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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

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第26回 精神障害者の生活支援システム

 皆さんこんにちは。学習は順調に進んでいますか。受験申込書の受付期限は、10月7日(金)まで(消印有効)です。手続きがまだの方は、なるべく早めに済ませておきましょう。

 今回の「精神障害者の生活支援システム」は、精神障害者の概念、精神障害者の生活の実態、精神障害者の生活と人権、居住支援、就労支援、地域における精神障害者の生活を支援するシステム、市町村における相談援助等が出題範囲になっています。

 実際に地域で生活する精神障害者に必要な制度を具体的に想定しながら、学習していきましょう。では、最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第19回精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉に関する制度とサービス」

問題67 精神障害者への経済的な支援に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びさい。

  • 1 障害状態が軽度で障害年金が受給できない場合、特別障害給付金が支給される。
  • 2 特別障害者手当の支給には、所得による制限がある。
  • 3 生活福祉資金貸付制度の申請窓口は、都道府県社会福祉協議会である。
  • 4 労働者災害補償保険において、精神障害は認定の対象外となる。
  • 5 障害基礎年金の受給要件を満たさない者は、障害手当金が受給できる。

正答 2

解答解説

  • 1 誤り。特別障害給付金は、障害状態が軽度で障害年金が受給できない場合に支給されるものではありません。国民年金が任意加入であったときに、任意加入していなかったために障害基礎年金を受給できない障害者のために、支給される福祉的な措置で、支給の対象となるのは、平成3年3月以前に国民年金任意加入対象であった学生、昭和61年3月以前に、国民年金任意加入対象であった被用者等の配偶者で、当時任意加入していなかった期間内に初診日があり、現在、障害基礎年金の1級、2級相当の障害の状態にある者です。障害基礎年金や障害厚生年金等を受給することができる者は対象外で、給付金を受けるためには、厚生労働大臣の認定が必要となります。
  • 2 正しい。特別障害者手当は、精神または身体に著しく重度の障害を有し、日常生活において常時特別の介護を必要とする在宅の20歳以上の特別障害者に対して、重度の障害のために必要となる精神的、物質的な特別な負担の軽減の一助として手当を支給することにより、特別障害者の福祉の向上を図ることを目的にして支給されるものです。受給者もしくはその配偶者又は扶養義務者の前年の所得が一定の額以上であるときは手当は支給されません。
  • 3 誤り。生活福祉資金貸付制度は、高齢者世帯、障害者世帯、低所得者世帯を対象とする、貸付制度で、実施主体は都道府県社会福祉協議会ですが、申請窓口は、市町村社会福祉協議会です。障害者世帯が貸付を受ける場合は、障害者手帳を所持していることが要件になっています。
  • 4 誤り。労働者災害補償保険において、精神障害は認定の対象になっています。労災給付は、業務や通勤による疾病や事故による怪我等を対象としており、平成23年12月に、「心理的負荷による精神障害の認定基準」が出され、精神障害が認定の対象になりました。認定のための要件は、認定基準の対象となる精神障害を発病していること、認定基準の対象となる精神障害の発病前おおむね6か月の間に、業務による強い心理的負荷が認められること、業務以外の心理的負荷や固体側の要因により発病したとは認められないこととされています。
  • 5 誤り。障害手当金は、障害厚生年金の独自給付として支給されるものです。その障害に至る原因となる疾病の初診日が厚生年金の被保険者であり、障害認定日に、1級、2級、3級に該当しない程度の軽度の障害の状態にあることが給付要件です。1級と2級は障害基礎年金に上乗せ支給になりますが、3級と、3級には該当しない程度の障害の状態にある者のためのこの障害手当金は、障害厚生年金だけの独自給付になります。障害厚生年金を受給するためには、保険料納付要件として、初診日の前日において、保険料納付済期間と保険料免除期間の合算が被保険者期間の3分の2以上あることが求められます。

 いかがでしたか。「精神保健福祉に関する制度とサービス」では、精神障害者関連法と諸制度について幅広く学習しておきましょう。では、今回の「精神障害者の生活支援システム」に入っていきましょう。今回は、精神障害者の就労支援に関する機関とその役割について取り上げていきたいと思います。

障害者総合支援法

 障害者のための就労支援として、障害者総合支援法に基づく障害者自立支援制度の訓練等給付のなかに、障害者のための就労移行支援事業と就労継続支援事業があります。

就労移行支援事業

 就労移行支援事業は、就労を希望する65歳未満の障害者で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者等に、生産活動や職場体験などの機会の提供を通じて、就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練や、就労に関する相談や支援を行うものです。

