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鎌倉ベルの会がおくる「家庭介護のコツとチエ」

介護ヘルパーが出会った人々

      bell20090129.jpg

 私はベルの会に入り、お弁当作りとヘルパーの仕事に携わっております。鎌倉という土地柄でしょうか、素敵な方との出会いが多いです。

 ヘルパーの仕事では、女性の利用者の方が多いなかで、一人だけ男性のお世話をしました。
 本当は外交官になりたかったそうですが、大学で美術史の教鞭を執られていたY先生。気難しい方だと聞いていましたが、実際はロマンスグレーが似合うダンディな紳士。
 グレーで統一されたセンスの良い服装は10年間フランスで生活されていたからでしょうか。
 お世話に伺うたびに、色々な思い出話をしてくださいました。

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 忘れることができない話は、留学中にフランス人の先生とアフガニスタンのバーミヤンの石仏の学術調査に行かれ、日本の大仏とは比較にならない大きさの石像2体(高さ55mと38m)の話を聞かせていただいたこと。その数日後、タリバンによって石仏が破壊されたニュースが流れました。
 偶然とは言え、お話を伺った直後だったので、印象深く残っております。

 また、先生の体調がすぐれず、床についておられた時のこと。
 夢でうなされ、声がするので近づくと、何とフランス語でしゃべっておられるではありませんか。60年前に滞在されたフランスの言葉が出てきたことも驚きでした。

 先生の体力も徐々に弱られ、ご一緒に散歩もできなくなり、家の中で過ごされるようになりました。
 ちょうどその頃、お子様とお孫様から、お誕生日に電子ピアノがプレゼントされました。弾きやすいようにと、お嬢様がピアノの鍵盤にドレミの音階を貼られ、先生は楽譜を見ながら右手で一生懸命弾いておられました。
 90歳を過ぎても新しいものに挑戦され、頑張っておられた姿が眼に浮かびます。私も伴奏のパートを弾かせて頂けたのは、今でも懐かしい思い出です。
 最期はご自宅でご家族に看取られながら、幸せな生涯を閉じられました。

 現在、私がお世話をしているO様は、音楽や絵画がご趣味です。
 私がお持ちしたラベンダーの花を絵に描いて下さり、展示会に出品されたり、ポストカードにして下さいました。うれしい限りです。

 ベルの会の方々との出会い、ヘルパーとしての出会い、人との縁を大切にしていきたいと思います。

(J.Y)

コメント


Y先生は心に残る利用者のお一人です。介護料の請求をさせて頂くだけで、直接お話しすることはありませんでしたが、ヘルパーさんたちの話や記録書をとおして、そのお人柄がよくうかがえました。お元気な頃はご専門のお話を楽しく伺いに行くヘルパーが居たりして。鎌倉の海近く、穏やかな老いの日々を重ねて、少しずつ衰えて去って行かれた。あんな風に私も、と思わせるお姿でしたね。そして現在のO様も、もう随分長いお付き合いになりますが、心優しいYさんの訪問で生き生きとした生活を続けておられます。どうぞ良い日々を!と声援をおくります。


投稿者: てんと虫 | 2009年01月30日 08:59

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プロフィール
NPO法人鎌倉ホームヘルプ協会ベルの会
1991年に会員制による非営利有償の配食・ホームヘルプサービス団体として発足。2002年にNPO法人化。介護保険発足後は訪問介護事業に加え、地域支援型のホームヘルプサービスと週2回の配食サービスを行っている。利用会員235名、協力会員121名、賛助会員40名。鎌倉の食材を用いてつくられる季節感あふれるお弁当は、長年愛好するファンが多い。
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