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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部で教員をするとともに、埼玉県立大学をはじめ他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。昨年までは、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第25回 クローズアップ~心理学理論と心理的支援

 もう秋ですね。食卓にも秋の食材が並ぶようになりました。

 「秋の夜長」なんて言葉がありますが、1年で最も夜が長く感じられる季節です。「ノンビリと夜を活用できる」なんていわれていますよね。私にとっては、明るい時間が短くなったので、何となく1日が短くなったように思えてしまいますが…。この夜長を有効に活用してみてください。

 さて、今回も先週に引き続き、各科目の重要な項目を焦点化して、解説をしていきたいと思います。今回は、「心理学理論と心理的支援」で特に理解しておくべきポイントについて解説します。

「心理学理論と心理的支援」のポイントの振り返り

 本科目は、例年、出題基準から幅広く、そしてかなりバランスよく出題されています。過去に出題された内容としては、感覚・知覚、社会的な行動、発達理論、ストレスなどに関する問題が出題されています。基礎的な内容ですが、非常に重要な内容です。内容的には、ワークブックなどを活用し、整理しておけば十分対応が可能な問題です。また、毎年出題されている内容として、心理療法に関する問題があります。こちらについては、必ず出題されると思って、各療法について整理しておいてください。代表的ないくつかの心理療法を示しておきますので、不明な療法や曖昧な療法については、過去問をベースに必ず確認しておいてください。来談者中心療法、遊戯療法、認知行動療法、心理劇(サイコドラマ)、森田療法、精神分析療法、箱庭療法、回想法、社会生活技能訓練(SST)、内観療法、芸術療法です。また、(心理)検査法も重要です。例えば、ロールシャッハ・テスト、YGPI、エゴグラム、TAT,P-Fスタディ、SCT,MMPI、バウム・テスト、作業検査法、ウェクスラー式知能検査、ビネー式知能検査などが挙げられます。こちらの心理検査についても、検査の名称とその基本的な内容といったレベルで十分ですので、必ず確認しておきましょう。では、重要項目の確認をしておきます。

燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)

 燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)は、フロイデンバーガーが提唱した概念で、仕事への気力を燃え尽きたかのように失って、心身ともに疲れ果てた不適応状態のことをいいます。特に、緊張の持続を強いられたり、努力が報われなかったり、努力の成果が現れにくい仕事や職業についた人に多くみられることがわかっています。例えば、医療や福祉の従事者もそれに相当します。

 燃え尽き症候群への対処としては、個人レベルのみでなく組織レベルで、職場環境や経営体制、人材管理の視点からも取り組む必要があります。具体的には、職員のメンタルヘルスや早期発見・早期対応、研修会などの教育プログラムの実施などがあげられます。

 また、ソーシャルサポートもストレスからの回復に重要な概念です。ソーシャルサポートは、フォーマルとインフォーマルを包括する活動かつ関係で、友人や家族、仲間のサポートグループ、聖職者(宗教家)、ホームドクター、専門の治療者を含む総合的なサポートと定義されます。ソーシャルサポートの機能としては、道具的(手段的)サポート、情緒的サポートと大別され、前者の道具的(手段的)サポートは、直接的サポート、間接的サポートに分類され、後者の情緒的サポートは、情緒面サポート、認知面サポートに分類されています。

 なお、本項目については、ストレスなどと関連付けて学習することが重要です。例えば、セリエ(Selye,H)は、長期にわたるストレス状態が続くと一定のパターンの身体症状が出現し、(1)警告反応期→(2)抵抗期→(3)疲弊期と移行段階を示しました。この他、ストレスに関する基礎知識としては、「ハーディネス」という用語があります。「ハーディネス」は、ストレスに直面しても身体的、精神的に健康を損なうことが少ない人の性格のことで、また、ストレス反応を軽減しようとする心の対処能力を「コーピング(対処能力)」といい、(1)問題焦点型コーピング、(2)情動焦点型コーピングに分類されます。このように、ストレスに関する基礎的知識は必ず整理しておきましょう。出題の頻度、可能性共に高いと言えます。

表 ストレスの三段階
段階(期)内 容
警告反応期ストレスに対する抵抗力が、まだできていない状態の時期
抵抗期ストレスに対して適応ができる状態の時期
疲弊期ストレスに対する抵抗力が限界に達し、最終的には死に至る状態の時期

 最後に、ストレスに関連する「心的外傷後ストレス症候群(PTSD)について整理しておきます。PTSDとは、不安障害の一型で、著しい恐怖体験やストレスによる外傷的出来事の反復的想起、外傷時の出来事を思い出すような場所や行動の回避、入眠困難・集中困難・過度の警戒心などの状態が1か月以上持続するものをいいます。この時、トラウマカウンセリングを行いますが、身体・心理的な安全の確保が最優先されます。

心理療法

 次に、心理療法について整理します。本項目は、毎年度出題されており、もちろん前回の第28回試験でも出題されています。要チェックの項目ですね。

 まず、精神分析について整理していきます。精神分析とは、フロイトによって創設された心理学理論であり、無意識の世界への着目が特徴といえます。精神構造は、「エス」「エゴ」「スーパーエゴ」に分類され、「エス」とは、人間の本能的な部分で快楽に従い、「スーパーエゴ」とは、道徳に従って、エスの直接的な行動を阻止し、理性的で、良識を保ちます。この両者の間で折り合いをつけ、現実的な調整をするのが「エゴ(自我)」です。

