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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

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第21回 精神疾患とその治療

 皆さんこんにちは。厳しい暑さが続きますが、体調はいかがでしょうか。熱中症にならないよう、睡眠不足で体調を崩さないよう、健康には十分気をつけて、この期間を乗り越えていきましょう。

 今回から専門科目に入っていきます。今回取り上げる「精神疾患とその治療」は、代表的な精神疾患とその症状が出題範囲の大きな部分を占めます。疾病分類とそれぞれの分類における疾病の特徴や症状、治療法などをよく把握しておきましょう。

 ではまず、先週の「権利擁護と成年後見制度」の課題を解説しておきましょう。

第19回 精神保健福祉士国家試験 「権利擁護と成年後見制度」

問題83 事例を読んで、関係当事者の民事責任の説明に関する次の記述のうち、最も適切なもの1つ選びなさい。

〔事例〕
 V社会福祉法人が設置したグループホーム内で、利用者Lが他の利用者Mを突き飛ばしてケガを負わせた。ホームの職員Aは、Lに腹を立て、事実関係も確認せず、その場にLを長時間正座させ、他の利用者らの面前でLを叱り続けた。これが原因で、Lは体調を大きく崩して、長期の入院加療を余儀なくされた。

  • 1 Lが認知症であれば民法713 条が定める責任無能力者として免責されることになるので、LのMに対する不法行為責任は成立しない。
  • 2 LのMに対する不法行為責任が認容される場合には、Vに民法714 条の法定監督義務者責任を理由とする不法行為責任は成立しない。
  • 3 LがAに不法行為責任に基づく損害賠償請求をする場合に、Vに民法715 条の使用者責任に基づく損害賠償請求を併せて行うことはできない。
  • 4 LがVに債務不履行責任に基づく損害賠償請求をする場合に、Vに民法715 条の使用者責任に基づく損害賠償請求を併せて行うことはできない。
  • 5 VがAの使用者責任に基づきL に損害賠償を支払った場合でも、VがAに求償することはできない。

正答 2

解答解説

  • 1 誤り。Lが認知症というだけでは、責任無能力者として免責されるということにはならない。民法における責任能力とは、不法行為としての責任を弁識できる能力のことで、認知症のような精神上の障害があれば、すべての場合に、損害賠償責任を問われないということではなく、精神上の障害によって、「自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に、他人に損害を加えた者」は、損害賠償責任の対象外とされる。ただし、「故意又は過失によって一時的にその状態を招いたとき」は、損害賠償責任が問われる。この事例では、故意または過失であるかどうかも明確な記述はないので、不法行為責任を免れるわけではない。
  • 2 正しい。Lに責任能力があり、不法行為の条件であるその他の要件を満たして不法行為責任が認容される場合は、V法人には法定監督義務者責任は発生しない。Lに責任能力がない場合は、法定監督義務者責任が発生する可能性があるが、LのMに対する不法行為責任が認容されるということは、責任能力があるとみなされたということであるから、Vの法定監督義務責任を理由とする不法行為責任は成立しない。
  • 3 誤り。利用者Lが、ホームの職員Aに対して、不法行為責任に基づく損害賠償請求をしても、V法人は使用者責任を免れるわけではない。利用者Lは、V法人に対しても、V法人の職員Aに対する使用者責任に基づく損害賠償請求を併せて行うことができる。使用者責任が成立するためには、従業員が第三者に不法行為責任を負うこと、不法行為を行った時点で使用者と被用者に使用関係があったこと、従業員の不法行為が、雇用主の事業の執行について行われたものであること、という要件を満たす必要があり、この事例では、これらの要件を満たしている。また、使用者が、被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りではないとされているが、この事例ではこれらに関する記述はないので、使用者責任が生じると判断される。
  • 4 誤り。債務不履行責任とは、正当な理由がないのに、債務者が債務の本旨に従った履行をしなかった場合に問われる、法的責任のことである。 この「債務の本旨に従う履行をしなかったこと」を「債務不履行」といい、それによって問われる法的責任のことを「債務不履行責任」という。この事例では、利用者LがV法人とサービス利用契約をし、Lは、福祉サービスの利用料を支払うという債務を負い、V法人は、利用者Lに対して、安全な福祉サービスを提供するという債務を負う。V法人は、Lに対するこの債務を履行できなかったので、債務不履行責任が発生し、LはV法人に対して損害賠償を請求することができる。この場合、V法人には、ホームの職員Aに対する使用者責任も発生するので、LはVに対して、債務不履行責任と使用者責任に基づく損害賠償を併せて請求することができる。
  • 5 誤り。求償権とは、損害賠償請求に対して支払った金額の一部を、被用者に対して弁済を求める権利のことである。V法人のグループホームの職員であるAがサービス利用者であるLに対して不法行為を行った場合に、Aの不法行為責任が認められると、V法人は、職員Aに対する使用者責任が問われる。V法人は、使用者責任としての損害賠償を行った場合、その損害賠償として支払った費用の一部を、職員Aに求償できる。

 いかがでしたか。この科目では、成年後見制度をはじめ、憲法の基本的人権、民法の契約、親族、相続、消費者保護等についても、よく学習しておきましょう。

 では、今回の「精神疾患とその治療」に入っていきましょう。今回は、精神症状と精神疾患について取り上げていきたいと思います。