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露木先生の受験対策講座

露木 信介(つゆき しんすけ)

プロフィール露木 信介(つゆき しんすけ)

社会福祉士(認定社会福祉士・医療分野、認定医療社会福祉士)、社会福祉学修士。
 現在、東京学芸大学教育学部で教員をするとともに、埼玉県立大学をはじめ他大学や他専門学校での非常勤講師、現場におけるスーパービジョンや職員研修などを行っている。昨年までは、病院でチーフ・ソーシャルワーカーとして管理業務や相談業務を行っていた。
 受験関係では、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士等の養成講座の講師、受験テキストや模擬試験問題の作成、受験対策講座の講師などを行っている。

第2回 第28回社会福祉士国家試験の講評と要約

2016年熊本地震について

 まず、今回の講義に入る前に、4月14日から連続する熊本を震源とする巨大地震によって、現地では甚大な被害があったと報道されています。日が経つごとに、その深刻な状態、大きな被害があったことが刻々と伝え続けられています。お亡くなりになられた方々には心よりお悔やみを、また不安な気持ちでお過ごしの被災地の皆様には謹んでお見舞いを申し上げます。

 日常や生活が一変してしまいました。被害の拡大が最小限に留まり、一刻も早い復旧ができますよう、心からお祈り申し上げます。

 それでは、このような状況ですが、本日以降の講義も通常通りお送りいたします。少しだけ未来を見つめて…

第28回社会福祉士国家試験 ―チェックしておいてください!

 今回は、3月15日(火)に合格発表がありました「第28回社会福祉士国家試験」の講評と要約をしたいと思います。

 まだ、試験問題を見ていない人は、この機会に一読しておいてください(問題【共通科目】【専門科目】正答)。

 第28回試験の概要を見てみると、受験者数は4万4764人で、うち合格者は1万1735人、合格率は26.2%でした。合格率はここ数年、25%前後で推移しています。

 さて、気になる合格の基準ですが、1問1点で、満点が150点ですが、今回は得点88点以上の人が合格でした。この得点も、昨年度(第27回試験)を除くと、大体80点台前半から後半ぐらいの得点です。しかし、あくまでも合格ラインは6割90点に設定されていますので、皆さんは今から88点を目指すのではなく、90点プラスαの得点を目指してください。

 なお、試験科目の一部免除を受けた受験者は総得点67点に対し得点38点以上の人が合格でした。詳細は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターの情報をご参照ください。

 次に、第28回試験の出題傾向についてですが、これまでの試験同様に、○×の組み合わせや正しいものの組み合わせといった形式による問題はなく、「正しいもの(適切なもの)を一つ選ぶ形式」の問題のみでした。また、第25回試験から新たな出題形式が採用され、「正しいものを二つ選ぶ形式」の問題が出題されていましたが、第28回試験でも出題されました。このような動向は今後も想定されるため、試験という過度の緊張のなかで問題文を的確に読み、柔軟に対応できる適応力が重要となってきます。そのため、「うろ覚え」では対応できず、各項目についてはしっかり暗記、理解しておく必要があります。
 そういった意味で、曖昧な知識では正確な解答まで辿り着けず、解答に迷った人が多かったように思います。このような場合、試験が終わった後、不安な気持ちで合格発表を待つことになります。

 試験を受けた人たちから感想をいただいたのですが、「しっかりと暗記しておけば、意外と解けた問題が多かった」という冷静な感想でした。私も同感です。しっかりと統計や法律、用語などについて整理していた人は、あとはじっくりと、まちがえなく問題を読解さえすれば解答できた問題が多かったと思います。ただ、そうは言っても、やはり、実際の試験となると冷静さを欠いてしまうものです。ここで大切なのが、日頃からの学習になります。繰り返し覚えた知識は、強いプレッシャーの下でも揺るぎない知識としてあなたを支えてくれます。

 また、法律や制度についても多く出題されていました。事前に法律や制度にあたっていた人は、確実に得点できたと思います。この統計や制度に関しては、毎年必ず問われますし、非常に重要な学習ポイントであることがわかります。さらに、このような問題は図表での出題がありませんので、過去問模擬問題を繰り返し、文章に慣れ、問題に慣れていた人は確実に得点できたと思います。

 さらに、合格基準として全19科目(18科目群)の各科目群で点数があることが条件なので、この18科目群の中で1科目群でも0点があると不合格になってしまいます。実際、0点科目があって、不合格だったという人もたくさんいらっしゃいます。このことからも、全科目を万遍なく学習する必要があります。また、得意、不得意は主観的なところも多く、確実に必要・重要項目を暗記、整理していくことが重要となります。実際、社会福祉士として実践するうえでも、幅広い知識と技術の習得は必須条件となりますので、国家試験合格のためだけでなく、取得後の知識としても、必ず整理、暗記しておきましょう。

午前<共通科目>問題について

 午前<共通科目>問題の総評として、本年度の試験の合否を分けた大きなポイントは、用語や概念、理論についてしっかりと理解できていたかだと思います。本年度の試験は、用語や概念、理論にかなり忠実な問題が多かったため、しっかりと学習し、理解していた場合、明快に解答できたと思います。さらに、この基礎知識を具体的に活用する場面が事例などで出題されており、ある意味で応用的な問題だったと言えます。ただし、今年度も、合格点としては、6割90点に合わせられていくと思われるので、1点でも多く得点するためには、やはり基礎固めが重要です。この基礎固めは、夏までにしっかりしておくと、後半がぐっと楽になります。

 問題としては、出題基準や、テキスト、法律などをある程度ベースにしながら作成された問題と、オリジナルに作成された問題とがありました。また、事例問題については、昨年同様にやや長文の事例が出題されていました(特に午後<専門科目>問題)。加えて、昨年度同様に、短文の事例問題が散りばめられていました。また、事例問題としては位置づけられていないものの、実践場面における社会福祉士の判断を問う問題なども多く見受けられました。

午後<専門科目>問題について

 次に、午後<専門科目>問題の総評ですが、社会福祉士の専門科目であるため、詳細で専門的な知識や技術が問われていました。そして、これは毎年のことですが、午前中の共通科目よりも午後の専門科目のほうが得点できたという人が多かったようです。しかし、午後の専門科目の中心的な科目である「相談援助の基礎と専門職」「相談援助の理論と方法」については、基礎的な知識をしっかりと押さえ、歴史的な背景や社会情勢とソーシャルワークを結び付けて理解できていた人は、かなり得点できたと思います。

 この2科目で出題されている事例問題は、午前<共通科目>問題に比べて非常に抽象的なものに感じられました。実際、解答に至るまでの根拠となる知識や理論、技術、価値・倫理等のエビデンスを示して説明することが難しい事例問題もありました。

 それでは、各科目について、講評していきたいと思います。なお、専門科目については、次週に続きます。