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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第29回 社会理論と社会システム

 皆さん、こんにちは。今回は「社会理論と社会システム」を取り上げます。産業化や情報化という社会変動とともに、社会現象がどのように変化してきているか、私たちの生活や意識にどのような影響を与えているかを理解し、利用者が抱える課題を、社会学的な視点で分析することができる目を養っておきましょう。今回は、役割理論について取り上げていきたいと思います。では最初に、前回の課題を解説しておきましょう。

第19回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題12 適応機制に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

  • 1  抑圧とは、現在の発達段階より下の発達段階に逆戻りして、未熟な言動を行うことをいう。
  • 2  昇華とは、ある対象に対して持っていた本来の欲求や本心とは反対の言動をとることをいう。
  • 3 退行とは、苦痛な感情や社会から承認されそうもない欲求を、意識の中から閉め出す無意識的な心理作用のことをいう。
  • 4  合理化とは、自分がとった葛藤を伴う言動について、一見もっともらしい理由づけをすることをいう。
  • 5  反動形成とは、社会から承認されそうもない欲求を、社会から承認されるものに置き換えて充足させることをいう。

正答4

解答解説

  • 1 誤り。抑圧とは、精神的に耐えられないことや認めたくないことがらを意識の下に抑え込むことです。精神分析学者のフロイト(Freud,S.)は、人間は、精神的に耐えられない状況に置かれると、その感情や記憶を意識の下に押し込める、思い出さないようにすることで精神的なバランスを保とうとするとして、それを「抑圧」と名づけました。
  • 2 誤り。昇華とは、社会的に認められない欲求や衝動を有意義な目標に置き換えて打ち込むことをいいます。例えば、自分より優れているライバルを攻撃したくなったようなときに、自分の力を伸ばすために頑張る、というような適応機制の方法をいいます。
  • 3 誤り。退行とは、一定のフラストレーションを受けたような場合、未熟な発達段階に戻って幼い行動をとることによって、不安を避けようとする適応機制のことです。一般的に、幼児返りともいわれています。元気に成長していた子どもが、下に赤ちゃんが生まれて自分があまり面倒を見てもらえなくなると、不安症状を示し、乳児のような行動をとるような状態になることです。
  • 4 正しい。合理化とは、欲求が満たされない場合、失敗や都合の悪い体験を、理由をつけて正当化しようとすることによって情緒的な安定を図ろうとする適応機制です。イソップ物語のきつねが、自分の手が届かないぶどうは、どうせ酸っぱいぶどうだからいいのだと自分に言い聞かせて、自分の気持ちのバランスを取ろうとすることです。
  • 5 誤り。反動形成とは、自分の満たされない感情や欲求を、反対の行動で表現してしまうという適応機制です。他人に対する過度の配慮が、実は無意識のうちに、その人に対する攻撃心を覆い隠すものであったり、慇懃さが無意識のうちの敵意の裏返しであったりするようなことです。

 いかがでしたか。「心理学と心理的支援」では、欲求と動機づけ、感覚・知覚・認知、学習や記憶、人格類型、集団や心理効果、適応、発達の概念、ストレス、心理検査等も幅広く学習しておきましょう。では、「社会理論と社会システム」に入っていきましょう。今回は、役割理論について取り上げていきたいと思います。