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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第24回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開

 皆さん、こんにちは。今回は「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」を取り上げます。精神障害者を支援するための援助の理論は、精神保健福祉士として実践現場で求められる大切な知識ですから、各分野ごとに整理しながら、確実に学習しておきましょう。

 では、最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉相談援助の基盤」

問題24 精神科ソーシャルワーカーの歴史に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 ジャレット(Jarrett, M.)は、全てのケースワークに精神医学的観点が必要であることを述べた。
  • 2 ビアーズ(Beers, C.)は、精神科ソーシャルワーカーとして、精神科医療の改革を目指した精神衛生運動を展開した。
  • 3 キャノン(Cannon, I.)は、自ら精神科ソーシャルワーカーと名のったことから、「PSWの母」と称されている。
  • 4 第二次世界大戦中、従軍兵の戦争神経症への対処として、ソーシャルワーカーが戦地派遣され、精神科ソーシャルワーカーの誕生に寄与した。
  • 5 日本の精神科ソーシャルワーカーは、第二次世界大戦後間もない時期に都立松沢病院に社会事業婦が置かれたことに始まる。

正答 1

解答解説

  • 1 正しい。ジャレットは、「ケースワークの母」といわれた、リッチモンドのケースワーク理論の影響を強く受けています。リッチモンドは、精神医学者であるアドルフ・マイヤーの力動精神医学の影響を受けているため、ジャレットの精神科ソーシャルワーカーの理念には、このマイヤーの力動精神医学の影響がみられ、ジャレットは全てのケースワークに、精神医学的観点が必要であると述べています。
  • 2 誤り。ビアーズは、精神科ソーシャルワーカーではなく、精神障害者である当事者として、精神病への理解と精神科病院改革を訴える活動を行い、アドルフ・マイヤーから精神衛生という言葉を提案されて精神衛生運動を展開しました。その後1930年にワシントンで国際精神衛生会議が開催された際、ビアーズはこの会議の事務局長を務めました。この会議以降、アメリカにおける精神衛生運動が大きく推進されていきました。
  • 3 誤り。キャノンは、精神科ソーシャルワーカーではなく、医療ソーシャルワーカーの働きに大きく貢献しました。キャノンは、精神科の医師キャボットのもと、患者を医療の対象としてだけ見るのではなく、人間全体としてとらえるべきだとする生活者の視点で、心理社会的援助を行うソーシャルワーカーとして、医療ソーシャルワーカーの働きの普及に大きな貢献をしました。
  • 4 誤り。精神科ソーシャルワーカーの誕生に寄与したのは、第二次世界大戦ではなく、第一次世界大戦による従軍兵の戦争神経症に対して、ソーシャルワーカーが派遣されたことによります。1918年には、マサチューセッツ州のスミス・カレッジにおいて、アメリカで初めての、高等教育機関での精神科ソーシャルワーカーの養成が始められ、精神科ソーシャルワーカーの誕生の契機となりました。
  • 5 誤り。我が国では、第二次世界大戦後の1948(昭和23)年に、国立国府台病院の精神科に、院長である村松常雄が医療社会事業部を設置し、社会事業婦を配置したのが、本格的な精神科ソーシャルワークの導入となります。都立松沢病院に精神科ソーシャルワーカーが配置されたのは、1959(昭和34)年です。

 いかがでしたか。この科目では、相談援助の対象・価値・意義や、関連専門職、権利擁護、チームアプローチなど、価値や倫理などについて理解を深めておきましょう。

 今回は「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」を取り上げていきたいと思います。この科目では、ケースワーク、グループワークの特質と、それぞれの展開、面接技術、スーパービジョンとコンサルテーション、地域移行支援、ケアマネジメント、ネットワーキング等、幅広い分野の援助技術についての学習が求められます。

 今回は、援助の際使用するアプローチ論のうち、代表的な理論について取り上げていきたいと思います。