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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第14回 地域福祉の理論と方法

 皆さん、こんにちは。忙しさのなかで体調を崩さないよう、健康管理に留意しながら学習を進めていきましょう。今回は「地域福祉の理論と方法」を取り上げていきます。この科目は、地域におけるさまざまな分野の実践について出題されますので、どの分野から出題されても困らないようにしておきましょう。

 ではまず、前回の課題の解説をしておきたいと思います。

第20回 精神保健福祉士国家試験 「現代社会と福祉」

問題22 ロールズ(Rawls, J.)が論じた「正義」に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 成員の快楽の総和を最大化する社会が、最も望ましいと論じた。
  • 2 社会で最も不遇な人の最大の便益となるように、資源配分の是正が行われるべきであると論じた。
  • 3 諸個人に対する平等な基本的自由の実現が不可能であることを前提に、正義を論じた。
  • 4 「無知のヴェール」に包まれた個人を想定した議論では、功利主義的な社会が構想されることになると論じた。
  • 5 「さまざまな生き方」を選べる基本的なケイパビリティを平等に配分することが、正義であると論じた。

正答2

解答解説

  • 1 適切でない。成員の快楽の総和を最大化する社会が最も望ましいと論じたのは、イギリスの哲学者で法学者でもある、ベンサム(Bentham, J.)です。彼は、正しい行為や政策について、「快楽や幸福をもたらす行為が善である」という功利主義の哲学を提唱しました。道徳的な善悪の判断は、行為の結果としてもたらされる「有用性」によって決定されるという考え方です。幸福は個人的な快楽の集合であり、個人個人の快楽の総和が最大化されることが、社会全体の幸福であるとして「最大多数の最大幸福」を提唱しました。個人の満足の総和を、社会全体で最大化させることが幸福をもたらすと論じました。
  • 2 適切。ロールズ(Rawls, J.)は、ベンサムの功利主義を批判して、『正議論』を著わし、「格差原理」を提唱しました。「格差原理」とは、社会的不平等を解消し正義と公正を実現するためには、「最も不遇な人々の利益を最大化するための資源配分が、正義にかなう」という考え方です。自由主義経済の資源配分は、自由競争の下で機会の平等が保障されるだけでは、必ず貧富の差が生まれ格差を生みだすので、資源配分を是正することで、最も不遇な人の最大の便益をもたらすようにすることこそが正義にかなうとしました。
  • 3 適切でない。ロールズは、諸個人に対する平等な基本的自由の実現が不可能であることを前提としたのではなく、平等な基本的自由の実現が保障されなければならないとしました。そしてそのためには、必然的に格差をもたらすしくみになっている自由主義社会において、真の公正さや正義を実現するためには、最も不遇な人々の人権が保障され、利益が最大化されなければならないとして、正義を論じました。
  • 4 適切でない。ロールズの「無知のヴェール」に包まれた個人を想定した議論では、「無知のベール」に包まれた「原初状態」における価値判断こそが、真の正義を実現するとしました。「無知のヴェール」に包まれた原初状態とは、自分が自分の地位や立場について全く知らないという状態です。人は、自分の立場や地位によって、正当さや正義を判断してしまうという傾向から免れることは困難なので、自分は何者でもないという、原初状態に立たなければ、本当の正義や公正さの議論は成立しないと考えました。真に合理的な選択としての正義の原則を選択するためには、この原初状態で考える必要があるとし、功利主義とは異なる、真の正義の実現について論じました。
  • 5 適切でない。ケイパビリティについて論じたのは、セン(Sen, A.)です。センは、ある人が価値を見出し選択できる「機能」の集合のことをケイパビリティ(潜在能力)と名づけ、この「潜在能力」を十分に達成できる社会を、真に平等な社会であるとしました。人間の福祉は、どのような財を持っているかではなくて、何をすることができるかという人間の機能の集合によって決まるとし、さまざまな生き方を選べる基本的な「ケイパビリティ」を平等に配分することが、正義であると論じました。