 このほか、いくつかの心理療法について整理しておきます。

 まず、クライエント中心療法ですが、これはロジャーズによって提唱された心理療法で、人間の成長への信頼や、自己一致・無条件の肯定的関心・共感的理解など、援助者の態度や条件を示しました。また、モレノの「心理劇(サイコドラマ)」、森田正馬の「森田療法」、クラインやアクスラインの「遊戯療法(プレイセラピー)」、ベックの「認知療法」、ローエンフェルトやカルフの「箱庭療法」などもあげられます。人生経験や過去の体験の回想、記憶や思い出などによる「回想法」もあり、この回想法は、認知症高齢者のグループでも活用されています。このほか、認知行動療法や芸術療法なども出題されていますので、整理しておいてください。

 また、同じ背景や体験、特性をもつ者同士の共感や、自己洞察などを目的とする「ピアカウンセリング」もあります。これらの心理療法に関しては、必ず確認しておいてください。

表 主な心理療法とその内容
療法名内 容
箱庭療法ローエンフェルトの開発した技法を、カルフが発展・確立させたもの。保護された空間のなかで、クライエントが自由に心の中のイメージを箱庭の中に形作り、治療者が箱庭にみられるテーマを系統的に理解する芸術療法の1つであり、遊戯療法の一技法として発展した。
精神分析フロイトによって創設された心理学理論であり、その最大の特徴は無意識の世界への着目である。精神分析療法は、広義には、精神分析理論を援用した心理療法。
行動療法さまざまな症状を学習された行動もしくは学習の欠陥によるものとしてとらえ、問題となっている行動の消去や、適応行動の強化が学習理論に基づいて実施される。
遊戯療法子どもと治療者が玩具や遊具を用いて、プレイルームで遊びながら治療関係をつくりあげる。
認知行動療法不適切な行動や情動反応の原因を、クライエントのもっている不適切な認知(習慣的思考や思い込み)ととらえ、行動療法の技法を用いて適切な認知に変容させていこうとするものである。
心理劇筋書きのない即興劇を演じさせることによって、参加者の役割行為に変化をもたらし、自発性を回復させようとする集団療法である。モレノによって始められた。
森田療法1週間の絶対臥褥期(個室でただひたすら寝ている)を経て、生の欲望や外界に働きかける意欲を起こさせ、自発的に作業をさせながら外界と自らの精神的現実を「あるがままに」に受け入れていく態度を体得させる。
SST社会的技能とりわけ対人関係場面での対応の仕方について困難性を持つ人を対象とした、対人関係づくりの技能の学習訓練である。社会技能訓練。
来談者中心療法クライエントの成長を促進するセラピストの態度条件として、共感的理解、無条件の肯定的関心、自己一致が必要である。

発達~人の成長・発達と心理

発達とは

 発達とは、心身の形態や機能の成長的変化を表し、成長や成熟、進歩などの意味を含んでいます。この発達に影響する因子としては、「遺伝」と「環境」があります。

 遺伝では、先天的な影響として、親子や兄弟などの血縁関係にある人々の類似性を強調し、環境因では、後天的な相互作用の影響として、社会的環境(社会環境)や文化環境、家族環境から学習するものを強調しています。現在は、二説の相互作用性を重視し、発達とは、遺伝と環境との相互作用の結果によるものとしています。

 遺伝を優勢とする成熟優位説では、ゲゼルが発達における生得的要因として、学習における準備性(レディネス)の重要性を強調し、早くからの訓練より成熟を待ってからの訓練のほうが効果的であると考えました。また、環境を重視する環境優位説では、ワトソンが、成熟の役割を一切認めず、環境からの働きかけを重視し、しつけや訓練が重要であると考えました。

発達段階と発達課題

 次に、発達段階と発達課題について整理してみたいと思います。主な研究者は、ビューラー、エリクソン、ピアジェ、ボウルビィ、ヴィゴツキーです。

 ここでは、エリクソン、ピアジェ、ボウルビィについて整理しておきます。

 まず、エリクソンは、発達概念を出生(乳児期)から成人(成年期後期)にいたる期間だけでなく、生涯発達(ライフサイクル)へと拡張し、人の生涯を8つの段階に区分して理解し、その各段階の発達課題を心理・社会的側面からまとめました。ここでは各段階の詳細についてまではふれませんが、その段階とは、「乳児期」「幼児期前期」「幼児期後期」「児童(学童)期」「青年期」「成年期初期」「成年期中期」「成年期後期」です。エリクソンは、成年期後期(高齢期)の発達課題を「自我の統合」としています。

 次に、ピアジェですが、ピアジェの発達段階説では、子どもの感覚運動からの思考・認知の発達を、(1)感覚運動期、(2)前操作期、(3)具体的(前概念的)操作期、(4)形式的操作期の4段階にまとめ、この順序を踏んで発達するとしています。

 最後に、ボウルビィですが、ボウルビィは、子どもと養育者(主に母)との特別な心の結びつきをアタッチメント(愛着)と呼び、人は、アタッチメントを形成する生得的傾向を有して生まれると考えました。特に、生後2年の時期が重要で、この時期に形成された愛着関係は次第に内化され、その後の人格形成に大きく影響を及ぼすとしています。

 以上、「心理学理論と心理的支援」の解説をしてきました。本科目については、出題される範囲や内容が明確になっているため、学習しやすい科目といえます。本科目の頻出分野については、必ず整理しておきましょう。

国家試験合格で重要なこと

 国家試験は、間違えを少なくすることが重要です。つまり、「わかっているものを、絶対に落とさない(間違えない)」ということが重要です。そしてもう1つ、「取れるものは確実に得点する」ことが重要です。得意科目やできている項目はさらに伸ばし、確実に得点することが重要です。そのためにも、過去の問題を一度解いてみて、苦手・不得意科目を「知っておく」ことが重要です。

 次回は、「クローズアップ~社会理論と社会システム」です。

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