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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部で教員をするとともに、埼玉県立大学をはじめ他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。昨年までは、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第31回 クローズアップ~障害者に対する支援と障害者自立支援制度

 今回は、「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。

「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」のポイントの振り返り

 本科目は、大きく(1)障害者に対する支援、(2)障害者自立支援制度に分けることができます。

 まず、この(2)障害者自立支援制度については、障害者自立支援法が、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための新たな障害保健福祉政策として、2013(平成25)年4月1日より「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」へ変更されました。また、これに伴い障害者の範囲についても、「制度の谷間」を埋めるべく、難病などが加えられました。

 次に、(1)障害者に対する支援では、障害者の生活実態や社会情勢、障害者基本法などの障害者福祉制度の発展過程、障害者の雇用や就職に関する問題が出題されています。

 過去の問題を見てみると、(1)障害者に対する支援としては、障害者の生活実態や社会情勢、在宅障害者の同居者の状況、障害者基本法などの障害者福祉制度の発展過程、障害者の雇用や就職に関する問題が出題されています。具体的には、「障害者福祉の歴史的展開」に関する問題が出題されました。このほか、「障害児支援」「身体障害者福祉法」「障害者手帳」などの基礎的な問題が出題されています。「障害者手帳」については、かなり具体的な内容まで問われており、療育手帳や精神障害者保健福祉手帳は、基本的に有効期間を設定しているのに対し、身体障害者手帳については、基本的に「障害の固定」が申請の条件となっているため、原則として身体障害者障害程度の再認定は必要とされていません。さらに、障害者の雇用や就職に関しては、「バリアフリー新法」や障害者の雇用の促進等に関する法律に規定する「障害者法定雇用率」やジョブコーチ、障害者の就職に関する問題が出題されています。あと、障害者の虐待防止や権利に関する問題については、今後も重要項目といえます。

 (2)障害者自立支援制度については、障害者総合支援法の具体的な内容に始まり、総合支援法における行政の役割などについても問われています。こちらについては、ワークブックなどを活用して、図式で全体の像を整理しておきましょう、相談支援事業に関しては、重要項目といえます。

障害者とは――法律による定義

障害者基本法

 障害者とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」(第2条第1項)
 また、社会的障壁とは、「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう」(第2条第2項)

 「障害者基本法」は、わが国の障害者政策の基本となる法律で、1970(昭和45)年に制定された「心身障害者対策基本法」が、1993(平成5)年に全面的に改正されたものです。さらに、2011(平成23)年8月に改正がされ、第1条で、「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため」を加えた内容になりました。

身体障害者福祉法

 障害者(身体障害者)とは、「身体上の障害がある18歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう」(第4条)

※身体障害者手帳は、居住また現在地の都道府県知事(指定都市市長・中核市市長)に、指定された医師(指定医)の診断書を添えて申請します。

 「身体障害者福祉法」は、1949(昭和24)年に制定されたわが国初めての障害者を対象とする法律です。この法律は、1990(平成2)年に改正され、法の目的として「身体障害者の自立と社会経済活動への参加の促進」が新たに明文化されました。この法律では、「身体上の障害」として、障害を具体的に別表と政令で示しています。その別表には、視覚障害、聴覚または平衡機能の障害、音声機能、言語機能またはそしゃく機能の障害、肢体不自由、心臓、じん臓または呼吸器の機能の障害などが示されており、さらに政令に基づいて、ぼうこうまたは直腸の機能、小腸の機能、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫の機能の障害などが加えられています。2010(平成22)年には、肝臓機能障害者が加えられました。

知的障害者福祉法

知的障害者福祉法では、知的障害について具体的な定義をしていませんが、療育手帳制度が利用されています。本手帳制度については、昭和48年の厚生事務次官通知「療育手帳制度について(療育手帳制度要綱)」によって開始されました。

※療育手帳は、本人またはその保護者が福祉事務所に申請し、児童相談所または知的障害者更生相談所の判定に基づき都道府県知事(指定都市にあっては市長)が交付します。その分類や判定方法は各自治体で異なっています。

 「知的障害者福祉法」は、1960(昭和35)年に制定された「精神薄弱者福祉法」が1998(平成10)年に名称変更されたものです。この法律には、知的障害者についての具体的な定義がなく、実務上では、2005(平成17)年の「知的障害児(者)基礎調査」の定義である「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別な援助を必要とする状態にあるもの」を利用することがあります。また、療育手帳制度で、障害の重さ(程度)を基に区分したものを利用することもあります。

