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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第13回 現代社会と福祉

 皆さん、こんにちは。学習は進んでいますか。大学生の皆さんは、実習や就職活動等でなかなか学習の時間がとれないかもしれません。また働いている皆さんも仕事に追われ、時間との戦いの日々だと思います。体調に気をつけながら、自分の学習ペースをつくっていってください。

 今回は「現代社会と福祉」を取り上げます。福祉政策論をはじめ、ニーズと資源、福祉と経済の関係等、理念的な内容についての理解が求められます。苦手な方が多いと思いますが、共通科目の基盤となる科目なので、他の科目を理解する前提として、基本的な福祉の考え方と枠組みについて十分学習しておきましょう。

 では最初に、前回の課題を解説しておきたいと思います。

第20回 精神保健福祉士国家試験 「社会理論と社会システム」

問題20 次の記述のうち、「共有地の悲劇」に関する説明として、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 公共財の供給に貢献せずに、それを利用するだけの成員が生まれる状況を指す。
  • 2 協力してお互いに利益を得るか、相手を裏切って自分だけの利益を収めるか、選択しなければならない状況を指す。
  • 3 他の成員の満足度を引き下げない限り、ある個人の満足度を引き上げることができない状況を指す。
  • 4 それぞれの個人が合理的な判断の下で自己利益を追求した結果、全体としては不利益な状況を招いてしまうことを指す。
  • 5 社会全体の幸福が、諸個人の快楽から苦痛を引いた後に残る快楽の総計と一致する状況を指す。

正答4

解答解説

  • 1 適切でない。公共財の供給に貢献せずに、それを利用するだけの成員が生まれる状況は、フリーライダー問題といいます。フリーライダーとは、「ただ乗り」という意味で、集団のなかで、自分は貢献をしないで、恩恵だけを受けようとする行動を選択することを「非協力の選択」といい、このような行動をとる者のことです。
  • 2 適切でない。選択肢の記述は、囚人のジレンマの説明です。相手の出方を知ることができない状況のなかで、自分の利得のために自分がある行為を選択した場合、その結果が、相手の出方によって変化し、利得を得ることができるか、あるいは損失を生じることになるかわからない場合、自分が最も大きな利得を得るために、どういう選択をするのが一番よいかということを見極めることが困難であることをいいます。
  • 3 適切でない。「共有地の悲劇」は、共有資源を使用している一人ひとりが、利得の最大化を目指した行為を選択すると、結果的に資源の枯渇化をもたらすという理論です。集団のなかの個人の成因の満足度と他の成員の満足度の関係を理論化したものではありません。
  • 4 適切。「共有地の悲劇」とは、資源へのアクセスが誰にとっても平等で誰でも利用できる共有資源を使用する人たちが、個人の利得の最大化を目指して自己利益を追求する行動を選択した結果、共有資源が、乱獲されることによって資源の枯渇を招いてしまうことをいいます。漁業における乱獲などもこれに該当します。
  • 5 適切でない。選択肢の記述は、功利主義を提唱したベンサム(Bentham, J.)が開発した「快楽計算」に関する説明です。ベンサムは、最大多数の最大幸福をはかるために、「快楽計算」という指標を開発しました。そして最大多数の最大幸福は、社会全体の幸福が、諸個人の快楽から苦痛を引いた後に残る、快楽の総計と一致する状況であるとしました。ベンサムは、この「快楽計算」を用いて、ある行為がもたらす快楽の量を計算することによって、その行為の善悪の程度を決定することができるとしました。

 いかがでしたか。「社会理論と社会システム」は、範囲が広く概念的な理解が求められますので、内容をよく理解して学習していきましょう。

 では、「現代社会と福祉」を取り上げていきたいと思います。出題基準に沿って対策を立てていきましょう。