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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第24回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 皆さん、こんにちは。今回は「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」を取り上げます。精神障害者を支援するための援助の理論は、精神保健福祉士として実践現場で求められる大切な知識ですから、分野ごとに整理しながら、確実に学習しておきましょう。

 では、最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第20回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉相談援助の基盤」

問題29 病院で、新たに就労支援を目的としたデイケアを立ち上げることとなった。C精神保健福祉士を主任とし、就労支援に関わる新たなスタッフが決まり、立ち上げのための会議を開いた。初めに、それぞれが情報共有を行い、次の段階では、ゴール設定とそれに伴う役割を確認し、SSTを中心としたプログラムが開始された。しかし、初回のプログラムが終了した際に、D看護師から、「この就労支援のSSTでは、就労場面での練習より先に生活面の改善から始めた方がよい。練習課題の設定について会議を開いてほしい」と要望があった。これを受けて、C精神保健福祉士は会議を開催することとした。
次のうち、この時点のチームビルディングの段階として、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 形成段階
  • 2 対立段階
  • 3 規範形成段階
  • 4 実践段階
  • 5 離脱段階

正答 2

解答解説

  • 1 誤り。この事例では、すでにSSTを中心としてプログラムが開始されているので、チームビルディングにおける形成段階には該当しません。チームビルディングにおける形成段階とは、異なる専門職種がそれぞれのもっている情報を提供し合い、それぞれの専門性についての相互理解を深めていく段階です。
  • 2 正しい。具体的な介入が進められていくなかでさまざまな課題が生まれてくることによって、それぞれの考え方の違いや役割に関する見解の相違などが表面に現れてきて対立が生じることがあります。これが対立段階です。対立は、敵対ではなく、よりよい実践を目指すが故の考え方の相違ですから、意見の対立や葛藤をチャンスと捉え、これを適切なコミュニケーションにより解決する方法を見い出していくことを通して、チームとしてのコンピテンシーがさらに強力になっていきます。
  • 3 誤り。規範形成段階は、チームとしての目標を検討し、それが共有され、チームアプローチにおける具体的なそれぞれの専門職種の役割が確認され、信頼関係が深められ、チームとしてのルールや規範が合意され、形成される段階です。この時期は、チームのメンバー相互の信頼も深められ、チームとしての協調性、凝集性が生まれてきます。
  • 4 誤り。実践段階は、対立段階を経て、専門職相互のコミュニケーションと相互理解が深められることによって、相互の信頼がさらに強固になり、チームとしての力量が高められていきます。この段階を実践段階といいます。この事例では、SSTの内容についてD看護師から練習課題の設定についての意見が出され、これから会議が開催される段階なので、対立段階に該当します。
  • 5 誤り。チームとしての目標が達成されると、チームとしての使命を果たしたことになりますので、チームとして、それまでの過程を振り返り、整理して、次のチーム形成に有効に反映させていくための作業を行います。これを離脱段階といいます。この事例では、まだ、チームとしての目標を達成している段階ではありませんので、離脱段階には該当しません。

第19回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉相談援助の基盤」

問題29 精神科医療チームにおける多職種連携のモデルや機能に関する次の記述のうち、適切なもの2つ選びなさい。

  • 1 インターディシプリナリ・モデルは、他のモデルより課題達成のために多職種間で役割を横断的に共有することが多い。
  • 2 マルチディシプリナリ・モデルは、階層構造の中で医師の指示・指導の下に各職種がそれぞれの専門性を発揮する。
  • 3 トランスディシプリナリ・モデルは、階層性はないが各職種の役割はおおむね固定されている。
  • 4 メンテナンス機能は、目的の一致、役割と責任の相互確認及び情報共有を基本にチーの維持を図ることである。
  • 5 タスク機能は、チームの中に生じる誤解や葛藤に対応するコンフリクトマネジメントをすることである。

正答 2、4

解答解説

  • 1 誤り。インターディシプリナリ・モデルは、コンセンサス・モデルとも呼ばれるもので、専門職相互の話し合いによる意思決定が行われ、専門職種の役割の開放性が一部にみられるモデルです。階層性はなく、専門職ごとに異なるスキルを用いながら、協働して課題に取り組みます。地域ケアにおけるアプローチ方法として使用されるモデルで、緊急性のない慢性の疾患を抱えるクライエント等が対象になります。
  • 2 正しい。マルチディシプリナリ・モデルは、権威モデルとも呼ばれるもので、専門職の役割が明確化されており、それぞれの専門職種が、高度な専門性を駆使するモデルです。役割には階層性があり、課題は専門職別に達成します。役割における開放性はなく、専門職ごとに独立して実践するが基本です。このモデルは、緊急性のある医療を行う場合等が対象となり、病院における医療や救急医療等が該当します。
  • 3 誤り。トランスディシプリナリ・モデルは、専門職相互間の相互作用性が大きく、他の専門職の知識技術を相互吸収し、各専門職種の役割の代替可能性が高いモデルです。階層性はなく、意思決定過程においては、専門職の知識や技術の寄与、相互依存性と平等性が高いモデルです。精神保健福祉分野では、ACT等に代表されるモデルです。
  • 4 正しい。チームのメンテナンス機能とは、チームを維持し、強化する機能です。リーダーシップ、メンバー相互のコミュニケーションの促進、チーム内に発生してくるさまざまな葛藤や意見の対立などに適切に対応し、それを乗り越えてチームとして成長する機能等があげられます。
  • 5 誤り。チームのタスク機能とは、チームの目的を達成するための、課題遂行機能のことです。チームが取り組むべき課題を明確化し、目標を設定して課題を遂行していく機能です。チームのコンピテンシーが強化されると、タスク機能も強化されます。

 いかがでしたか。この科目では、相談援助の対象・価値・倫理・意義や、関連専門職、権利擁護等についても理解を深めておきましょう。

 では「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」を取り上げていきたいと思います。この科目では、精神科リハビリテーション、ケースワーク、グループワークの特質と、それぞれの展開、面接技法、スーパービジョンとコンサルテーション、地域移行支援、ケアマネジメント、ネットワーキング等、幅広い分野の援助技術についての学習が求められます。

 今回は、面接技法について取り上げていきたいと思います。