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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第29回 社会理論と社会システム

 皆さん、こんにちは。今回は「社会理論と社会システム」を取り上げます。産業化や情報化という社会変動とともに、社会現象がどのように変化してきているか、私たちの生活や意識にどのような影響を与えているかを理解し、利用者が抱える課題を、社会学的な視点で分析することができる目を養っておきましょう。今回は、社会問題の捉え方について取り上げていきたいと思います。では最初に、前回の課題を解説しておきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題14 心理療法に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 自律訓練法は、筋肉を漸進的に弛緩させる技法である。
  • 2 認知行動療法は、転移関係についての解釈と洞察が重要である。
  • 3 家族療法のシステムズ・アプローチでは、家族間の関係性の悪循環を変化させる。
  • 4 来談者中心療法は、夢分析を行い無意識の意識化を促進させる。
  • 5 精神分析療法は、自己認知の変容のために認知再構成法を用いる。

正答3

解答解説

  • 1 誤り。自律訓練法は、自己暗示によって心身を効果的にリラクゼーションさせる訓練法である。身体の部位ごとに、意識的に脱力し、リラックスした感覚を意識的につくり、心身をリラックスさせる方法で、四肢の重たさ、温かさを感じることによって、自己を催眠へと導き、疲労の回復やストレスの緩和、不安の軽減等の効果をもたらす。ドイツの精神科医シュルツによって開発された。選択肢の記述は、ジェイコブソンが開発した漸進的筋弛緩法に関する説明である。
  • 2 誤り。認知行動療法は、認知療法と行動療法を組み合わせた治療法で、自分の認知の歪みをただすために、現状を整理し、自分の生活の問題点を客観的に把握し、取り組むべき具体的な目標を設定し、目標達成に向けて具体的な手段を計画し実行する。認知の変容のための「認知再構成法」を行って治療する方法である。選択肢の記述は、精神分析療法についての説明である。
  • 3 正しい。家族療法は、家族を一つのまとまりをもったシステムとみなして、その家族システムを対象として治療していく、システム論に基づいた治療法である。何らかの問題を抱えた家族の一員を、たまたま症状を出した人、または「患者とみなされた人(Identified Patient:IP)」とみなし、このIPだけの問題として捉えるのではなく、家族全体のシステムの問題として捉え、介入していく。この家族の相互作用を用いて、家族システムに介入し、家族間の悪循環を変化させ、家族というシステムが健康に機能するよう援助する治療法である。
  • 4 誤り。来談者中心療法は、「無条件の肯定的関心」をもってクライエントの感情を受容し、「共感的理解」によってクライエントを理解し、表現された感情的内容をそのまま、あるいは要約して返す「感情の反射」によって、クライエントの感情的内容を整理して伝え、クライエントを受容し、支持し、クライエントの内側に生まれてくる解決する力を信じて治療する。
  • 5 誤り。精神分析療法は、無意識の分野での「エス(イド)」の活動が「自我(エゴ)」に脅威を与えるために自我が防衛機制を行い、その防衛機制が過剰になってしまうために神経症状が起こると考える。自由連想法や転移等によって、無意識の世界を意識化し、クライエントの洞察を促すことによって、無意識の抑圧から解放されることを目標として治療する方法である。選択肢の記述は、認知行動療法に関する説明である。

 いかがでしたか。「心理学と心理的支援」では、欲求と動機づけ、感覚・知覚・認知、学習や記憶、人格類型、集団や心理効果、適応、発達の概念、ストレス、心理検査等も幅広く学習しておきましょう。では、「社会理論と社会システム」に入っていきましょう。今回は、社会問題の捉え方について取り上げていきたいと思います。
 社会問題の捉え方には、大きく分けて客観主義の立場と主観主義の立場があります。