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先輩介護者に聞こう 認知症在宅介護 お悩み相談

「要介護認定」を受けるときの注意点などを教えてください。

【質問】
要介護度を決める「要介護認定」を受けるときの注意点などを教えてください。

【回答】
要介護認定は、調査員の「認定調査」と「医師の意見書」で行われます。認定調査に際しては、あらかじめ質問用紙に目を通し、答えられるように準備しておくことがポイントです。

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 要介護認定の流れは、ざっと以下の通りです。
 申請してから1週間内に、訪問日を決める電話が調査員からかかってきます。本人と介護家族の都合が優先されますので、あなたの都合をはっきり告げましょう。
 調査は「認定調査票(概況調査、基本調査、特記事項)」に基づいて行われます。この調査票は全国どこでも同じで、基本調査ではおよそ80項目について質問されます。
 質問は本人と家族介護者、双方に行われます。この時の答えが要介護度を決めることになりますので、答え方の心構えを紹介しましょう。ポイントは4つです。
●あらかじめ認定調査票を手に入れて目を通しておきます。 
 認定調査の時間はおよそ1時間です。1時間で80個の質問に答えるわけですから、準備をしておかなければ的確に答えることができません。調査票は申請窓口で手に入れられますが、申し出ないと役所はくれません。必ず入手して、目を通しておきましょう。
●普段の生活や介護で困っていることをメモしておきます。
 私の妻の場合、排泄がひとりではうまく始末できなくなりましたが、とうてい本人が横にいては話せるものではありません。初期の認知症の人はプライドが高く人一倍傷つきやすいと思って間違いありません。また、認知症の人は初対面の調査員の前では、がんばって普段できないことでもできてしまったりします。家族は話せない、本人はがんばってしまうで、調査員が認知症の進行は軽いと判断してしまうかもしれません。そこで、普段の様子や困っていることなどをメモしておき、調査員に手渡すようにしましょう。また、調査員はここ最近のことしか尋ねませんから、認知症の場合は1年前からの変化などを知ってもらうことも大切です。この点もメモに書いて渡します。
●あなた以外の家族や民生委員など、他の人に立ち会ってもらいます。 いくら準備していても、実際に調査員の前ではうまく話せないことがあります。そういうときに助け舟を出してくれる家族や信頼している相談相手、たとえば民生委員などに同席してもらうのもよいでしょう。私は長男に妻をみさせて、別室で調査員と二人で話し合ったりもしました。
●認定調査票(特記事項)を有効に使います。
 基本調査の80個の質問は、大半が「できる、できない」で答えることになっています。それでは的確に答えていることにならないと感じたら、特記事項に文章で書いてもらいましょう。たとえば買い物調査では、毎日同じ物を買ってくるので家族が困惑しているのに、ひとりで買い物できるのだから「介助されていない(=自立)」だと認定したという嘘のような本当の話があります。特に困っている介護や日常生活の様子は、調査員に「書いてください」と念を押すこともポイントです。

 要介護認定は、上記の認定調査と「医師の意見書」により決定します。そのため、医師に、書いてもらいたいことを伝えることが大切です。病気のことだけでなく、介護上の苦悩や日常生活での認知症の困りごとなども書いてもらうようにお願いしましょう。
以上の実際は、体験者の話を聞くのが一番です。近在の家族の会などに行って、実際どのような感じだったか、心構えなどを先輩介護者から聞くのがお勧めです。

「要介護認定の結果」のお知らせが来たら、結果の満足不満足にかかわらず、高齢介護課に出向いて、「認定関係資料開示申出書」を提出し、すべての書類のコピーを入手しましょう。調査員がどう書いたか、医師が意見書をどう書いたか、すべて目で確かめることができます。ファイルしておけば病気と介護の貴重な記録になります。開示申し出はすごく簡単なA4、1枚の書式で、はんこも要りません。
 なお、認定結果に納得がいかない場合は「介護認定審査会」で再調査を申し込むか、都道府県に設置される「介護保険審査会」に再審査請求することができます。しかし、何度も調査を受けたり、審査請求することは大変です。1度の要介護認定で正しく認定されるためにも、十分に準備して望むことが望ましいといえます。

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プロフィール
長谷川正
(はせがわ ただし)
東京都立高校の英語教員時代に、8歳年上のマリ子さんと出会い結婚。4人の子どもに恵まれる。 平成6年、マリ子さんが68歳のときに記憶障害が現れはじめ、2年後にアルツハイマー病と診断される。それから11年間、精一杯認知症と戦い、平成18年1月に自宅で看取る。 現在は、「認知症家族の会・青梅ネット」代表および認知症キャラバンメイトとして、東京を中心に各地で講演するとともに、家族会を開催し相談にのっている。
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