 いかがでしたか。「現代社会と福祉」の科目では、福祉の原理論やニード論、福祉政策などについてもよく学習しておきましょう。

 では、「地域福祉の理論と方法」について、出題基準に沿って過去問題を分析しながら、対策を立てていきたいと思います。

地域福祉の基本的考え方

 「概念と範囲」の分野では、コミュニティの概念や定義、地域福祉に関する代表的な理論を整理しておきましょう。ロス、ロスマン、岡村重夫、右田紀久恵、三浦文夫、マッキーヴァー、ヒラリー、ウェルマン、パットナム、ニューステッター等の理論を学習しておきましょう。

 第18回では、マッキーヴァーのコミュニティとアソシエーションの違い、ペストフの福祉トライアングル、サンデルらのコミュニタリアニズム、トクヴィルの中間組織の重要性、ウェルマンのコミュニティ解放論が、第19回では、岡村重夫、永田幹夫、真田是、三浦文夫、右田紀久恵が出題されています。

 小項目にはこのほか、地域包括ケアと地域福祉の関係があげられていますので、地域包括ケアの考え方と実施体制には注意しておきましょう。

 「地域福祉の理念」の分野からは、第18回では、ローカルガバナンス、ソーシャル・インクルージョン、住民主体の原則、脱施設化、社会的起業が出題されています。人権尊重、権利擁護、自立支援、地域生活支援などについても学習しておきましょう。

 障害者の地域移行については、障害者総合支援法による障害者自立支援制度の地域移行や地域定着支援について、よく学習しておきましょう。

 「地域福祉の発展過程」の分野からは、コミュニティ・オーガニゼーション理論、コミュニティケア報告書、セツルメント運動等が出題されています。第19回では、イギリスの各種の報告書として、シーボーム報告、エイブス報告、ウルフェンデン報告、バークレイ報告、グリフィス報告が、第20回では、わが国の社会福祉協議会の発展の歴史が出題されています。我が国の地域福祉の発展の歴史を押さえておきましょう。

 「地域福祉における住民参加の意義」の分野からは、地域住民の参加のあり方が出題されています。第20回では、住民主体の地域福祉活動、住民参加型在宅福祉サービス、共同募金、特定非営利活動法人、地域密着型サービス運営推進会議が出題されました。福祉関係の各分野において、地域住民の参加がどのように規定されているかを、各法律に当たって整理しておきましょう。

地域福祉の主体と対象

 この分野からは、第18回で2014(平成26)年の介護保険法改正に伴う、生活支援コーディネーター、介護支援専門員、介護予防・日常生活支援総合事業、認知症サポーター、地域ケア会議の役割と位置づけが出題されました。介護保険制度における各職種、各機関の役割と事業の内容を理解しておきましょう。

 市民後見推進事業についても出題実績がありますから、市町村の後見等に係る体制整備の努力義務規定、市民後見推進事業の目的や役割等を押さえておきましょう。

 「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」(平成29年制定)により、社会福祉法の一部が改正され、平成30年4月1日から施行されています。

 地域共生社会の実現に向けて、社会福祉法に、地域福祉の推進がどのように規定されているか、社会福祉法における地域住民の位置づけと役割、地域における包括的な支援体制づくり、地域福祉計画の策定等、改正のポイントを確認しておきましょう。

地域福祉に係る組織、団体及び専門職や地域住民

 「行政組織と民間組織の役割と実際」の分野は大変出題率が高く、ほとんど毎回の出題がみられます。特定非営利活動法人、社会福祉協議会、民生委員、児童委員、共同募金については、基礎的な分野ですので、十分学習しておきましょう。

 第30回では、社会福祉法に規定している、地域福祉計画策定時の住民の意見反映措置、地域福祉コーディネーターの位置づけ、市町村社会福祉協議会の組織、共同募金会の配分方法が出題されました。

 ボランティア組織や企業の社会貢献活動、文化活動、また、生活協同組合、農業協同組合、住民参加型の在宅福祉サービス、現在注目されている社会的企業とソーシャルビジネス等の出題も見られますので、これらについても理解を深めておきましょう。

 町内会、老人クラブ、社会福祉法人、消費生活協同組合、生活困窮者自立支援制度は、今後も出題が予想されます。他の科目とも重なる内容ですから、並行して良く学習しておいてください。

