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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第8回 精神保健福祉に関する制度とサービス

 皆さんこんにちは。今回は、「精神保健福祉に関する制度とサービス」を取り上げます。精神保健福祉法をはじめ、医療保険制度や年金保険制度、介護保険制度、さまざまなサービス等、現場で精神障害者を支援する際に必要な総合的な諸制度やサービスに関する内容が出題範囲になっています。まず、前回の課題の解説をしてから詳しく取り上げていきましょう。

第19回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」
(事例)
 Cさん(35 歳、女性)は18 歳で統合失調症を発症、入院を経験しながらも農業大学校卒業後、父が代表の農業法人で果実加工部門を担当している。4 年前に農業高校教員と結婚、両親と同居し、 1 歳6 か月の娘がいる。妊娠中から再発や育児と仕事の両立の不安を語っていたが、家族や通院先のD精神保健福祉士の支援のほか、母親教室で再会した高校時代の友人Eさんとの交流にも支えられてきた。
 昨年4 月父が急死し、その後外来受診が増えた。「育児にも仕事にもほとんど手がつかない」「あまり眠れないし、もう何もかも放り出したい」などと訴えるので、D精神保健福祉士は面接と訪問の回数を増やした。(問題58)

問題58 次のうち、D精神保健福祉士が用いたアプローチとして、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 問題解決アプローチ
  • 2 行動変容アプローチ
  • 3 心理社会的アプローチ
  • 4 課題中心アプローチ
  • 5 危機介入アプローチ

正答 5

解答解説

  • 1 適切でない。問題解決アプローチとは、問題解決の主体はクライエントであるとして、機関の機能を用いて、クライエントが自分自身で問題を解決しようとする動機付けをし、クライエント自身の問題解決能力を発揮できるよう支援していくというアプローチ方法です。事例は、統合失調症のCさんが、父の死によって感情的混乱に陥っている危機状況なので、問題解決アプローチは該当しません。
  • 2 適切でない。行動変容アプローチは、現在クライエントが抱えている問題行動だけに焦点をあて、その行動を変容させようとするアプローチです。学習理論や行動療法を基盤としており、問題とされる特定の行動を消去し、望ましい行動に変容させていくという方法をとります。この事例では、Cさんに問題行動があるのではなく、危機的状況における感情の混乱の課題であるので、行動変容アプローチは該当しません。
  • 3 適切でない。心理社会的アプローチは、クライエントの心理的な側面と社会環境的な側面を一体的にとらえて、利用者とソーシャルワーカーとのコミュニケーションを通して利用者のパーソナリティの変容を目指し、人と環境との機能不全を改善しようとするアプローチ方法です。この事例でD精神保健福祉士は、Cさんの父の急死という危機的状況に対し、訪問の回数を増やすという介入を行っており、心理社会的アプローチは該当しません。
  • 4 適切でない。課題中心アプローチは、利用者自身が課題を自覚し、短期目標を設定して援助を行うアプローチ方法です。援助者は、クライエント自身が課題を自覚できるように、クライエントとともに生活における課題を明確化し、短期間に取り組めるような解決可能な具体的な課題を設定し、クライエントがそれに自覚的に取り組むことで、短期間で問題の解決を図っていこうとします。この事例では、Cさん自身が課題を自覚するという介入は行っていないので、該当しません。
  • 5 適切である。災害や予想しなかった事故等による、急性の感情的な混乱状況のなかにあるクライエントに早期に接触して短期的に適切にかかわる方法で、危機状態のなかで、感情の混乱状態にある利用者が、安心して不安を表出できる環境を確保し、危機状態のために脆弱化している対処能力を強化して、社会的に適応できるよう社会的機能の回復に焦点をあてる介入方法です。

 いかがでしたか。「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」では、精神保健福祉士の実践における援助として、すべての科目が総合的に出題されます。ケースワーク、グループワーク、コミュニティソーシャルワーク、権利擁護活動等、多様な援助技術を実践に活かせるような学習をしておきましょう。

 では今回の「精神保健福祉に関する制度とサービス」について、出題基準と過去問をもとに頻出分野を中心に見ていきたいと思います。