メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部で教員をするとともに、埼玉県立大学をはじめ他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。昨年までは、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第15回 「社会調査の基礎」のポイント

 さて、今回は、「社会調査の基礎」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容で整理していきます。

 今回から、「専門科目」の8科目です。例年、「共通科目」より得点できるといった声が多い8科目です。言うなれば、この8科目で1点でも多く得点することが、合格の必要条件になりそうです。そういった意味では、感覚で覚えている用語や法律などについても、もう一度キチンと用語辞典社会福祉小六法テキストワークブックなどに戻り、丁寧に学習することが重要と言えます。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.社会調査の意義と目的、2.統計法、3.社会調査における倫理、4.社会調査における個人情報保護、5.量的調査の方法、6.質的調査の方法、7.社会調査の実施にあたってのITの活用方法の7項目があげられています。

第29回試験をみてみると…

 第29回試験は、基礎的な問題が出題されていました。そういった意味では、本科目は、基本的な内容や用語等不確実なものを確実に学習することが重要です。勉強法としては、過去問解説集模擬問題集の解説を中心に整理していきましょう。

 内容としては、(1)社会調査の倫理に関する問題や統計法についてとわれました(社会調査の基礎)。この他、(2)量的調査、(3)質的調査に関する問題が出題されています。このような構成は例年通りです。今後も、このように全7問中、(1)社会調査の基礎や概論から1~2問、(2)量的調査の内容から2~3問、(3)質的調査の内容から2~3問出題されるでしょう。したがって、質的調査の知識だけでなく、量的調査に関する知識の習得も重要となります。特に、用語と概念については、必ず整理しておきましょう。

 それでは、出題基準で取り扱われる7項目をもとに整理していきます。前述の3分類((1)社会調査の基礎や概論、(2)量的調査の内容、(3)質的調査の内容)に沿って解説していきます。

各項目の詳細について

(1)社会調査の基礎や概念

1.社会調査の意義と目的

 本項目では、社会調査の意義と目的、社会調査の対象などについての理解が重要です。

 まず、「社会調査」とは、一定の社会や社会集団の特性を明らかにするために、社会事象を対象として、その対象やそれに関連する事実を直接的にデータ収集し、そのデータを処理・分析する全作業過程およびその方法のことをいいます。

 また、「社会福祉調査」とは、世論調査や統計調査などを含む社会調査を応用したもので、共通の手法を用いますが、調査目的を社会福祉問題の抽出や問題解決、防止のための資料の提供と位置づけるという特徴から、厳密には、社会調査と区別しています。この場合の調査内容は、(1)現在提供されている社会福祉サービスに対する要求や潜在的なニーズの発見などの福祉ニーズの的確な把握と分析、(2)ニーズ充足のために提供される福祉サービスの効果の測定があげられます。調査方法は、データの質に沿って大別すると、量的調査と質的調査に分けられます。量的調査、質的調査については、次の(2)、(3)で整理していきます。

 過去の問題を見ておくと、第29回試験で、社会調査の種類と意義について問われ、第27回試験は、調査の対象に関する問題が問われています。例えば、センサス、社会調査、国勢調査、労働力調査(総務省)などです。内容的には、非常に基礎的なものですが、過去問をベースに整理しておきましょう。現時点では、まず用語の意味を整理しておきましょう。

2.統計法

 本項目では、統計法の概要について理解することが重要です。ここでも特有な用語の理解や整理が中心となります。簡単に整理をしておくと、統計・調査方法により、(1)全体対象とする統計的・量的な全数(悉皆)調査、(2)部分を対象とする統計的・量的な標本(一部)調査、(3)部分を対象とする記述的・質的な事例調査、(4)全体を対象とする記述的・質的な集落調査に分けられます。

 本項目に関する問題は、第26回試験では、「2007(平成19)年改正の統計法」に定められた基幹統計及び機関統計調査に関する問題が問われました。また、第23回試験では、「2009(平成21)年4月1日から全面施行された統計法」に関する問題が出題されました。

3.社会調査における倫理、4.社会調査における個人情報保護

 この2つの項目では、社会調査における倫理、社会調査における個人情報保護の理解が重要となります。特に、事例調査や実践研究における事例の取り扱いについては、各専門職団体や各学会が示す投稿規程や事例取り扱いの留意点などを参考にするとよいでしょう(例:社団法人日本社会福祉士会「会員が実践研究等において事例を取り扱う際のガイドライン」(2003(平成15)年4月19日制定参照)。本項目は、出題の頻度が高いです。

 過去問を見てみると、第29回試験は、調査者の倫理について問われています(問題85)。こちらは過去問をベースに見ておいてください。また、第27回試験でも、問題85で「社会調査の実施における倫理的配慮」について、具体的な内容が出題されています。また、第26回試験でも、問題85で、社会調査における個人情報保護に関する問題が問われました。さらに、第25回試験では、問題84の事例問題で、「調査の企画(目的と方法)」、第24回試験では、問題77の事例問題で、「社会調査における倫理」についての具体的な内容が問われました。現役学生の皆さんは、卒業論文の指導教員から指導を受けていると思うので大丈夫だと思いますが、調査には倫理や個人情報に関する視点が重要となります。

 さらに、第23回試験でも、「学生が社会調査を行う上での調査倫理上の観点」を問う問題が、事例問題として出題されました。第22回試験では、「社会調査を実施する過程での個人情報の取扱い」に関する問題が出題されました。このように、毎年出題されている項目なので、必ず確認しておいてください。

7.社会調査の実施にあたってのITの活用方法

 少し項目の番号が飛んでしまいますが、本項目では、社会調査の実施にあたってのITの活用方法についての理解が求められます。近年、社会調査を行う際、さまざまな場面でITが利用・活用されています。特に、文献収集の際にITを利用し、活用することで、多くのデータを効率的かつ短時間で収集することができます。また、研究機関や大学等の図書館では、文献データベースが整備されています。このようなITの利用および活用法の理解と、限界性や注意点をまとめながら整理しておきましょう。

 第28回試験で、「社会調査におけるコンピューターやインターネットの活用」に関する問題が問われています。非常に基礎的な内容から、時事に関する内容まで幅広く問われています。ちなみに、平成27年の国勢調査では、インターネットによる回答が実施されました。皆さんのなかでも、インターネットで回答された方もいるのではないでしょうか? 結果(総務省)としては、インターネット回答率は36.9%で、スマートフォンからの回答率は12.7%でした。このほか、最も回答率が高かったのは滋賀県で47.5%、次いで、富山県、岐阜県、奈良県、静岡県と続き、16の県で4割を超えていました。

 今後も出題される可能性が高い分野ですので、例えば、文献データベースやIT活用などに関するルールや倫理などについては、前項と関連づけて学習しておきましょう。