 介護予防・日常生活支援総合事業や包括的支援事業の組織と業務内容、配置される人材とその役割についての出題率が大変高くなっていますので、丁寧に学習しておきましょう。

 このほか第19回では、民生委員・児童委員、地域福祉に係る専門職及び組織として、介護支援専門員、地域包括支援センター運営協議会の構成員、福祉用具販売事業者の責務、生活困窮者自立支援制度における主任相談支援員の資格要件、基幹相談支援センターの設置についての出題がありました。

 第20回では、認知症の人や家族の支援にかかわる専門職とボランティアとして、認知症サポーター、日常生活自立支援事業における専門員の資格要件、認知症地域支援推進員、認知症ケア専門士、監護相談員についての出題がありました。地域で地域福祉を担う人材、組織について、分野ごとにポイントを押さえておきましょう。

 なお、近年は災害時における支援に関する出題率が高くなっています。第19回では、災害救助法と生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金特例貸与、災害ボランティアセンター、共同募金による災害義援金の配布先、災害時における生活支援員の位置づけ、福祉避難所が出題されました。災害関係の施策について、法的根拠と施策内容を整理しておきましょう。

 「専門職や地域住民の役割と実際」の分野からは、社会福祉士や社会福祉協議会の福祉活動専門員について、事例問題での出題が多く見受けられます。日常生活自立支援事業の専門員、生活支援員のそれぞれの役割、介護相談員や認知症サポーターの役割、ボランティアコーディネーターの位置づけなども学習しておきましょう。

 事例問題で、地域福祉活動計画策定における福祉活動専門員の対応、ひきこもりについての地域包括支援センターの社会福祉士の対応、地域福祉コーディネーターの貧困問題への対応等についての出題実績があります。今後も、市町村社会福祉協議会の役割として、地域の複合的な諸問題への対応に関する出題が増えてくると思われます。諸制度も含めて実践に応用できる知識を養っておきましょう。

地域福祉の推進方法

 「ネットワーキング」については、地域のなかの社会資源をネットワーク化し、地域住民の生活課題を解決する手法を習得しておきましょう。地域福祉コーディネーターの業務、地域包括ケアによるコーディネート、「社協・生活支援活動強化方針」における生活支援員の役割等が出題されています。

 「地域における社会資源の活用・調整・開発」については、社会資源の意味、社会資源としての共同募金や町内会、市民後見人、住民主体の概念と専門職との関係等をよく押さえておきましょう。また、町内会やふれあいいきいきサロン、地域包括支援センター等の社会資源の活用方法等も学習しておくとよいでしょう。

 第18回では、地域福祉活動における情報の取り扱いについての出題がありました。個人情報保護法をはじめ、地域福祉に関連する法律における、個人情報の取り扱いに関する諸規定について注意しておきましょう。

 第19回では、ソーシャルアクションについて、源流、方面委員制度との関係、展開過程、専門職の役割が出題されました。社会資源の開発のための援助技法としてのソーシャルアクションについて、実際の援助の場面を想定しながら学習しておくとよいでしょう。

 第20回では、地域で高齢者が交流できるサロンの実施について、市町村社会福祉協議会の生活支援コーディネーターの対応についての出題がありました。地域住民が地域の課題を自分たちの課題として捉え、住民が主体となって取り組むことができるための援助のあり方を学んでおきましょう。

 「地域における福祉ニーズの把握方法と実際」として、質的ニーズと量的ニーズの把握方法、ニーズ把握の具体的手法について、理解しておきましょう。具体的な課題に関するニーズ把握方法が、ニーズ把握のための構造化面接、半構造化面接、インタビュー方法、住民懇談会のもち方等の出題実績があります。

 第30回では、ニーズ把握の方法として、フォーカスグループインタビュー、個別インタビュー、住民座談会、アクションリサーチ、マッピング技法が出題されています。ニーズ把握のための調査方法は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」の科目の社会調査の分野と重なりますので、併行して学習しておきましょう。

 「地域ケアシステムの構築方法と実際」の分野では、地域包括ケア研究会報告書の内容をよく読み込んでおきましょう。現在、精神障害者にも対応した地域包括ケアシステムの構築推進事業が進められています。これは、モデル障害福祉圏域を設定し、市町村、保健所、精神科医療機関、指定一般相談支援事業者・指定特定相談支援事業者等、地域移行に関わる保健・医療・福祉関係者の連携による一体的取り組みを行う事業です。

