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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

中央法規の
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第25回 精神保健福祉に関する制度とサービス

 皆さんこんにちは。9月も半ばを迎え、秋の気配を感じるころとなって参りました。試験まで5か月を切り、内心焦りを覚えている方も多いのではないでしょうか。今からが勝負です。焦らずに一つひとつ丁寧な学習を進めていきましょう。

 今回は「精神保健福祉に関する制度とサービス」を取り上げていきたいと思います。この科目は、障害者関連法における精神障害者のための諸制度、更生保護制度、医療観察制度、社会資源の調整・開発に係る社会調査の意義、目的、具体的な方法などがその主な内容となっています。

 では最初に、前回の課題の解説をしておきましょう。

第19回精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」

問題39 精神科リハビリテーションに関する次の記述のうち、適切なもの2つ選びなさい。

  • 1 専門職の介入を最大限に行って生活能力の改善を図る。
  • 2 能力の向上だけでなく、自信を取り戻すことを助ける。
  • 3 障害があっても、その人らしい生き方の実現を目指す。
  • 4 医学的リハビリテーションを経て、他のアプローチを行う。
  • 5 どのような環境にも適応できるように本人の技能を開発する。

正答 2、3

解答解説

  • 1 誤り。精神科リハビリテーションでは、専門家の介入は最小限にすべきです。アンソニー(Anthony, W.A)はリハビリテーションを、「長期に渡り精神障害を抱える人が、専門家による最小限の介入で、その機能を回復するのを助け、自分の選んだ環境で落ち着き、自分の生活に満足することができるようにすることである」と定義しています。自分の力を最大限に発揮して解決できるよう、専門家は最小限に介入して援助すべきであるという考え方です。
  • 2 正しい。精神科リハビリテーションは、生活能力の改善を目的の一つとしていますが、全人的な復権を目指しています。イギリスのウィング(Wing, J.K.)とモリス(Morris, B.)は、精神科リハビリテーションを、「精神障害に伴う社会的原因を明らかにし、予防し、最小にすると同時に、個人が自らの才能を伸ばし、それを利用して、社会的役割の成功を通じて自信と自尊心を獲得するのを助ける過程である」と定義しています。精神障害という疾患や障害をもっていても、自分自身のもっている力を伸ばして、社会的役割を果たすことを通して、自信や自尊心を取り戻すことを重視する考え方で、その人らしい生き方の実現を目指す、リカバリーの概念に通じるものです。
  • 3 正しい。精神科リハビリテーションでは、精神障害があっても、その人らしく充実した生産的な生活を送ることができるように支援します。希望をもつこと、社会的役割を獲得すること、意味のある人生を達成すること、他者とのつながりを取得すること等、その人自身が求める生き方を主体的に追求するのを支援することを重視し、障害者自身が夢や希望を実現することができるように、支えていきます。
  • 4 誤り。精神科リハビリテーションは、医学的リハビリテーションが優先されるのではなく、医学的リハビリテーションとともに、様々な視点からのアプローチを行います。精神症状への薬物治療を行いながら、並行して認知のありかたを改善させ、生活能力を回復させていくために、心理社会的アプローチとして、教育的リハビリテーション、職業的リハビリテーションを総合的に提供していきます。アンソニーは、心理社会的リハビリテーションアプローチについて、自己実現や自己決定、教育訓練による能力の獲得、社会参加、個別的ニードとケア、就労支援、スタッフとのコラボレーション、社会環境への働きかけ、医療ケアをふまえた生活支援という原則を提示しています。
  • 5 誤り。精神科リハビリテーションは、どのような環境にも適応できることを目的として技能開発をするのではなく、自分で選んだ環境でその人らしく落ち着いて生活できるようになることを目的としています。これは、当事者主体の考え方に立つもので、障害者基本法第3条第1項第2号の、「全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと」という理念に共通するものであるといえるでしょう。

問題41 精神科リハビリテーションの評価と計画策定に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 長期目標は、具体的で現実的なものを選別して設定する。
  • 2 計画には、障害の理解に向けた周囲への働きかけも含まれる。
  • 3 資源評価には、本人の問題解決技能の評価も盛り込む。
  • 4 機能評価は、本人ができていないことに焦点化する。
  • 5 計画の目標は、日常生活動作(ADL)の改善におく。

正答 2

解答解説

  • 1 誤り。精神科リハビリテーションの計画を立てる場合は、本人の希望や願望を重視した長期目標を設定します。長期目標は、具体的で現実的なものを選別して設定するのではなく、本人の希望や思いを優先して設定することが求められます。リハビリテーションの実施のためには、本人の動機づけが最も大きな要因になりますので、実現性の乏しいと思われるような願望であっても、最初から否定するのではなく、希望や願望を重視した総合目標を設定していくことが重要です。この総合目標に沿って、数か月単位の短期目標、1年単位の中期目標、数年単位の長期目標を設定していきます。数か月単位の短期目標には、具体的で実現可能なものを選別して設定します。
  • 2 正しい。精神科リハビリテーション計画には、技能開発計画と資源開発計画があります。資源開発とは資源に対する介入のことで、資源の調整と資源の修正があります。資源の調整とは、すでにある資源と当事者を結びつけることで、資源の修正とは、利用者のニーズに合うように資源提供者と交渉することです。資源開発計画には、障害の理解に向けた周囲への働きかけも含まれます
  • 3 誤り。本人の問題解決技能の評価は、機能評価に盛り込みます。問題解決技能とは、さまざまな出来事に対処できる能力のことです。資源評価とは、目標達成のために必要な資源の有無を評価することで、精神科リハビリテーションを実施するためには地域の社会資源を把握しておくことが必要です。保健、医療、福祉施策のそれぞれの状況、インフォーマルな家族や友人、職場、学校等、本人を取り巻く資源を十分に評価して、計画に反映させていくことが求められます。
  • 4 誤り。機能評価は、目標達成のために必要な機能を評価することで、日常生活技能、社会生活技能、問題解決技能、自己管理技能等を評価します。機能評価で留意すべきことは、利用者のできない機能だけではなく、できる機能にも焦点を当てるという、ストレングスの視点で評価することが重要です。
  • 5 精神科リハビリテーション計画の総合目標は、本人の希望や願望に基づくニーズを実現することです。そのために、具体的な、資源開発計画や技能開発計画を作成していきます。日常生活動作(ADL)の改善は、この総合目標を達成するための技能開発に該当します。

 いかがでしたか。「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」では、精神科リハビリテーションをはじめ、精神科専門療法、家族教育プログラム、チーム医療、ケースワーク、グループワーク、スーパービジョン、ケアマネジメント等の各援助技術の理論と展開方法もよく学習しておきましょう。

 では、今回の「精神保健福祉に関する制度とサービス」に入っていきます。今回は、精神障害者への経済的支援について取り上げていきたいと思います。

 まず、障害年金制度についてみていきましょう。