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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部で教員をするとともに、埼玉県立大学をはじめ他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。昨年までは、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第19回 「福祉サービスの組織と経営」のポイント

 さて、今回は、「福祉サービスの組織と経営」の具体的な内容、ポイントについて解説していきたいと思います。今回も、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが示す出題基準に即した内容で整理していきます。

本科目のねらい

 本科目の出題基準によると、大項目として、1.福祉サービスに係る組織や団体、2.福祉サービスの組織と経営に係る基礎理論、3.福祉サービス提供組織の経営と実際、4.福祉サービスの管理運営の方法と実際の4項目があげられています。

第28回試験をみてみると…

 本科目は、午後の科目で苦戦が予想される科目の1つです。例年、出題が予測されている内容としては、「組織理論~動機づけ(問題121)」や「経営に関する基礎・用語説明(問題120)」が挙げられます。しかし、わかっていても、やっぱり難しい。これに加えて出題頻度の高い「管理運営理論」「集団力学理論」「リーダーシップ理論」については、必ず整理しておきましょう。ちなみに、第28回試験では、問題122で、リーダーシップに関する事例問題が出題され、実例をもとに、部下の成熟度に合わせたリーダーシップ行動の変容に関する理論が問われました。

 また例年問われる社会福祉法人(NPO法人やその他の法人)などの組織や法人については過去問ベースでいいので、必ず整理しておきましょう。さらに、単元4「福祉サービスの管理運営の方法と実際」においては、「危機管理:リスクマネジメント(問題124)」をはじめ、「労働法上の労働契約や労働規則、労働協約(問題125)」について問われています。このほか、キャリア形成に関する知識やOJT/OFF-JT、育児・介護休業、メンタルヘルス対策などは必ず整理、学習しておきましょう。また、「男女雇用機会均等法」におけるセクシュアルハラスメントおよび、「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」にけるパワーハラスメントについても、必ず整理しておきましょう。

 つまり、これからの「福祉」を支えるためには、「人(専門職)」をいかに、確保し、育てていくかが重要な課題となります。福祉サービスは、対人サービスであるため、「人(専門職)」なくしては、成り立たないサービスです。そのため、働く人々の労働環境の整備は、福祉サービスの組織や経営の観点から重要となってきます。

 以上、本科目の出題は、前述の4項目から万遍なく出題されており、また、各項目の内容が関連しているため、関連付けて学習すると効率的です。では、出題基準で取り扱われる4項目を整理していきます。

各項目の詳細について

1.福祉サービスに係る組織や団体

 本項目では、福祉サービスに係る組織や団体についての理解が重要です。具体的には、1)社会福祉法人制度、2)特定非営利活動法人制度、3)その他の組織や団体(例えば、医療法人、公益法人、営利法人、市民団体、自治会など)に関して、それらが規定されている法が示す定義、役割、税制、実際などの理解が必要となります。

 ここでは詳細な解説はひかえますが、まず、社会福祉法人について少し整理してみます。社会福祉法人とは、1951(昭和26)年に制定された社会福祉事業法(現・社会福祉法)によって創設された法人です。同法人は、同法(社会福祉法)第22条で、「社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」であると定義されています。この「法人」の性格を分けるものとして営利性や公益性などがあります。営利性とは、経済活動によって得た利益をその構成員(法人職員)へ分配することを主たる目的とし、公益性とは、社会一般の不特定多数のための利益を高めることをいいます。社会福祉法人においては、非営利性と公益性という条件があります。

 もう少し解説しますと、同法第22条でいう「社会福祉事業」とは、同法第2条で限定列挙されており第一種社会福祉事業および第二種社会福祉事業に分類されています。第一種社会福祉事業とは、「公共性の高い事業」かつ「(対象者の)人格の尊厳に重大な関係を持つ事業」と規定されています。

 次に、特定非営利活動法人をみてみますと、同法人は、認証主義によって法人格を取得することができます。法人化をする団体は、特定非営利活動促進法によって、所轄庁であるその主たる事務所が所在する都道府県の知事(1つの政令指定都市内のみに事務所を置く場合は、政令指定都市の長)の承認を得て、登記することによって活動することができます。

 第27回試験をみてみると、社会福祉法人の制度に関する内容が問われています。社会福祉法人については、引き続き重要項目で、今年度は出題の可能性が高いです。何故ならば、平成28年3月には、社会福祉法人改革に関して「改正社会福祉法」が成立し、公布されました。ここでは、「社会福祉法人制度の改革」「福祉人材の確保の促進」の二本柱を中心に、さまざまな法人改革が示されています。詳細については、ここでは解説できませんが、例えば、組織運営のガバナンス強化では、理事会(理事・理事長)、評議員、監事の役割が改められ、理事会は【業務執行者】、評議員は【議決機関】、監事は【監査機関】として位置づけられています。

表 改定社会福祉法に伴う社会福祉法人制度改革が概要
社会福祉法人制度の改革福祉人材の確保の促進
  • 1.経営組織の在り方の見直し(ガバナンスの強化)
  • 2.事業運営の透明性の向上
  • 3.適正かつ公正な支出管理(財務規律の強化)
  • 4.地域における公益的な取組を実施する責務
  • 5.内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下
  • 6.行政の関与の在り方
  • 1.介護人材確保に向けた取組の拡大
  • 2.福祉人材センターの機能強化
  • 3.介護福祉士の国家資格取得方法の見直しによる資質の向上等
  • 4.社会福祉施設職員等退職手当共済制度の見直し

 さらに、過去問を見ておくと、第27回試験では、問題119で「社会福祉法人と医療法人」の経営に関する問題が出題されています。また、問題123では、「社会福祉法人に関する経営体制」について問われました(3.福祉サービス提供組織の経営と実際との関連項目)。

 このように、本項目からは、毎年1問は出題されていますので、必ず確認しておいてください。特定非営利活動法人は勿論ですが、社会福祉法人や、公益法人、営利法人、市民団体、自治会などの組織や団体に関して、それらが規定されている法が示す定義、役割、税制、実際などの理解もしておいてください。