 地域包括ケアシステムは、今後の地域における保健医療福祉を推進していくうえでの中心となる組織ですから、今後も出題が予想されます。注意深く学習しておきましょう。

 「地域における福祉サービスの評価方法と実際」としては、第16回と第30回で、第三者評価事業が出題されています。第三者評価事業については、「福祉サービス第三者評価事業の指針」「福祉サービス第三者評価機関認証ガイドライン」が出されています。

 第三者評価事業の組織体系、研修体系、評価機関の認証要件、評価項目も含めて、指針やガイドラインに目をとおしておきましょう。

 以上、全体を概観してきましたが、今回は、社会福祉協議会の歴史について、取り上げていきたいと思います。

社会福祉協議会の源流

 現在の社会福祉協議会の源流は、1908(明治41)年に慈善事業の全国的な連絡組織として設立された「中央慈善協会」に遡ることができます。中央慈善協会の初代会長は渋沢栄一でした。大正期には「中央社会事業協会」に改称、また法人化によって「日本社会事業協会」へと改称されました。

 第二次世界大戦後の1951(昭和25)年には、この日本社会事業協会と全日本民生委員連盟、同胞援護会の3団体が統合して、「中央社会福祉協議会」として設立され、1951(昭和26)年の社会福祉事業法制定により、全国社会福祉協議会と都道府県社会福祉協議会が、社会福祉事業法上に位置づけられました。

市区町村社会福祉協議会当面の活動方針

 その後1957(昭和32)年には、市町村社会福祉協議会の存在意義、使命、活動の方向性が議論され、「市区町村社会福祉協議会当面の活動方針」が全国社会福祉協議会から出され、当面の活動目標を、その地域の「福祉に欠ける状態の克服」におくとしました。

社会福祉協議会基本要項

 1962(昭和37)年に、全国社会福祉協議会は、社会福祉協議会基本要項を出しました。そのなかで社会福祉協議会の性格を、「社会福祉協議会は、一定の地域社会において、住民が主体となり、社会福祉、保健衛生その他生活の改善向上に関連のある公私関係者の参加、協力を得て、地域の実情に応じ、住民の福祉を増進することを目的とする民間の自主的な組織である」と定義しています。

 これは、ロスの「統合化説・組織化説」を理論的基盤として、『住民主体の原則』を示したもので、社会福祉協議会の基本的機能は、コミュニティ・オーガニゼーションの方法を地域社会に適用することであるとし、基本単位を、市町村社会福祉協議会としました。

福祉活動専門員が国庫補助化

 1951(昭和26)年の社会福祉事業法制定時には、市町村社会福祉協議会はまだ専門職を配置できず、社会福祉事業法上には規定されていませんでした。1966(昭和41)年には、厚生省通知として「社会福祉協議会活動の強化について」が出され、福祉活動専門員の配置が国庫補助化され、市町村社会福祉協議会への専門職の配置が可能となり、これを契機に、配置が進められていきました。

在宅福祉サービスの戦略

 1970年代になると、在宅福祉サービスが展開されていきました。全国社会福祉協議会は、「在宅福祉サービスの在り方に関する研究委員会」を設置し、行政と民間、研究者の参加による検討を行い、1979(昭和54)年に、報告書「在宅福祉サービスの戦略」が出されました。

 この報告書で、社会福祉協議会は、在宅福祉サービスの供給システムにおける民間の中核として位置づけられました。この告書を契機に、地方自治体、社会福祉協議会、福祉施設、ボランティア組織、生協、農協、シルバービジネスなど、さまざまな供給主体による在宅福祉サービスへの取り組みが進んでいきました。

市町村社会福祉協議会の法制化

 1966(昭和41)年の、市町村社会福祉協議会の福祉活動専門員の国庫補助化により、全国の市町村社会福祉協議会に福祉活動専門員の配置が進んだ結果、1983(昭和58)年、社会福祉事業法の一部改正によって、市町村社会福祉協議会が社会福祉法上に位置づけられて、法制化されました。

