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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第13回 現代社会と福祉

 皆さん、こんにちは。学習は進んでいますか。大学生の皆さんは、実習等でなかなか学習の時間がとれないかもしれません。また働いている皆さんも仕事に追われ、時間との戦いの日々だと思います。体調に気をつけながら、自分の学習ペースをつくっていってください。

 今回は「現代社会と福祉」を取り上げます。福祉政策論をはじめ、ニーズと資源、福祉と経済の関係等、理念的な内容についての理解が求められます。苦手な方が多いと思いますが、共通科目の基盤となる科目なので、他の科目を理解する前提として、基本的な福祉の考え方と枠組みについて十分学習しておきましょう。

 では最初に、前回の課題を解説しておきたいと思います。

第19回 精神保健福祉士国家試験 「社会理論と社会システム」

問題19 社会理論における行為に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 行為とは、行為者自身にとってどのような意味を持つかとは無関係に、他者から観察可能な振る舞いを意味する。
  • 2 伝統的行為とは、行為対象に対して直接の感情や気分によって行われる振る舞いを意味する。
  • 3 価値合理的行為とは、過去の経験に基づき諸個人の内に身についた知覚・思考・実践行動を生み出す性向を意味する。
  • 4 コミュニケーション的行為とは、他者の選択を計算に入れながら、あるいは他者の選択に影響を与えることによって、自己の目的の実現を目指すものを意味する。
  • 5 行為の意図せざる結果とは、ある意図によって行われた行為自体が、思わぬ影響をもたらすことを意味する。

正答5

解答解説

  • 1 誤り。行為とは、行為者自身にとって、何らかの目的や意図をもった主観的な意味のある振る舞いのことをいいます。ドイツの社会学者ウェーバー(Weber, M.)は、社会現象を分析する際、行動という言葉と行為という言葉を区別して使用しました。行為者自身にとってどのような意味をもつかとは無関係に、他者から観察可能な振る舞いを意味するものとして、行動という言葉を用いています。
  • 2 誤り。伝統的行為とは、無意識に習慣的に反応する行為のことです。1日のはじまりに目が覚めて着替えをする、顔を洗う、食事をするなどの行為のように、あえて意識することなく反応的に行っている行為です。行為対象に対して、直接の感情や気分によって行われる振る舞いを意味するのは感情的行為で、喜怒哀楽の感情や情動に駆られて無意識に行われる行為です。
  • 3 誤り。価値合理的行為とは、ある固有の絶対的価値に基づいて行う行為です。価値自体が、行為の原動力であり行動の基準となるという行為で、行為の結果とは無関係に、ただ絶対的価値だけを行為の基準とします。
  • 4 誤り。コミュニケーション的行為とは、言語を媒介として、自己と他者の相互了解や合意形成を目的として行われる行為です。これは強制による合意ではなく、承認や異議を自由に表明しながら行われる、主体的なコミュンケーションによる合意形成であり、ドイツの哲学者ハーバマス(Habermas, J.)は、このようなコミュニケーション的行為によって、真の意味での社会秩序の形成に、より近づくことができるとしました。
  • 5 正しい。経済学者であるアダム・スミス(Smith, A.)は、個人の自己の利益を目的とする利己的行為が、結果的に神の見えざる手に導かれて、社会全体の経済を活性化し経済の発展と調和を生み出すという、意図せざる結果を導き出すとしました。また、アメリカの社会学者マートン(Merton, R.)は、目的をもって行われる社会的な行為が、目的としていなかった、意図せざる結果をもたらすことがあることを指摘し、それを潜在的機能と名づけました。

 いかがでしたか。「社会理論と社会システム」は、範囲が広く概念的な理解が求められますので、内容をよく理解して学習していきましょう。

 では、「現代社会と福祉」を取り上げていきたいと思います。出題基準に沿って対策を立てていきましょう。