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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部で教員をするとともに、埼玉県立大学をはじめ他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。昨年までは、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

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第24回 クローズアップ~人体の構造と機能及び疾病

 さて、今回から各科目で重要となる事項について詳しく説明をしていきたいと思います。本講座もいよいよ国家試験モード。皆さんの心や気持ちも、そろそろ試験モードに切り替えていってくださいね。

 この段階で用語や理論などの基礎的なことをしっかりと勉強しておくことが非常に重要です。国家試験の当日は、混乱してしまったり、パニックでいつもの力を発揮することはとても困難です。ですから、本番当日は、繰り返し学習したことしか確実に発揮することはできません。あと、学習で重要なことは、試験当日をしっかりとイメージして行うことだと思います。

 では今回は、「人体の構造と機能及び疾病」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。

「人体の構造と機能及び疾病」のポイントの振り返り

 本科目のポイントを振り返ってみますと、本科目は、近年の傾向として出題基準に則って、広域にバランスよく出題されています。また、各論というよりも概論について問われている傾向があります。問題数は、全150問に対して7問が出題されています。

 このことから、本科目の攻略法は、やはり基礎をしっかりと暗記しておくことです。試験に出題されるか、出題されないかは別な問題として、各器官や、臓器の名称や部位、機能や役割を理解しておくことは非常に重要です。ワークブックなどを参考に、疾患の特徴や後遺障害などを関連づけて学習すると効果的です。

 疾患や障害などの医学一般の知識を問う問題としては、高齢者に多い疾患やその病態、精神の発達とその障害などが出題されています。また、成人疾患と人体部位に関する問題や運動器における疾患、糖尿病や認知症(事例問題)など、知識を問う問題も出題されています。さらに、健康の定義やDSM(精神疾患の診断・統計マニュアル)などの基礎的な知識を問う問題も出題さています。

 以上を踏まえ、疾患の理解としては、難病や生活習慣病、がん(悪性新生物)、脳血管疾患(脳卒中)、心疾患などについて、特にしっかりと学習しておくことが重要です。また、障害の理解では、身体障害(内部障害含む。)をはじめ、知的障害や精神障害に関する理解も必要です。あと、高次脳機能障害といった障害の特徴や内容についても学習しておいてください。さらに、介護概論や介護技術などに関連した問題(住環境の整備含む)や医行為に関する問題は、出題される可能性がありますので、確認・整理を怠らず、準備しておいてください。

 今回は、脳血管疾患(脳卒中)と高次脳機能障害の解説と、認知症、がん(悪性新生物)、心疾患の解説をしておきたいと思います。

脳血管疾患(脳卒中)と高次脳機能障害

脳血管疾患(脳卒中)

 まず、脳血管疾患(脳卒中)について整理したいと思います。

 脳血管疾患は、2015(平成27)年の日本における死亡者の8.7を占めており、がん(悪性新生物)28.7%(第1位)、心疾患15.2%(第2位)、9.4%肺炎(第3位)に次いで、死因の第4位となっています。また、寝たきりの起因をみてみますと、脳血管疾患によるものが約半数以上となっており、さらに認知症の約20%から30%は脳血管性認知症であるといわれています。

 脳血管疾患は、いわゆる生活習慣病と呼ばれる高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などとの関連がとても強いと指摘されており、生活習慣病予防は、脳血管疾患予防ともいえるため、食生活や嗜好品、運動、日常生活活動などに留意する必要があります。

 脳血管疾患の分類は、大きく分けると2つになります。脳の血管が破れて出血するものには、脳出血、くも膜下出血などがあります。前者の脳出血は、高血圧と関係し、血圧のコントロールが重要です。後者のくも膜下出血は、くも膜内で脳動静脈が破裂し出血することで発症し、症状は激しい頭痛が特徴であり、また、突然に意識障害が表出します。時には、嘔吐やけいれんで始まることもあります。