 対象は、企業等への一般就労等を希望し、知識・能力の向上、実習、職場探し等を通じ、適性に合った職場への就労等が見込まれる障害者です。

 サービス内容は、一般就労等への移行に向けて、事業所内や企業における作業や実習、適性に合った職場探し、就労後の職場定着のための支援等で、通所によるサービスを原則としていますが、個別支援計画の進捗状況に応じて、職場訪問等によるサービスを組み合わせます。利用者ごとに、標準期間(24か月)内で利用期間を設定します。

就労継続支援事業:雇用型

 就労継続支援事業には、雇用型と非雇用型があります。

 雇用型は、企業等に就労することが困難な、継続的に就労可能な65歳未満の障害のある者に、雇用契約に基づく生産活動の機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練などを行うものです。

 対象は、利用開始時に65歳未満で、就労移行支援事業を利用したが、企業等の雇用に結びつかなかった者、特別支援学校を卒業して就職活動を行ったが、企業等の雇用に結びつかなかった者、企業等を離職した者等就労経験のある者で現に雇用関係がない者です。

 サービス内容は、通所によって雇用契約に基づく就労の機会を提供するとともに、一般就労に必要な知識、能力が高まった者について、一般就労への移行に向けて支援します。また、一定の範囲内で障害者以外の雇用が可能です。多様な事業形態によって多くの就労機会を確保できるよう、障害者の利用定員は、10人からの事業実施が可能です。利用期間の制限はありません。

就労継続支援事業:非雇用型

 就労継続支援事業の非雇用型は、通常の事業所に雇用されることが困難な就労経験のある障害者に対して、生産活動などの機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練などを行うものです。

 サービス内容は、通所により雇用契約は結ばずに、就労や生産活動の機会を提供し、一般就労に必要な知識、能力が高まった者は、一般就労等への移行に向けて支援します。

就労移行支援事業・就労継続支援事業
就労移行支援事業就労を希望する65歳未満の障害者で通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者等に生産活動や職場体験などの機会の提供を通じた就労に必要な知識や能力の向上のために必要な訓練、就労に関する相談や支援を行う
標準利用期間:原則2年
就労継続支援事業
(雇用型)
企業等に就労することが困難で、継続的に就労可能な65歳未満の障害のある者に、雇用契約に基づく生産活動の機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練などを行う
就労継続支援
(非雇用型)
通常の事業所に雇用されることが困難な就労経験のある障害者に生産活動などの機会の提供、知識および能力の向上のために必要な訓練などを行う

障害者の雇用の促進等に関する法律

 障害者の就労支援のために、障害者の雇用の促進等に関する法律が制定されています。この法律に規定されている障害者雇用促進のための機関として、障害者職業センターがあります。

 障害者職業センターには、障害者の就労支援のための研究、技法の開発、専門職員の養成のために全国に1か所だけ設置されている障害者職業総合センターと、系統的な職業リハビリテーションの実施のために全国に2か所設置されている広域障害者職業センター、障害者に最も直接的な就労支援を行うためにすべての都道府県に設置されている、地域障害者職業センターがあります。

地域障害者職業センター

 障害者職業センターは、すべての都道府県と7支所で合計52か所に設置されています。

 地域障害者職業センターには、障害者職業カウンセラーが配置されており、障害者の職業能力評価、職業指導、職業リハビリテーション計画の作成、作業体験、準備講習、生活技能訓練、障害の判定、リワーク支援計画、ジョブコーチ派遣・養成・研修、事業主支援計画の作成と雇用管理の助言、精神障害者総合雇用支援等を行っています。

障害者就業・生活支援センター

 障害者就業・生活支援センターは、就業面及び日常生活面における一体的な相談支援を実施することを目的としています。

 就職を希望する障害者や職場不適応により離職した障害者、在職中の障害者等への助言や、事業主に対する雇用管理の助言を行います。また、就業とこれに伴う日常生活、社会生活上の支援や、職業訓練等の斡旋、関係機関との連絡調整を行います。

 センターに配置される就業支援担当者は、就業に関する相談支援、雇用管理助言、連絡調整を実施し、生活支援担当者は、日常生活・地域生活に関する助言、連絡調整を実施します。障害者就業・生活支援センターは、NPO法人、社会福祉法人、一般社団・財団法人等が、指定を受け運営しています。