 精神障害者については、長年、医療や保健の対象としてサービスや政策が作成されてきましたが、現在は、保健・医療・福祉が連携をとりながら、サービスや政策が作成されています。2005(平成17)年成立の「障害者自立支援法」(2013(平成25)年4月1日より「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」に変更)にも、その対象に精神障害者が加えられています。

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)

障害者とは、「身体障害者福祉法に規定する身体障害者、知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち18歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に規定する精神障害者(発達障害者支援法に規定する発達障害者を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く)のうち18歳以上である者並びに治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病であって政令で定めるものによる障害の程度が厚生労働大臣が定める程度である者(いわゆる難病等)であって18歳以上であるものをいう」 (第4条)

 障害者総合支援法は、「身体障害者」「知的障害者」「精神障害者」の3障害に加え、「難病等」を包括するものとして捉えることができます。

手帳制度について ※前述の整理

 手帳制度についても整理しておいてください。障害者手帳には、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳があり、それぞれの障害に手帳制度が存在します。

 身体障害者手帳は、視覚障害、聴覚障害をはじめ、平衡機能、音声・言語機能、そしゃく機能の障害、肢体不自由、心臓、じん臓、呼吸器、ぼうこうまたは直腸・小腸の各機能障害、免疫機能障害などがあります。また、2010(平成20)年4月より肝臓機能障害も追加されました。内容については、必ず確認しておいてください。手帳の等級は、1級から6級(等級表は7級)までに区分され、1級が「障害が最も重く」、日常生活に支障をきたすなどの状況といえます。また、手帳は都道府県知事から交付されることとなっています。

 次に、療育手帳は、厚生事務次官通知「療育手帳制度について」に基づいていますが、自治体によって等級区分や手帳名称にばらつきがあります。前述のとおり、知的障害者福祉法では知的障害者を定義していません。この手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所での判定により、原則、有効期間は2年とされています。

 最後に、精神障害者保健福祉手帳は、統合失調症、精神作用物質による急性中毒または依存症などの精神疾患を有する者(知的障害者を除く。)が対象で、1級から3級に分かれており、有効期間は2年とされています。

 以上、簡単ですが、手帳制度について整理しました。重要な項目ですので、確認しておいてください。

障害者総合支援法

 障害者総合支援法は、2005(平成17)年11月に制定された障害者自立支援法が、地域社会における共生の実現に向けて、障害福祉サービスの充実等障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための新たな障害保健福祉政策として、2013(平成25)年4月1日より「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」へ変更されたものです。

 その第1条では、「障害者基本法の基本的な理念にのっとり、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律、児童福祉法、その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって、障害者及び障害児が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い、もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする」と規定しています。つまり、障害者(児)が地域社会で暮らせる「自立」と「共生の社会の実現」を目指すことを目標としています。

 概要を簡単に解説しておきます。ここでいう障害者および障害児が日常生活または社会生活を営むための支援とは、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念を基礎としています。

 よって、すべての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、すべての障害者および障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活または社会生活を営むための支援を受けられることにより、社会参加の機会が確保されることおよびどこで誰と生活するかについての選択の機会が確保されるとしています。さらに、これにより、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと並びに障害者および障害児にとって、日常生活または社会生活を営むうえで障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資することを旨として、総合的かつ計画的な支援の実現を大きな目標としております。

 つまり、障害者自立支援法は、「自立」について着目しているのに対し、障害者総合支援法は、「自立した」という表現から、「基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい」に改めるなどの変更点があります。

 以上が、障害者総合支援法の概要ですが、これに関連して、「障害者差別解消法(障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律)」と、「障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の擁護者に対する支援等に関する法律)」については、障害者の権利擁護や共生社会の実現といった、本法の理念・目的に関係する法律ですので、必ずチェックしておいてください。

 以上、「障害者に対する支援と障害者自立支援制度」の解説でした。

 次回は、「クローズアップ~低所得者に対する支援と生活保護制度」です。

 社会福祉士の国家試験勉強は、合格を目的とするものですが、社会福祉士という国家資格は、自身の生活や仕事における向上だけでなく、社会とどのように付き合い、社会にどのように参加、貢献していくかを考えさせてくれますね。

 国家試験勉強、今が一番大変な時期かもしれません。焦るし、できないし、わからないし……。 でも、この時期を乗り越えられるかどうかが、合否の分かれ目だと思います。

 最後の最後まで、一緒に頑張りましょう。

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