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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部ソーシャルワークコースで教員をするとともに、他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。大学教員になる前は、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

特別編II 第30回社会福祉士国家試験 午後<専門科目>問題の講評

 先週と今週の2回に分けて、第30回社会福祉士国家試験の講評を行っています。今回は、午後<専門科目>問題についてです(解答速報の閲覧登録はこちらから)。

 国家試験から約10日がたちます。その後、何か新しい取り組みを始めましたか? そのための準備を始めていますか? 時間はどんどん前に進んでいきます。3月15日の合格発表後から準備を始めていては遅いと思います。今から、次年度の準備、次年度の体制作りをしておくとよいと思いますよ。

 さて、午後<専門科目>の試験科目は以下の8科目で、試験時間は13時45分~15時30分までの105分(1時間45分)でした。

  • ■ 社会調査の基礎(7問)
  • ■ 相談援助の基盤と専門職(7問)
  • ■ 相談援助の理論と方法(21問)
  • ■ 福祉サービスの組織と経営(7問)
  • ■ 高齢者に対する支援と介護保険制度(10問)
  • ■ 児童や家庭に対する支援と児童・家庭福祉制度(7問)
  • ■ 就労支援サービス(4問)
  • ■ 更生保護制度(4問)

 第30回試験の午後<専門科目>では、やや難しい問題が所々で出題されていましたが、基本的な項目をしっかり押さえておけば、きちんと得点できた問題が多かったと思います。

 事例問題については、全体的に易しい問題が多く、内容としては、相談援助系の事例問題では、社会福祉士(ソーシャルワーカー)の対応事例が出題されました。その他の事例問題は、知識と実践を問う応答問題が出題されました。

 それでは、午後<専門科目>について、科目ごとに講評していきたいと思います。

基礎的な知識から関連知識まで問われました

社会調査の基礎(7問)

 本科目は、昨年同様の難易度でした。量的調査の分析(解析)法からの出題がなかった分、やや易しく感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか? 調査の基礎がキチンと出題されていた印象です。構成としても、調査の基礎(倫理・個人情報保護)からはじまり、量的調査法、質的調査法から万遍なく出題されていました。つまり、かなり基礎的な問題が出題されたということです。そして、過去問や模擬問題などを中心に、調査の基礎や、各調査の留意点、特有の用語を丁寧に学習してきた人は、得点できたのではないでしょうか。出題が予想された量的調査における標本抽出法についても、中央法規の対策講座でしっかり取り上げ、時間をかけて解説してありました。全数調査・標本調査、横断・縦断調査、質問紙調査の基礎…やりましたよね。会場を駆け回って、ね(笑)。
 この他、「量的調査」について、出題を予想していた「グランデッド・セオリー・アプローチ」については、ズバリ出題されていましたし、フォーカスブループインタビュー、非構造化面接など、重要項目としていました。そういった意味では、過去問解説集で丁寧に整理して、模擬問題集などで応用を確認していた方は、キチンと得点できたのではないでしょう。

相談援助の基盤と専門職(7問)

 本科目は、「相談援助の理論と方法」とセットの科目といえます。本科目は、社会福祉士やソーシャルワーカーの倫理、価値に重きが置かれ、社会福祉士にとって重要な原理・原則についても取り扱われています。これに、ソーシャルワークの歴史的変遷といった内容も含まれます。
 第30回試験を見てみると、問題91で「社会福祉士及び介護福祉士法」、問題92で「ソーシャルワークのグローバル定義」について出題されました。基礎的な問題だったので、得点できた方も多いのではないでしょうか。このほか、「ノーマライゼーション」や「民生委員法」などが問われました。事例問題では、母子生活支援施設の社会福祉士の対応として、相談援助の理念である「人権」や「尊厳の保持」、「他職種との連携・協働」の価値・倫理に従った支援のあり方や、ストレングス視点に着目した支援の実際について問われていました。

相談援助の理論と方法(21問)

 本科目の問題数は全21問と、全科目のなかで一番配分が大きい科目です。本科目でしっかりと得点できていることが合格の必須条件だと思います。今回は、全21問中8問(1/3)が事例問題でした(本科目の事例問題は昨年に比べやや増加しています)。内容的には、昨年度の試験と同様の傾向でした。
 理論・アプローチ、モデルに関する問題や相談援助の過程に関する問題も例年同様に多く出題されました。傾向も、例年同様です。理論・アプローチ、モデルに関する問題を見てみると、システム理論、生活モデル、課題中心アプローチ、エンパワメントアプローチなどに関する問題が問われていました。また、ソーシャルワーク・プロセスでは、インテークやプランニングについて問われました。
 このほか、ケースマネジメントやスーパービジョン、記録など、社会福祉士にとって重要な技術についても問われました。また、グループワークについても出題されていました。

福祉サービスの組織と経営(7問)

 本科目の出題基準は、(1)福祉サービスにかかる組織や団体、(2)福祉サービスの組織と経営にかかる基礎理論、(3)福祉サービス提供組織の経営と実際、(4)福祉サービスの管理運営の方法と実際となっています。
 第30回試験を見てみると、これら4項目が万遍なく出題されていました。難易度としては、昨年度の試験と同様のものでした。内容を見てみると、社会福祉法人の制度について問われました。こちらは、出題も予想されていましたし、今年度の重要項目(制度改正)でしたので、得点できた方も多いのではないでしょうか。
 この他、組織の理解として組織と外部環境(問題122)、サービスマネジメント(問題123)など、組織論・運営論とともに、人材の確保・育成については、問題124で「福祉・介護サービスの提供体制の確保」や、問題125で「人材育成の研修」に関する内容が問われていました。
 今回出題されなかった項目としては、集団理論やリーダーシップ理論、労働意欲やキャリア形成に関する「人材の育成と確保」に関する内容です。この組織におけるキャリア形成や人材の確保育成、メンタルヘルスケアなどの知識については整理しておくと、今後の実践でも役立つと思います。