地域福祉計画―理論と方法

 この市町村社会福祉協議会の法制化により、市町村社会福祉協議会は、地域における地域福祉を推進する計画能力を有する中核機関となることが期待されるようになり、全国社会福祉協議会は、1984(昭和59)年に「地域福祉計画―理論と方法」を出しました。

 これは、市町村社会福祉協議会が地域福祉計画の策定主体になるべきこと、計画策定に当たっては住民主体の原則により行政と協働して策定すべきことを提唱したものです。市町村社会福祉協議会が、従来の地域組織化活動の実施主体であると同時に、地域福祉計画の策定活動も推進すべきであるという考え方によるものです。

社会福祉関係八法改正

 1990(平成2)年の社会福祉関係八法改正により、社会福祉法が改正されて、市町村社会福祉協議会が、「社会福祉を目的とする事業を企画し、実施するよう努めるもの」として位置づけられました。いわゆる、協議型社協から事業型社協への転換とよばれるものです。

新・社会福祉協議会基本要項

 1962(昭和37)年に出された「社会福祉協議会基本要綱」から30年後の1992(平成4)年には、全国社会福祉協議会から、「新・社会福祉協議会基本要項」が出されました。

 新たな基本要綱は、従来の、住民ニーズと地域の生活課題に基づく福祉活動、地域組織化などを目指す「住民主体」の理念を継承するとともに、社会福祉施設、民生委員・児童委員、住民組織、当事者団体等の参加による地域福祉を支える組織基盤の整備に努め、地域福祉をめぐる新たな状況に対応し、総合的・計画的、一元的に支える公私協働の活動を実現するという、社会福祉協議会の組織・活動の原則、機能、事業等の指針を策定したものです。

 住民の生活実態・福祉課題等の把握に努め、そのニーズに立脚した活動を進める「住民ニーズ基本の原則」、住民の地域福祉への関心を高め、その自主的な取り組みを基礎とした活動を進める「住民活動主体の原則」、民間組織としての特性を生かし、住民ニーズ、地域の福祉課題に対応して開拓性・即応性、柔軟性を発揮した活動を進める「民間性の原則」、公私の社会福祉、保健・医療、教育、労働等の関係機関・団体、住民等の協働と役割分担により、計画的・総合的に活動を進める「公私協働の原則」を提示しました。

事業型社協推進の指針

 1994(平成6)年、全国社会福祉協議会は、「事業型社協推進の指針」を出しました。これは、1990(平成2)年の社会福祉法が改正により、市町村社会福祉協議会が、「社会福祉を目的とする事業を企画し、実施することが努力義務として規定されたことを受けて、新たな社会福祉協議会のあり方を提示したものです。

 市町村社会福祉協議会は、住民の具体的な生活・福祉問題を受け止め、そのケースの問題解決、地域生活支援に素早く確実に取り組めるよう、総合的な福祉相談活動やケア・マネジメントに取り組み、各種の公的福祉サービスを積極的に受託し、それらを民間の立場から柔軟に運営するとしています。

 また、公的サービスでは対応できない多様なニーズにも即応した、新たな住民参加型サービスを開発・推進し、小地域での継続的・日常的な住民活動による生活支援活動、ネットワーク活動、ケア・チーム活動等に取り組み、地域福祉活動計画の策定と提言活動の機能を発揮し、これらの活動を通して、住民参加を促進し、福祉コミュニティ形成をすすめるとしており、事業型社協としの性格を位置づけています。

福祉活動専門員の一般財源化

 1999(平成11)年には、国庫補助で配置されていた福祉活動専門員の経費が一般財源化されました

社会福祉法制定

 2000(平成12)年に、「社会福祉事業法」が、「社会福祉法」に改称・改正されました。この改正で、社会福祉協議会は「地域福祉を推進する団体」として位置づけられました。

 また、市町村社会福祉協議会の構成要件に、「社会福祉に関する活動を行う者(ボランティア、民生委員をさす)の参加」が明文化され、地域の自主的組織の意味合いが強められ、地域の複数の市町村区域社協の設置が可能となりました。

社協・生活支援活動強化方針

 2012(平成24)年「地域における深刻な生活課題の解決や孤立防止に向けた社協活動の方向性」を示すものとして、全国社会福祉協議会から、「社協・生活支援活動強化方針」が出されました。

