メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

中央法規の
『精神保健福祉士受験対策セミナー(実力アップ講座/最終チェック講座)』
 精神保健福祉士国家試験は難解な問題ばかりと感じていませんか? 
合格ラインを超える効率的な学習方法をお伝えします!
  • 実力アップ講座
    東京会場:11/18 (土)[専門]、19 (日)[共通]、26 (日)[共通]
    大阪会場:12/ 9 (土)[専門]、24 (日)[共通]
  • 最終チェック講座
    東京会場:12/23 (土・祝)[専門]、24 (日)[共通]
    大阪会場:2018 /1/7 (日)[共通]、8 (月・祝)[専門]
詳細・お申し込みはこちらから

第1回 ご挨拶

ご挨拶

 精神保健福祉士の受験生の皆さん、昨年度にひき続き、第20回精神保健福祉士国家試験の受験対策講座を担当させていただくことになりました、張と申します。よろしくお願いいたします。

 精神保健福祉士の試験も、今回で20回目を迎えます。精神保健福祉士という資格の誕生から現在に至るまでの経過をかえりみるとき、感慨を新たにします。皆さんの先輩方が精神障害者の権利を護るために、どんなに熱い思いで実践を積み上げてきたか、その結実としての精神保健福祉士という資格制度の誕生、時代の変化とニーズの多様性に伴う業務範囲の拡大の展開など、それらにその都度真摯に向き合って研鑽と実践を積み上げてきた諸先輩の働きに深い感動を覚えます。

 そして、このような素晴らしい資格を取得するために、高い志をもってチャレンジしようとしている皆様に、心からの声援を送るとともに、合格のために少しでもお役に立てることを心から願っています。

高い志の実現のために

 今まで、多くの精神保健福祉士の受験生の皆さんとかかわらせていただいて感じているのは、精神障害者に対する深い共感と、社会に山積するさまざまな精神保健福祉に関する諸課題への深い洞察と先駆的な実践力です。

 自らの知識と技術を高め、社会の課題に取り組み、精神障害者に寄り添い、その権利を護り、精神障害者の方々の生涯が輝きに満ちたものとなるようにと願って、精神保健福祉士という資格の取得を目指している受験生の皆さんの役に立たせていただきたいという思いを、年々強くしています。

精神保健福祉士の国家試験と受験対策

 精神保健福祉士の国家試験は、専門科目6科目と共通科目11科目の合計17科目と科目数が多く、1科目の出題範囲も大変広い試験です。これだけ多くの科目をどのように勉強していったらよいのか、漠然とした不安を感じておられることと思います。

 合格のためには、まず学習時間の確保が必要です。現役の大学生の方、受験資格取得のために養成校に在籍しながらレポート提出に追われている方、すでに現場で活躍しておられる方等、それぞれ置かれている環境や立場は異なると思いますが、皆さんが一番悩まれることは、学習時間の確保と、膨大な学習範囲のどこを重点的に学習したらよいのか学習方法がわからないということだと思います。

 精神保健福祉士の国家試験は単なる暗記ではなく、これから精神保健福祉士として実践していくための、人間や社会に対する深い洞察と幅広い知識を習得することが求められています。限られた学習時間のなかで、いかに効率よくこれらを自らのものとしていくか、そのためにこの講座が、少しでも受験生の皆さんのお役に立つことができればと思っています。

精神保健福祉をめぐる動向

 精神保健福祉士の国家試験は、障害者全般を取り巻く環境を大きく反映させた出題傾向となっています。

 2006年の国連総会における障害者権利条約の採択、条約の批准を目指して、2011(平成23)年の障害者基本法改正と障害者虐待防止法制定、2012(平成24)年の障害者総合支援法制定、2013(平成25)年の障害者差別解消法の制定というように、障害者関連法の制定や改正が行われてきました。

 精神保健福祉分野では、2010年(平成22年)の精神保健福祉士法の一部改正による、誠実義務、資質向上の責務の追加、地域相談支援の利用相談業務の追加、2013(平成25)年の精神保健福祉法改正による保護者規定の削除、精神科病院管理者の退院促進体制整備、精神医療審査会の委員規定の改正、退院後生活環境相談員の配置規定等、精神障害者の退院促進が政策的に進められるようになりました。

 精神障害者の退院促進については、実践現場ではすでにさまざまな取り組みがされており、障害者差別解消法と障害者雇用促進法の改正による雇用促進も本格的に始動しており、精神保健福祉士の占める役割は、従来以上に一層重要性を増してきています。

 さらに社会全体をみると、経済の停滞と社会構造の変化により、非正規職員の増加と国民の格差の拡大、貧困の連鎖、地域や家族関係の脆弱化、いじめの陰湿化や児童虐待等の増加、ブラック企業や貧困ビジネス等の課題が山積しています。

 また、グローバリズムの進展による経済格差や雇用の不安定化が、ナショナリズムやポピュリズムを生みだし、世界経済や政治情勢の不安定化に拍車をかけ、世界全体が混乱に直面しているといえるでしょう。世界各地に頻発するテロへの恐怖は社会不安をあおり、自然災害や原発事故のいまだ癒えない傷跡等とともに、わが国の社会全体にも大きく影響を与えています。

 社会の緊張が高まるとき、最も標的にされやすいのは社会的な弱者です。社会の余裕がなくなると、怒りや敵意は少数者に向けられ、人間は有能であるか無能であるかという基準で選別が行われ、社会的な弱者に対する感情的な社会的排除が日常的になります。そしてすでにそれらの兆候はいろいろな場面にみられています。このような社会的な背景のなかで、精神保健福祉士は、相談援助を行う者として、常に社会の動向を把握し、現実の生活課題との関係を洞察する力が求められています。

