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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第30回 現代社会と福祉

 皆さん、こんにちは。いよいよ試験までの期間が迫ってきましたね。だんだん緊張が高まってくる頃かと思います。この試験で大切なことは、曖昧な知識をたくさん詰め込むことではなく、確実な知識を着実に積み重ねていくことです。全体の科目の中で、自分の弱点を知り、苦手な科目や苦手な分野をしっかりと把握して、焦らず丁寧に学習を積み重ねていきましょう。
 今回は、「現代社会と福祉」を取り上げます。現代社会は福祉政策を中心に、理論的な内容が多く、深い理解が求められますので、じっくり取り組んでいくことをおすすめします。
 では最初に、前回の課題の解説をしておきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題21 社会問題の捉え方に関する次の記述のうち、構築主義的なアプローチとして正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 社会がどうあるべきかについては、多くの人々に共有されている規範が存在するので、これに反するものが社会問題と認識される。
  • 2 社会は統一されたシステムを成しているので、その目標達成にとってマイナスに働く事象は社会問題と認識される。
  • 3 社会問題とは、客観的に実在し、誰の目にも明らかな現実として存在するものである。
  • 4 社会問題とは、専門家でなければ可視化できないような、現代社会におけるリスクのことである。
  • 5 社会問題とは、自明なものとして存在するのではなく、人々が主張することを通して認識される問題である。

正答5

解答解説

  • 1 誤り。多くの人に共有されている規範に反するものを社会問題と認識するのは、規範主義アプローチである。規範主義は、人々が共有している共通の価値観である「社会的規範」が、社会秩序を保っているという考え方で、社会的規範からはずれた考えや行動は、逸脱であり社会問題であると捉える。構築主義は、人々が社会問題であると申し立てたことが社会問題になるとしている。
  • 2 誤り。統一された社会システムの目標達成にとってマイナスに働く事象を社会問題と認識するのは、機能主義である。機能主義は、社会は統一されたシステムを形成しているので、社会秩序の維持や社会の目標達成にとって、マイナスに作用することは、社会問題であると捉える。機能主義の代表的な立場にマートン(Merton, R.K.)がおり、システムの目標にとって、プラスに働く機能を順機能、マイナスに働く機能を逆機能として、マイナスに働く機能のために、社会が機能不全状態を起こしている場合を社会問題とした。構築主義は、社会を統一されたシステムとして捉えることはしない。
  • 3 誤り。社会問題とは客観的に実在し、誰の目にも明らかな現実として存在するものとして捉えるのは、客観主義の立場である。客観主義の立場は、まず一定の客観的な枠組みを作り、それを普遍的で客観的な尺度として、現実を分析して考えるという方法をとる。構築主義は、客観主義の立場ではなく主観主義の立場である。
  • 4 誤り。専門家でなければ可視化できないような、現代社会におけるリスクが社会問題であると考えるのは、ウルリッヒ・ベックが提唱したリスク社会論から発展したリスク社会的アプローチのことである。ベックは、チェルノブイリの原発事故を通して、高度に技術化した現代社会は、一般の人々の目には判断が困難なリスクを抱えており、専門家が判断しないとリスクを理解できないリスクの制御が不可能になっているリスク社会であると指摘した。構築主義は、リスクを社会問題とは考えない。
  • 5 正しい。構築主義は、1970年代にスペクターとキッセによって提唱された概念で、社会問題というものが初めからあるのではなく、人々が社会問題であると申し立てることによって社会問題になるのであるとし、人々の認識によってつくりだされるという考え方をとる。

 いかがでしたか。「社会理論と社会システム」は、社会の広範囲の分野が対象になりますので、各分野をていねいに学習しておきましょう。では「現代社会と福祉」に入りましょう。今回は、福祉サービスの供給における官と民との関係について取り上げていきたいと思います。