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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

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第23回 精神保健福祉相談援助の基盤

 皆さん、こんにちは。厳しい残暑が続きますが学習は進んでいますか。焦らずに着実に進めていくことが合格の秘訣です。一緒に頑張っていきましょう。

 今回は、「精神保健福祉相談援助の基盤」を取り上げます。相談援助の対象・価値・理念・意義や、関連専門職、権利擁護、チームアプローチなど、精神保健福祉士として押さえておくべき価値や権利擁護が大きなテーマになっている科目です。

 では最初に、前回の課題を解説しておきましょう。

第19回 精神保健福祉士国家試験問題 「精神保健の課題と支援」

問題16 精神作用物質の乱用対策及び援助に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 ハーム・リダクションとは、刑務所での服役の代わりに、裁判所の監督下で治療施設に通所させる処遇システムである。
  • 2 危険ドラッグとは、麻薬及び向精神薬取締法に基づいて厚生労働省が指定し、その販売が規制される薬物を指す。
  • 3 AA(アルコホーリクス・アノニマス)とは、アルコール依存症を抱えた人が治療のために入所する民間リハビリテーション施設のことである。
  • 4 ブリーフ・インターベンションとは、多量飲酒などの問題飲酒者の飲酒量を減らすことを支援する方法の一つである。
  • 5 CAGE(ケージ)とは、10 項目から構成される、問題飲酒の早期発見を目的としたスクリーニングテストである。

正答 4

解答解説

  • 1 誤り。ハーム・リダクションとは、薬物の使用をやめることができない薬物使用者に対して薬物使用継続によって生じるリスクを減らすことで、利用者自身や他者への危害を最小限にとどめることです。具体的には、注射薬物使用者の針の使用を共用することによるHIV感染を防ぐため、注射器を交換したり、注射薬物を経口薬物に代えること等です。断薬を第一とせずに、薬物使用を前提とし容認するような立場には批判もありますが、薬物使用の規制だけを強めても、断薬の困難さから薬物使用者が地下にもぐってしまい、二次的な悪影響が増大しているという現状に対して生まれたアプローチだといえるでしょう。刑務所での服役の代わりに、裁判所の監督下で治療施設に通所させる処遇システムは、ドラッグ・コートといいます。ドラッグ・コートの対象者は、非合法薬物の使用や所持の逮捕者、薬物入手のために窃盗などの軽犯罪者で、通所あるいは施設への入所によって断薬プログラムを受けます。ドラッグ・コートプログラムを受けた者の断薬の維持率は極めて高く、治療の有効性が認識されています。
  • 2 誤り。危険ドラッグは、「麻薬及び向精神薬取締法」に基づくものではありません。合法ドラッグ、脱法ハーブ等と呼ばれていた、麻薬や覚せい剤の化学構造を変えた薬物のことです。平成26年11月25日から「薬事法」が「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:医薬品医療機器等法)と改称・改正され、指定薬物に加えて、厚生労働大臣が「指定薬物と同等以上に有害な疑いがある薬物」と認めた場合、すなわちこの危険ドラッグと認められた場合は、販売禁止や広告中止など、規制の対象となっています。
  • 3 誤り。AA(アルコホーリクス・アノニマス)は、アメリカで始まったアルコール依存症の当事者活動で、匿名性を重視し、飲酒をやめたいと希望する者が自由意思で参加する自助グループです。AAミーティングで経験を分かち合い、12のステップを使用して、回復を目指す活動を行っています。薬物依存症の当事者が、薬物依存からの回復を目指す民間のリハビリテーション施設は、ダルク(DARC)です。施設のスタッフ全員が薬物依存の体験者で、寝食をともにして生活し、12のステップの考え方に基づいたNA(ナルコティクス・アノニマス)等のミーティング活動への参加やレクレーション等の活動を通して、自立を目指す施設です。保健福祉医療機関やさまざまなボランティア団体と連携しながら、薬物に依存しないクリーンな生き方を目指して活動しています。
  • 4 正しい。ブリーフ・インターベンションとは、まだアルコール依存症にはなっていない、多量飲酒などの問題飲酒行動を持つ者の飲酒行動に対して、行動変容を目指す、短時間の行動カウンセリングのことです。断酒ではなく「飲酒量を減らす」ことを目標とし、スクリーニングテストであるAUDIT(オーディット)を用いて、対象者の飲酒問題の程度を客観的に評価し、点数が8~14点の者を対象とします。減酒による危険回避の可能性と、減酒のための具体的な対処法についてアドバイスし、達成できそうな低減目標を本人自身が設定できるように援助します。
  • 5 誤り。CAGE(ケージ)は、自己診断のために便利なように、4項目の質問に「はい」か「いいえ」で解答し判定するテストです。4項目のうち、2項目以上該当すれば、アルコール依存症が疑われます。10項目から構成される問題飲酒の早期発見を目的としたスクリーニングテストはAUDIT(オーディット)です。

 いかがでしたか。「精神保健の課題と支援」では、自殺、児童虐待、薬物対策、精神障害者の実態等についても、幅広く学習しておきましょう。

 では、今回の「精神保健福祉相談援助の基盤」に入っていきたいと思います。この科目は、ソーシャルワーカーの価値や倫理、関連専門職とのチームアプローチ、自己決定、権利擁護システムなどが出題基準としてあげられています。権利擁護のためのエンパワメントやアドボカシーの概念など、援助の基本的姿勢をよく理解しておきましょう。

 今回は、ソーシャルワーカーに求められる役割としての、障害者の権利擁護について取り上げていきたいと思います。