障害者職業総合センター研究、技法の開発、専門職員の養成
広域障害者職業センター系統的な職業リハビリテーションの実施
障害者職業センター
(全国に52か所)
(障害者職業カウンセラーを配置)
職業能力評価、職業指導、職業リハビリテーション計画の作成、作業体験、準備講習、生活技能訓練、障害の判定、リワーク支援計画、ジョブコーチ派遣・養成・研修、事業主支援計画の作成と雇用管理の助言、精神障害者総合雇用支援
障害者就業・生活支援
センター
(就業支援担当者・生活支援担当者を配置)
就業面及び日常生活面における一体的な相談支援を実施
就職を希望する障害者、職場不適応により離職した障害者、在職中の障害者への助言。事業主に対する雇用管理の助言
就業とこれに伴う日常生活、社会生活上の支援。職業訓練等の斡旋。関係機関との連絡調整
就業支援担当者は、就業に関する相談支援、雇用管理助言、連絡調整を実施する
生活支援担当者は、日常生活・地域生活に関する助言、連絡調整を実施する
NPO法人、社会福祉法人、一般社団・財団法人等が指定を受け運営している

公共職業安定所

 障害者の就労支援の機関として、職業安定法に基づく公共職業安定所があります。公共職業安定所は、障害者に限定せず、一般の就労や雇用の支援を行っており、雇用保険関係事務や職業紹介、公共職業訓練の斡旋等を行っています。障害者のためには、職場定着指導、雇用主への助言等を実施しています。

 公共職業安定所が行っている障害者のための支援としては、3か月の試用期間後正規雇用への移行を促進するトライアル雇用や、精神障害者・発達障害者を対象として、3か月~12か月間の試用期間後正規雇用への移行を促進するための障害者短時間トライアル雇用があります。

 また公共職業安定所は、法定雇用率未達成企業に対する指導、企業名の公表を行い、障害者雇用を促進していく役割を担っています。厚生労働大臣は法定雇用率未達成企業に対して「障害者雇い入れ計画の作成」を命じることができます。

 法定雇用率は、障害者の雇用の促進等に関する法律に定められており、一般企業(50人以上)は2. 0%、特殊法人・独立行政法人と国・地方公共団体は2. 3%、都道府県教育委員会は2. 2%になっています。

 なお、平成30年度から精神障害者が法定雇用率に算定されることになったことにより、厚生労働省の労働政策審議会は、民間企業の障害者雇用率を2. 3%(当分の間2. 2%、3年を経過する日より前に2. 3%)に引き上げるという報告書を厚生労働大臣に提出し、厚生労働省はこの案を踏まえて今後対応していくことになっています。

公共職業安定所
根拠法職業安定法
業務雇用保険関係事務。公共職業訓練等のあっせん。障害者の職場定着指導、雇用主への助言等
障害者トライアル雇用(3か月の試用期間後正規雇用への移行を促進)
障害者短時間トライアル雇用(精神障害者・発達障害者を対象として、3か月~12か月間の試用期間後正規雇用への移行を促進)
法定雇用率未達成企業に対する指導、企業名の公表
厚生労働大臣は法定雇用率未達成企業に対して「障害者雇い入れ計画の作成」を命じることができる

法定雇用率
一般企業(50人以上)2. 0%
特殊法人・独立行政法人2. 3%
国・地方公共団体2. 3%
都道府県教育委員会2. 2%

 いかがでしたか。「精神障害者の生活支援システム」では、精神障害者の居住支援、所得保障などについてもよく学習しておきましょう。

 次回からは共通科目の「人体の構造と機能及び疾病」を取り上げていきたいと思います。

 では、今回の課題を第19回精神保健福祉士国家試験問題からあげておきますので、チャレンジしてみてください。

第19回 精神保健福祉士国家試験問題 「精神障害者の生活支援システム」

問題75 精神障害者の就労支援に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 就労継続支援(A型)は、雇用契約の締結による就労機会を提供する。
  • 2 就労継続支援(B型)は、利用期間を定めている。
  • 3 地域障害者職業センターは、市町村に1か所ずつ設置されている。
  • 4 「障害者総合支援法」は、障害者雇用率を定めている。
  • 5 障害者就業・生活支援センターは、事業主に障害者雇用率達成指導を行う。