メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第21回 精神疾患とその治療

 皆さんこんにちは。まずはじめに、連続する集中豪雨災害の被災者の皆さまに、心からのお見舞いを申し上げますとともに、1日も早い復旧を心からお祈り申し上げます。

 厳しい暑さが続きます。被災された方をはじめ受験生の皆さま、熱中症にならないよう、また睡眠不足で体調を崩さないよう、健康には十分気をつけてこの期間を乗り越えていってください。

 今回から専門科目に入っていきます。今回取り上げる「精神疾患とその治療」は、代表的な精神疾患とその症状が出題範囲の大きな部分を占めます。疾病分類とそれぞれの分類における疾病の特徴や症状と治療法などを、よく把握しておきましょう。精神症状と状態像については、第3回で取り上げておきましたので、もう一度確認しておいてください。今回は、精神科治療における人権擁護について取り上げていきたいと思っています。

 ではまず、先週の「権利擁護と成年後見制度」の課題を解説しておきましょう。

第20回 精神保健福祉士国家試験 「権利擁護と成年後見制度」

問題82 次のうち、民法上、許可の取得などの家庭裁判所に対する特別な手続を必要とせずに、成年後見人が単独でできる行為として、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 成年被後見人宛ての信書等の郵便物の転送
  • 2 成年被後見人が相続人である遺産相続の放棄
  • 3 成年被後見人の遺体の火葬に関する契約の締結
  • 4 成年被後見人の居住用不動産の売却
  • 5 成年被後見人のための特別代理人の選任

正答 2

解答解説

  • 1 誤り。成年被後見人宛の信書等の郵便物の転送については、家庭裁判所の審判が必要です。後見人は、家庭裁判所に「成年被後見人に宛てた郵便物等の配達(転送)の嘱託の審判」の申し立てを行い、審判が下されると、原則6か月を超えない範囲で被後見人宛て郵便物の転送を受けることができます。ただし、後見事務に関係ないものは、速やかに成年被後見人本人に交付しなければなりません。また成年被後見人は、成年後見人が受け取った郵便物の閲覧を求めることができます。「ゆうパック」は郵便物には該当しないため、転送の対象には含まれていません。
  • 2 正しい。成年後見人には、後見開始の審判と同時に、すべての法律行為における包括的代理権が付与されます。成年被後見人の遺産相続に関しても代理権があり、後見人は、被後見人のために相続が開始したことを知ったときから3か月以内なら、相続放棄の手続きを取り、相続を放棄することができます。この法律行為に関しては、家庭裁判所の許可は必要ありません。
  • 3 誤り。成年被後見人が死亡したとき、遺体の火葬に関する契約の締結は、家庭裁判所の許可が必要です。このほか、死後事務として家庭裁判所の許可が必要な法律行為は、債務弁済のための本人名義の預貯金の払戻し、本人が入所施設等に残置していた不動産等に関する寄託契約の締結、電気・ガス・水道等の、供給契約の解約等です。
  • 4 誤り。成年被後見人の居住用不動産の売却については、家庭裁判所の許可が必要です。居住用不動産の賃貸、賃貸借の解除、抵当権の設定等をする場合も、家庭裁判所の許可を必要とします。
  • 5 誤り。成年被後見人のための特別代理人の選任については、家庭裁判所の審判が必要です。後見人が、被後見人との間で利益相反行為をするには、被後見人のために、特別代理人を選任することを、家庭裁判所に申し立てなければなりません。利益相反行為とは、後見人と被後見人との間の遺産分割協議、後見人が自己の債務の担保として、被後見人が所有する不動産に抵当権を設定する場合等の行為で、相互の利益が相反するため、成年後見人は、家庭裁判所に特別代理人を選任してもらう必要があります。

 いかがでしたか。この科目では、成年後見制度をはじめ、憲法の基本的人権、民法の契約、親族、相続、消費者保護等についても、よく学習しておきましょう。

 では、今回の「精神疾患とその治療」に入っていきましょう。今回は、精神科治療における人権擁護としての入院形態とその処遇について取り上げていきたいと思います。