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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第31回 地域福祉の理論と方法

 皆さん、こんにちは。試験まであと約2か月になりました。模擬試験等の結果が出てくる頃でしょうか。あまり得点が伸びなかった科目や、予想外に難しかった問題等に気分的に落ち込んでしまうかもしれませんが、模擬試験は自分の実力を知るのと同時に、自分の弱点を把握して、それを克服するのが目的です。
 できなかった問題は、なぜ解けなかったのか、理解が浅かったのか、知識量が少なかったのか、知識の確実性に欠けていたのか等、よく分析して対策を立てていきましょう。

 今回は「地域福祉の理論と方法」を取り上げます。この科目は、社会福祉法に規定されている地域福祉計画、社会福祉協議会、共同募金や、民生委員法による民生委員などをはじめ、地域福祉のニーズ把握と資源調整、ボランティア活動などについて学習しておきましょう。今回は、地域包括ケアシステムについて取り上げていきたいと思います。
 では最初に、前回の課題の解説をしておきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「現代社会と福祉」

問題29 福祉サービスにおける準市場(疑似市場)に関する記述のうち、適切なもの1つ選びなさい。

  • 1 利用者のサービス選択を支援する仕組みが必要である。
  • 2 サービスの質のモニタリングは不要である。
  • 3 同一地域におけるサービスの供給者は1つに限定される。
  • 4 営利事業者やNPOが参入できないよう、規制される。
  • 5 自治体が、福祉サービスの購入者となることが前提である。

正答1

解答解説

  • 1 正しい。準市場では、利用者が福祉サービスを選択する自由がありますが、利用者と福祉サービス提供者には、情報の非対称性があるため、利用者のサービス選択を支援する仕組みが必要とされます。そのためには、利用者に対する情報提供、苦情対応等が求められてきます。
  • 2 誤り。この準市場を導入すると、多元的供給主体によるサービス提供が可能になりますが、民間サービス導入に伴うサービスの質の低下は避けられないため、サービスの質の確保のためのモニタリングや、サービスに対する苦情対応のための施策が求められてきます。
  • 3 誤り。準市場は、公共的な施策に市場原理を導入することによって、国家による独占的なサービス提供体制を改める方法です。多様な供給主体による競争が、より効率的、より質の高いサービスをもたらすという考え方ですから、供給主体が一つに限定されることはありません。限られた資源を、民間の競争原理を導入して再配分することにより、効率的で良質なサービスを提供されることを目的としています。
  • 4 誤り。準市場は、営利法人、NPO法人等、様々な供給主体が参入できる仕組みです。
    この準市場の概念は、わが国では、社会福祉基礎構造改革によって導入された介護保険制度に反映されています。介護保険制度では、介護保険事業に、営利法人、NPO法人も参入が可能となっています。
  • 5 誤り。準市場においては、福祉サービスの購入者と供給者が分離されます。福祉サービスの購入の方法には、政府が利用者に補助金を支給して利用者が購入する方法と、政府がサービスを購入して利用者に提供する方法があります。

 いかがでしたか。「現代社会と福祉」では、福祉の原理論、福祉の歴史的発展の経緯、ニーズと資源の関係、福祉政策、福祉国家論等についても理解を深めておきましょう。
 では地域福祉論に入っていきましょう。今回は、2014(平成26)年に改正された介護保険法によって設けられた、地域包括ケアシステムの考え方や仕組み等について取り上げていきたいと思います。