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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第6回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開(1)

 皆さんこんにちは。今回は、「精神保健福祉士の理論と相談援助の展開」を取り上げていきます。範囲が広いので、今回と次回の2回に分けて進めていきたいと思います。この科目は、精神保健福祉士としての援助を具体的にどのように実践していくか、諸制度を熟知したうえでケースに適用できる実践力が求められます。援助の基本理念を押さえたうえで、具体的な援助技術を駆使していけるように、細部まで丁寧に学習しておきましょう。

 ではまず、前回の課題の解説をしておきたいと思います。

第20回 精神保健福祉士国家試験問題 「精神保健福祉相談援助の基盤」

問題25 次の記述のうち、ソーシャルワーク理論とその代表的な人物として、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 ホリス(Hollis, F.)は、人間に共通の欲求充足を権利として認めることを説いた。
  • 2 マイヤー(Meyer, C.H.)は、人と状況の両者の相互作用を重要であるとして、状況の中にある人間を中心概念として位置づけた。
  • 3 トール(Towle, C.)は、機関には、特定の社会サービスを実施する特定の機能があり、それを手段として用いることがソーシャルワーカーの独自性であるとした。
  • 4 ジャーメイン(Germain, C.B.)は、システム理論に生態学的な視点を導入して、「有機体」と「環境」との相互作用に焦点を合わせた。
  • 5 アプテカー(Aptekar, H.H.)は、生態的システム論的視点を提唱し、人と環境が相互に関連し合っている視点を重視した。

正答 4

解答解説

  • 1 誤り。ホリスは、ホリスは診断主義の立場から、クライエントを社会的存在である「状況の中の人」という視点で捉え、人と状況の両者の相互作用を重視して課題解決を図ろうとする「心理社会的アプローチ」を提唱しました。人間に共通の欲求充足を権利として認めることを説いたのはトールで、人間に共通して有する基本的欲求の充足を、権利として認めるべきであるとし、「コモン・ヒューマンニーズ」を著わして、公的扶助とケースワークの重要性を指摘しました。
  • 2 誤り。マイヤーは、生態学理論とシステム理論の統合を試み、クライエントだけではなく、クライエントを取り巻く環境からの影響や、クライエントと環境が相互に関連し合っているという視点を重視して、課題を包括的に理解して援助するエコシステム論を提唱しました。人と状況の両者の相互作用を重要であるとして、状況の中にある人間を中心概念として位置づけたのは、ホリスです。
  • 3 誤り。トールは、人間に共通して有する基本的欲求の充足を、権利として認めるべきであるとし、「コモン・ヒューマンニーズ」を著わして、公的扶助とケースワークの重要性を指摘しました。機関には特定の機能があり、それを手段として用いることがソーシャルワーカーの独自性であるとしたのは、機能主義の理論を提唱したロビンソンです。
  • 4 正しい。システム理論に生態学的な視点を導入して、「有機体」と「環境」との相互作用に焦点を当て、これらの不適切な相互作用が生活課題を生みだしているととらえ、その接点に焦点を当てて課題を解決しようとするのは、ジャーメインが提唱した生活モデルです。生活モデルは、不適切な相互作用を起こしている環境に働きかけて適切な相互作用になるように改善し、クライエント自身の対処能力を高めて適切な相互作用をつくりだして、問題を解決していくという援助方法です。
  • 5 誤り。アプテカーは、機能主義の立場から診断主義を受け入れ、「ケースワークとカウンセリング」を著わしました。生態的システム論的視点を提唱し、人と環境が相互に関連しあっている視点を重視したのは、マイヤーのエコシステム論です。

 いかがでしたか。「精神保健福祉相談援助の基盤」では、このほか、ノーマライゼーション、エンパワメント、アドボケイト等の援助の理念を、実践の現場でいかに適用していくかという視点で学習しておきましょう。

 では、今回の「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」について、近年の出題傾向を分析し受験対策のポイントを取り上げていきたいと思います。