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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第12回 社会理論と社会システム

 皆さん、こんにちは。今回は「社会理論と社会システム」を取り上げます。この科目は出題範囲が広く理論的な理解が求められるので、苦手意識をもっている受験生が多いかもしれませんが、社会変動に伴う社会の仕組みの変化やそれぞれの時代に生きる人々の意識の変化、ライフスタイルの変化、現代社会の諸課題など、現代に生きる私たちにとって、とても身近な科目です。

 現代社会が抱えるさまざまな問題の影響を受けて困難を覚えている人々を援助する精神保健福祉士として、社会に対してより深い洞察力と分析力を養い、よりよい援助者となるために、学ぶ楽しさを体験していただき理解を深める一助となればと願っています。

 では最初に、前回の課題を解説していきましょう。

第20回精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題12 ピアジェ(Piaget,J.)の認知発達理論に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 体積や量の保存の概念は、感覚運動期に獲得される。
  • 2 自己中心的な思考は、形式的操作期の特徴である。
  • 3 抽象的な論理的思考は、前操作期に発達する。
  • 4 可逆的な操作は、具体的操作期に可能となる。
  • 5 対象の永続性は、形式的操作期に獲得される。

正答4

解答解説

  • 1 誤り。体積や量の保存の概念は、具体的操作期に獲得されます。「保存の概念」とは、ある物が、外見が変化しても、その重さや数量は変化しないということが理解できるということです。例えば、同じ大きさの2つのコップに同じ量の水を入れて、一方のコップの水を、子どもが見ている目の前で、細くて背の高いコップに移し替えた場合、その量は変わらないということがわかるということです。
  • 2 誤り。自己中心的な思考は、前操作期の特徴です。自己中心的な思考とは、他者と自分との区別を明確に区別できないため、他者が自分とは違った考え方をするということがわからないで、すべて自分が把握している認識の範囲で、外界を捉えてしまうという思考のことをいいます。前操作期は、精神や感情をもたない物質である石や太陽なども、自分と同じように命があると考える、アニミズムの時期であるとしています。
  • 3 誤り。抽象的な論理的思考は、形式的操作期に可能となります。形式的操作期になると、具体的な事物にとらわれないで、抽象的な理論を構成することができるようになります。例えば、仮説に基づいて結論を導き出すこと等で、「AはBより大きい」「BはCより大きい」場合は、「AはCより大きい」と導き出すことができる力を獲得します。
  • 4 正しい。可逆的な操作とは、保存の概念と深く関係しており、コップの水を形状の異なる別の器に移したあと、その水を、元の器に戻せば、元と全く同じ状態に戻るということがわかるということです。これを「可逆的操作」の概念の理解といい、保存の概念の理解とともに、具体的操作期に獲得する認知機能の発達の大きな特徴です。
  • 5 誤り。対象の永続性は、感覚運動期に獲得されます。対象の永続性とは、ある物が何かの陰に隠れてしまって見えなくなっても、それがなくなってしまったのではなく、陰に隠れてそこにあることがわかるということです。ぬいぐるみを見せ、それに布をかぶせると、対象の永続性の概念を獲得していない段階では、ぬいぐるみがなくなったと思いますが、対象の永続性の概念を獲得すると、布がかぶせられているだけで、ぬいぐるみはそこにあることがわかります。

 いかがでしたか。「心理学理論と心理的支援」は、感覚・知覚・認知、記憶、学習理論、発達理論、ストレス、心理検査、心理療法などの頻出分野についても、十分に学習しておきましょう。

 では、今回の「社会理論と社会システム」に入っていきましょう。出題基準に沿って、過去問の出題傾向を分析しながら、分野ごとに対策を立てていきたいと思います。