 この方針では、「あらゆる生活課題への対応」「相談・支援体制の強化」「アウトリーチの徹底」「地域のつながりの再構築」「行政とのパートナーシップ」の5項目にまとめられており、生活困窮者や多様な生活課題に対して生活支援活動を強化し、サービス拒否や引きこもり、多問題世帯に対しては、「寄り添い型支援」を行う人員配置を行うとしています。

 以上の内容を簡単に表にしておきましょう。

源流1908(明治41)年、中央慈善協会設立。その後中央社会事業協会、日本社会事業協会へ改称
1951(昭和25)年、日本社会事業協会・全日本民生委員連盟・同胞援護会の3団体が統合して「中央社会福祉協議会」として設立
「市区町村社会福祉協議会当面の活動方針」1957(昭和32)年、市町村社会福祉協議会の存在意義、使命、活動の方向性を提示
当面の活動目標をその地域の「福祉に欠ける状態」の克服におくとした
「社会福祉協議会基本要項」1962(昭和37)年、ロスの「統合化説・組織化説」を理論的基盤として、『住民主体の原則』を示した
社会福祉協議会の基本的機能は、コミュニティ・オーガニゼーションの方法を地域社会に適用することであるとした
「社会福祉協議会活動の強化について(通知)」1966(昭和41)年、福祉活動専門員が国庫補助化された
「在宅福祉サービスの戦略」1979(昭和54)年、社会福祉協議会を、在宅福祉サービスの供給システムにおける民間の中核として位置づけた
市町村社会福祉協議会の法制化1983(昭和58)年、社会福祉事業法の一部改正により市町村社会福祉協議会が法制化された
「地域福祉計画―理論と方法」1984(昭和59)年、市町村社会福祉協議会が地域福祉計画の策定主体になるべきこと、住民主体、行政との協働を提唱
福祉関係八法改正1990(平成2)年、社会福祉法を改正し、市町村社会福祉協議会を「社会福祉を目的とする事業を企画し、実施するよう努めるもの」として位置づけた
「新・社会福祉協議会基本要項」1992(平成4)年、(1)住民ニーズ基本の原則、(2)住民活動主体の原則、(3)民間性の原則、(4)公私協働の原則、(5)専門性の原則を提示
「事業型社協推進の指針」1994(平成6)年、事業と地域組織化活動の統合展開。
在宅サービスの地域主体としての社協のあり方を提示
福祉活動専門員の一般財源化1999(平成11)年、国庫補助で配置されていた福祉活動専門員の経費が一般財源化された
社会福祉法制定2000(平成12)年、社会福祉協議会を「地域福祉を推進する団体」として位置づけた
「社協・生活支援活動強化方針」2012(平成24)年「地域における深刻な生活課題の解決や孤立防止に向けた社協活動の方向性」を示すものである

 いかがでしたか。「地域福祉の理論と方法」も10点科目のため習範囲が広いですが、出題率の高い範囲を丁寧に学習すれば得点に結びつきますから、着実に学習して力をつけていきましょう。次回は「福祉行財政と福祉計画」を取り上げます。

 では、第20回の精神保健福祉士国家試験から、今回の課題をあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第20回 精神保健福祉士国家試験 「地域福祉の理論と方法」

問題32 社会福祉協議会の歴史に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 1951 年(昭和26 年)に、現在の全国社会福祉協議会の前身となる中央慈善協会が設立された。
  • 2 1962 年(昭和37 年)に、全国社会福祉協議会は「社会福祉協議会基本要項」の中で、社会福祉協議会の基本的機能はコミュニティ・オーガニゼーションの方法を地域社会に適用することであるとした。
  • 3 1979 年(昭和54 年)に、全国社会福祉協議会は「在宅福祉サービスの戦略」の中で、ボランティアが行政サービスを代替すべきであると提言した。
  • 4 1983 年(昭和58 年)に、都道府県社会福祉協議会による事業が拡大する中で、都道府県社会福祉協議会が法的に位置づけられた。
  • 5 1992 年(平成4 年)に、全国社会福祉協議会は「新・社会福祉協議会基本要項」の中で、「住民主体の原則」を初めて明文化した。