 また、脳の血管が詰まるものとしては、脳梗塞があります。脳梗塞は、脳血管疾患の約6割を占め、脳動脈硬化から血栓が形成され脳血管内腔が閉じる脳血栓と、心房細動(心臓の不整脈)などのために心臓内にできた血栓が脳血管に運ばれて、閉じてしまう脳塞栓とに大別できます。高齢者の場合は、失禁や排尿をコントロールしようと水分を制限し、脱水によって血液濃度が濃縮されてしまったり、多血症や血圧低下などによって脳血栓を生じることもあります。

 このほか、一過性脳虚血発作(TIA:Transient Ischemic Attack)は、内頸動脈の血栓が離れて脳の小動脈を閉鎖します。血栓はすぐに溶解し、意識障害の症状は数分から24時間以内に消えます。しかし、TIAを起こした人の約20~40%は脳梗塞に移行するといわれており、TIAを起こした人は脳梗塞予防が重要となります。

表 脳卒中の種類
血管が破れて出血するもの(1)脳出血
(2)くも膜下出血
血管が詰まるもの(3)脳梗塞
  ・脳血栓
  ・脳塞栓
(4)一過性脳虚血発作(TIA)

 では、脳血管疾患が起こる部位とそれに伴う後遺障害について簡単に説明しておきたいと思います。まずその前に、脳について整理しておきますと、脳は機能に応じて、大脳・間脳・脳幹・小脳に分けられています。各部位について簡単に解説しておきますと、大脳は、情報を識別し、それに応じた運動の指令を出します。間脳は、主に視床と視床下部(「欲」に関する中枢がある)に分かれています。また、脳幹は、中脳・橋・延髄に分かれており、延髄は脳幹の一番下に位置し、生命の維持に不可欠な呼吸や心拍、血圧などの中枢があります。最後に、小脳は、筋力の微妙な調整や筋緊張の抑制、筋力のバランスなどを取る働きがあり、この部分を損傷すると、大きな麻痺というよりかは体幹のアンバランスさなどの後遺障害が表出することがあります。

 さて、脳血管疾患の後遺障害の特徴は、片麻痺であるということです。上肢と下肢の麻痺の度合いの違いはありますが、片麻痺であることが、脳血管疾患の後遺障害の特徴です。また、右大脳の脳卒中の場合は、損傷脳の逆側の左半身に運動障害が生じます(左片麻痺)。さらに、左側の視野の障害には、手に触れる物の形を認知できない、空間的な位置を認知できない、左側の身体および空間を認知できないなどの障害が残ります。次に、左大脳の脳卒中の場合ですが、右半身に運動障害が生じます(右片麻痺)。また、右側の視野の障害や右半身の感覚障害、失語症、右側の身体および空間を認知できないなどの障害が残ります。

 失語には2種類あり、(1)感覚性失語は、大脳皮質にある言語野のウェルニッケ野の損傷で起こり、流暢な発話はありますが、聞く・読むなどの理解面に障害が現れやすいです。一方、(2)運動性失語は、言語野のブローカ野の損傷で起こり、聴覚的理解はありますが、ぎこちない発語をする特徴があります。

 また、小脳の脳卒中では、平衡感覚の障害が起きます。そして、手のふるえ(振戦)や姿勢の異常などの障害が残ります。

 最後に、脳幹の脳卒中について整理しておきましょう。脳幹とは、大脳や小脳からの神経繊維が集まり統合されて脊髄につながるところです。つまり、脳幹は生命を維持するための中枢であり、呼吸、血圧および心臓の動きをコントロールしているとても重要な部位といえます。そのため、目の動きや聞くこと、話すこと、物を飲み込むことなども制御しています。さらに、両手足を動かすための神経はすべてここを通っているため、脳幹の脳卒中では、重症の場合には突然昏睡状態となり、両手足がまったく動かなくなるといった四肢麻痺や呼吸状態も悪くなり、死亡することもあります。軽い場合には、めまいや嘔吐、手足のしびれ、舌のもつれなどで発症し、徐々に悪化するとされています。