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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

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第43回 「第19回 精神保健福祉士国家試験」共通科目の分析

 皆さんこんにちは。試験の結果発表が待ち遠しい日々を過ごしておられることと思います。前回の専門科目に続いて、今回は共通科目を取り上げて、出題傾向を分析していきましょう。

人体の構造と機能及び疾病

 昨年に引き続き、成長発達の分野からの出題がありました。内容としては、基礎的な知識で対応できるものでした。加齢に伴う生理機能の変化についての問題も、定番問題だったといえるでしょう。

 身体の構造として、心臓の正常解剖が詳細にわたって出題されたのには、とまどった受験生も多いと思われます。左右の弁の違いと、動脈血と静脈血の違いについては過去にも出題されていますが、冠状動脈の分岐や上大静脈、下大静脈の開口箇所、冠静脈洞の開口箇所等は、難易度が高かった問題でした。

 感染症については、今回は感染経路とワクチンに焦点があてられていました。接触感染、空気感染、経口感染、血液感染、動物媒介感染等を理解していれば、対応できたのではないでしょうか。

 生活習慣病の分野からは、糖尿病、メタボリックシンドローム、生活習慣病と遺伝との関係等、常識的な知識で対応できるものでしたが、膀胱がんと喫煙との関係について知っていた受験生は、あまり多くはなかったと思われます。

 認知症については、今回はレビー小体型認知症に焦点が絞られた出題でした。パーキンソン症状がわかれば得点できたでしょう。DSM-5については、具体的な疾患分類ではなく、診断基準の立場に関するものでした。DSM-4-TRからDSM-5に移行した意味と、多軸診断システム、操作的診断基準等の意味がわかっていれば対応できたと思います。

 今回は、難病や障害、ICF、健康の概念や健康施策、リハビリテーション、医療関連職種に関する出題はみられませんでしたが、他の分野がバランスよく出題されており、全体的にそれほど難易度は高くはなかったといえるでしょう。

心理学理論と心理的支援

 心と脳との関連の分野からは、大脳の前頭葉の役割が出題されました。頭頂葉、側頭葉、後頭葉等の役割も含めて基礎的な内容でしたから、十分対応できたでしょう。感覚・知覚、記憶、適応機制の分野も、定番問題でした。

 学習の分野からは、条件付け理論の応用として、珍しく系統的脱感作法が出題されました。他の選択肢の心理療法がわかっていれば、十分対応できる内容でした。また、心理療法の分野からの出題として、来談者中心療法における受容の応答例についても、基礎的な内容でしたので十分対応できたと思われます。

 少々難易度が高かったかと思われるのが、気分と情緒の違いについての出題でした。従来、出題実績はほとんどない分野でしたから、戸惑った受験生も多かったでしょう。今後はこの分野の対策も必要になってくると思われます。

 今回は、欲求・動機付け、発達、パーソナリティ論等の分野からの出題はありませんでした。全体的に、難易度の高い問題は少なく、大変取り組みやすかったという印象を受けました。

社会理論と社会システム

 所得格差、ライフサイクル、社会的役割に関する出題は、例年通りの基礎的な定番問題でした。社会的行為論、役割論、ラベリング理論についても、基礎的な内容でした。

 ただ、日本におけるコミュニティ政策の展開については、社会的背景や年代的な特徴を理解していないと、正解を導き出すのに困難を覚えたことと思います。また、「平成27年版高齢社会白書」についても、詳しいデータをすべて把握していた受験生は少ないでしょう。

 今回は、社会変動論に関する人物と理論の組み合わせや、階級・階層論、都市論、家族論、集団論等がみられませんでした。特に、人物・業績関連の出題が1問もなかったのが特徴的でした。今後も、単純な暗記としての人物と業績という学習方法より、理論そのものを理解するという学習が、さらに求められていくでしょう。

現代社会と福祉

 福祉の原理論については、今回はアマルティア・センの潜在能力の概念について、基礎的な理解を問うものでした。また、ラウントリーの貧困調査やニード論についても、定番問題でした。

 そのほか、社会福祉事業法制定時の社会福祉法人創設の趣旨、「社会保障制度改革国民会議報告書」、自殺対策基本法についても、それぞれ十分対応できる範囲の内容でした。

 データ関係は、「厚生労働白書における人口動向」、「働く女性の実情」とも、数値を把握していないと、正答を導き出すのが困難な内容でした。また、OECDの「より良い暮らしイニシアチブ」の「より良い暮らし指標」は、非常に難易度が高かったといえるでしょう。

 今回は、福祉政策における官と民の関係、必要と資源配分、普遍主義と選別主義、福祉政策の方法と手段等の出題がみられませんでした。全体的に、福祉政策関係の問題が少なくなり、福祉関連施策やデータ系の問題が多くなっているという印象を受けました。

地域福祉の理論と方法

 イギリスの各種の報告書、民生委員・児童委員については、極めて基礎的な知識で対応できる内容でした。
 介護保険制度と地域福祉、地域福祉に係る専門職、福祉計画における圏域等については、各分野の地域における諸制度についての知識が求められるものでしたが、それほど難易度の高いものではありませんでした。

 ソーシャルアクションに関する出題では、方面委員による救護法制定・実施の運動とソーシャルアクション、ソーシャルアクションとコミュニティオーガニゼーションの関係という出題で、どちらかというと専門科目の援助技術系の内容でした。

 短文事例問題は、社会福祉協議会の地域福祉コーディネーターによる、貧困問題に対する取り組みという事例でした。今後も、生活困窮者や子どもの貧困対策と社会福祉協議会の役割についての出題が予想されます。

 災害時における支援については、災害救助法と緊急小口資金の特例貸与、災害ボランティアセンター、共同募金の災害義援金の扱い、被災者生活再建支援法と生活支援相談員の関係、福祉避難所など、災害関係の諸制度と根拠法に関する知識が求められる、難易度の高いものでした。

 想定外だったのが、しばらく出題のなかった地域福祉の学説と、頼母子講や七分積金制度等の地域福祉前史についての出題でした。この2問については苦戦した受験生が多かったのではないでしょうか。

 全体的に見て、介護保険制度関連の出題が増えているという印象があります。今後は、介護保険制度を含めて、生活困窮者自立支援制度や生活福祉資金貸付制度、各分野の地域での実施体制を十分学習しておく必要があるでしょう。