 このような社会状況のなかで、精神保健福祉士に求められている期待と役割は、極めて大きくなってきています。精神障害者の地域移行や社会復帰支援、医療観察制度における社会復帰調整官、職場のメンタルヘルス、貧困や児童虐待、スクールソーシャルワーカー、精神医療審査会委員等にとどまらず、さまざまな社会生活の場面において、ソーシャルワーカーとしての精神保健福祉士への期待が、一層高まっています。

 受験生の皆さんには、是非実践力のある、政策全般にも明確な意識をもってかかわることのできる精神保健福祉士として活躍するソーシャルワーカーとなっていただきたいと願っています。そして、精神保健福祉士の資格取得のために、皆さんとともに学んでいけることを、大変嬉しく思っています。

第19回試験結果

 第19回精神保健福祉士国家試験は、例年通り基礎的な知識をふまえたうえで、知識を実践場面でいかに応用していく力があるかという視点で作成されており、過去の出題傾向と大きな変化は見られませんでした。出題形式についても例年通り、五肢択一問題と五肢択二問題で構成されていました。

 受験者数は7174人で昨年より1人の増加、合格者数は4446人で昨年より29人増加しています。合格率は、62.0%で、昨年の61.6%より0.4%だけ高くなっています。全体でみると、昨年とほぼ同様あるいは微増といっていいでしょう。

 合格ラインは全科目の総点数163点のうちの91点以上で、得点率は55.8%です。昨年が86点でしたから合格ラインが5点上がっています。専門科目だけでは、80点のうちの44点以上で、得点率は55%でした。昨年は42点でしたから合格ラインが2点上がっています。国の方針としての「総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正」するという考え方からすると、全科目の6割は97点、専門科目の6割は48点ですから、いずれも6割弱であり、この方針に沿ったものといえるでしょう。

 全体を概括すると、一部、詳細なデータやあまり聞きなれない用語に関する理解を問う出題はありましたが、全体の傾向として、共通科目・専門科目とも、基礎的内容を問う良問が多かったといえるでしょう。

 また法改正や制度改正に関しては、施行後の具体的な取り組みが出題されるようになってきており、より実践的な内容になってきています。今後は、改正内容についての、さらに細部にわたる出題になることが考えられます。

 事例問題では、退院促進と地域移行支援、薬物依存症へのかかわり、広汎性発達障害者の職場支援、統合失調症・うつ病患者の就労支援、被災時のメンタルヘルス等が出題されており、今回ははじめて、刑事施設からの仮釈放者の支援についての出題もありました。精神障害者支援の社会的なニーズを背景に出題されていることがわかります。

 これからの学習方法としては、まず、各科目の基礎的内容をしっかり学習しくことが大切です。そのうえで、それらを実践のなかで具体的に適用していくための応用力を養っていくことが求められます。学習の際は、いつも具体的な状況をイメージしながら、法制度も含めて理解を深めていくことをおすすめします。

着実な努力が最大の力

 受験生の皆さんは、精神保健福祉士の国家試験の出題範囲の広さと内容の深さに、今は不安でいっぱいかもしれません。これからの学習の道のりのなかで、時には自信を失うこともあるかもしれません。けれど、着実な学習を積み重ねていくなかで、不安は自信に変わっていきます。

 学習を進めていくと、17科目がそれぞれ関連をもっており、一つひとつの知識が相互に関連していることに気づいてきます。そうなると、全体を見通すことができるようになり、学ぶことの楽しさを体験してゆくことができるようになります。限られた時間のなかでの学習は困難を伴うと思いますが、困難を乗り越えていくと、わかっていく楽しみを体験できます。不安は自信に変わり、困難が喜びに変わるよう、この講座を大いに活用していただきたいと思っています。

 これからの受験までの1年間、皆さんが学ぶ楽しさを味わい、皆さんがもっている無限の可能性が最大限に発揮されて、合格を勝ち取ることができるよう、全力で応援していきたいと思っています。

合格を目指して

 第19回試験の発表以来、受験生から次々に合格の知らせが届いてきます。一人ひとりの顔を思い浮かべながら、言葉にならない感慨でいっぱいになります。

 時には不安と限界に押しつぶされそうになりながら、必死で取り組んでいた受験生、理解が深まってきた時の喜びに満ちた表情をみせていた受験生、ひたすら自分を信じて最後まで粘り切って栄冠を勝ち取ったお一人おひとりに、惜しみない拍手を送りたいと思います。

 0点科目やケアレスミスなどで、惜しくも無念の涙をのんだ人、実力を十分発揮できなかった人など、特に今回は合格ラインが昨年より5点も上がってしまったため、僅差で涙をのんだ受験生もおられたのではないでしょうか。試験の非情な現実には言葉を失いますが、今までの積み重ねは必ず報われます。是非再チャレンジしてともに合格の栄冠を勝ち取っていきましょう。

 この講座は原則火曜日に更新されます。受験までの長い道のり、学習に不安を感じることもあることでしょう。この講座では合格のために、さまざまな角度から学習のポイントを紹介していきたいと思っています。

 次回は、第19回試験をふまえて、受験のための学習方法と本試験までの学習計画の立て方を中心に、第20回試験の受験対策を考えていきたいと思います。皆さんの1年間が実り多いものとなりますように、合格を目指して一緒に頑張っていきましょう。