルっとしてしまいました。
とても素敵な関係を築かれていたんですね。
四十九日ではきっと伯母さまが喜ぶようなご挨拶をされるんだろうなあと思いました。


投稿者: くにひろ | 2011年06月20日 15:47

え~、本当に終わってしまうのですか。私も陰ながら応援していたのですが。
ヘルパーの資格をとったのに、実際には自信がなくてまだヘルパーの仕事についていない私。
こちらのブログを読んで、やっぱり大変そう・・
なんて怖気づいたり、逆にやってみようかなと思ったり。
でも、このブログではげまされることが多かったと思います。

私もきっと、とほほなヘルパーの代表になると思いますよ。主婦のくせして、不器用だし、おおさっぱな性格だし。

これからどんなことをなさるのかわかりませんが、がんばってくださいね。


投稿者: にゃんこ | 2011年06月26日 18:28

にゃんこさま

コメントありがとうございます!お返事が遅くなってしまいすみません!!

私も資格を取ってから仕事につくまで随分と時間がかかりました。
でも仕事にするだけが介護じゃないなって働いてみて実感しました。
資格を取ろうと思って行動した時点でもう介護に関わっていると思います。そんな方が増えたらいいのにっていつも思っています。
にゃんこさんの人生のどこかで、いやもうすでに生きていると思いますよ。
でも…主婦、不器用、おおざっぱ…。私と一緒ですね!
にゃんこさんのヘルパー姿も見てみたい気持ちがします。


投稿者: くにひろ | 2011年07月08日 10:04

※コメントはブログ管理者の承認制です。他の文献や発言などから引用する場合は、引用元を必ず明記してください。

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プロフィール
國廣幸亜
(くにひろ ゆきえ)
1976年5月9日大分県生まれ、愛知県育ち、現在は九州女子。
幼少の頃より漫画家を志す。
1995年上京。会社員をしながら相変わらず漫画家を志し投稿の日々。
1998年講談社 BE・LOVE誌上にて「ささら」でデビュー。
現在ホームヘルパー、介護福祉士などに従事しながら創作活動を続ける。漫画『介護のオシゴト』で介護の世界をユーモアに描く。
著書に『介護のオシゴト』1・2巻『ユキ先生お元気ですか!?』『42.19GO!!~運痴女のフルマラソン挑戦記~』(以上秋田書店刊)、『晴太郎日記~いっしょに歩こう~』(講談社刊)がある。
國廣幸亜の公式ホームページ http://www.geocities.jp/ mitsutamahouse/
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