メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第7回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開(2)

 皆さんこんにちは。もう過去問は解きはじめていますか。中央法規出版から、第18回から第20回までの最新の3年分の過去問解説集が出版されました。本試験までに過去の問題3年分を3回以上は解いて、理解を深めておくことをおすすめします。早すぎることはありません。是非、早めに着手してください。

 今回は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開(2)」を取り上げたいと思います。現場で相談援助を実践していくための、具体的な援助技術や諸制度に焦点を当てていきたいと思います。
 では最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第20回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」

問題36 諸外国の精神保健福祉に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 韓国では、入院医療・入所施設中心から地域ケア中心に転換したことにより、精神療養施設を廃止した。
  • 2 イタリアでは、ケアプログラムアプローチ(CPA)により、精神障害者への医療サービスと福祉サービスを計画している。
  • 3 イギリスでは、法律180 号(1978 年)制定後、単科精神病院への新規入院を禁じた。
  • 4 アメリカでは、入院回避のためのショートステイ施設として、ベンチャー(Venture)を用いている。
  • 5 カナダでは、政府が発表した『闇からの脱出』の中で、精神障害者を中心に位置づけたリカバリーシステムを目指すこととした。


正答5

解答解説

  • 1 誤り。韓国では、精神療養施設は廃止されていません。1995年に精神保健法が制定され、従来の精神医療機関、精神療養施設に加えて、精神障害者の社会復帰施設、精神保健センターが規定されました。2016年には「精神保健法」が改称・改正され「精神健康増進及び精神疾患患者福祉サービス支援に関する法律」に移行し、保護入院による人権侵害を防止するための規制が強化され、福祉サービス支援を促進することが盛り込まれました。
  • 2 誤り。ケアプログラムアプローチ(CPA)により、精神障害者への医療サービスと福祉サービスを計画しているのは、イギリスです。ケアプログラムアプローチ(CPA)とは、精神障害者への、医療サービスと福祉サービスを包括的に提供するケアマネジメントシステムです。主に、地域精神専門看護師がキーパーソンになり、関連専門職がチームを組んで包括的な支援を行っています。イタリアは、バザーリア法制定により、精神科病院への新規入院と、精神科病院の新設が禁止されました。
  • 3 誤り。1978年の法律180号(バザーリア法)制定後、精神科病院への新規入院を禁じたのは、イタリアです。この法律により、精神科病院の新設禁止、再入院禁止等を実施し、精神疾患の予防や精神医療・福祉は、原則として地域精神保健センターで行うこととしました。この脱施設化運動は、「自由こそが治療である」という理念のもと、重度の精神疾患患者を精神病棟に隔離するという従来のあり方を廃止し、世界の脱施設化の理念に大きな影響を与えました。イギリスは、コミュニティケア改革が進められていくことによって、地域の精神障害者に医療サービスと福祉サービスを包括的に提供するCPA(ケアプログラムアプローチ)が構築されていきました。
  • 4 誤り。入院回避のためのショートステイ施設としての、ベンチャーを用いているのは、カナダです。カナダでは、地域における精神保健福祉を推進するためにベンチャーや、女性のための宿泊施設である「ビスタ」が活用されています。アメリカでは、1963年に「ケネディ教書」が出され、地域精神保健センターが整備されることになり脱施設化が進められていきましたが、地域精神保健体制の未成熟のために、回転ドア現象が起こりました。福祉的な分野では、クラブハウスモデル、ACT,IPSモデルが展開されていきました。
  • 5 正しい。カナダでは、政府が『闇からの脱出:カナダ精神保健サービスの変革』を刊行しました。これは、精神障害者のリカバリーシステムの構築を目指すことを明言したものです。当事者主体の理念を重視しているもので、精神障害者自身を、リカバリーシステムの中心に位置づけています。

 いかがでしたか。各国の精神保健施策の発展の経緯を押さえておきましょう。では今回は、前回に引き続き、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開(2)」として、出題基準と過去の出題傾向の分析をもとに対策を立てていきたいと思います。