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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第15回 福祉行財政と福祉計画

 皆さんこんにちは。今回は「福祉行財政と福祉計画」を取り上げます。この科目は苦手な受験生が多いようですが、「福祉行政分野」「福祉財政分野」「福祉計画分野」として整理して学習していくと、理解が進みます。是非、今回の学習をきっかけに得意科目にしていってください。

 では、まず前回の課題の解説をしておきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「地域福祉の理論と方法」

問題22 コミュニティや市民社会に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 マッキーヴァー(MacIver, R.)は、教会、学校、会社のような意図的につくられた機能的・結社的集団をコミュニティとして捉えた。
  • 2 ペストフ(Pestoff, V.)は、現代社会においては政府も市場もコミュニティもそれぞれが機能不全に陥っているため、個人主義を徹底することが必要であるとした。
  • 3 ロールズ(Rawls, J.)は、共同体の共通善や歴史的な価値を重視し、個人に先立つ共同体を重視するコミュニタリアニズムの思想を説いた。
  • 4 トクヴィル(Tocqueville, A.)は、1830年代のイギリスの社会の観察を通じて、市民社会の核心は中間組織としての多様な自発的結社にあるとした。
  • 5 ウェルマン(Wellman, B.)は、各個人が空間の縛りを離れ選択的に絆を築いていくとする、新しいコミュニティの可能性を説いた。

正答5

解答解説

  • 1 誤り。マッキーヴァーは、教会、学校、会社のような、意図的につくられた機能的・結社的集団を、アソシエーションとして捉えました。マッキーヴァーはコミュニティを、一定の空間的範囲をもつ地域における、共同意識をもった共同体として位置づけています。具体的には、自然発生的な結びつきによって成立する地縁や血縁などの集団を、コミュニティとして分類しています。
  • 2 誤り。ペストフは、「公的・私的」「営利・非営利」「フォーマル(公式)・インフォーマル(非公式)」の3つの軸によって供給主体を分類し、民間非営利組織としての第三セクターの重要性と役割を指摘しました。ペストフは、この第三セクターとしての民間非営利組織が、福祉サービスの供給主体として、政府、市場、コミュニティを補完し活性化する重要な位置づけになると考えました。
  • 3 誤り。ロールズは、リベラリズムの立場から、自由というものはすべてのことがらに優先して保障されなければならないとしつつ、最も不遇な人々の最低生活が保障されない限り、貧富という格差は許されるべきではないとする、格差原理を提唱しました。コミュニタリアニズムの思想を説いたのは、サンデルやマッキンタイアらで、個人の自由は無制限にあるのではなく、地域や集団という関係性の中で存在することを前提とする自由であるという、共同体の共通善や、歴史的な価値を重視した考え方です。
  • 4 誤り。トクヴィルは、イギリスではなく、アメリカの社会を観察し、アメリカの民主政治の成功は、各地域に目的集団としてのアソシエーションが健在であるからだとしました。自発的な中間集団としての多様な自発的結社が市民社会を形成しており、それらが政治への関与を促し民主政治を可能にしていると指摘しました。
  • 5 正しい。ウェルマンは、従来の地域性という概念に限定されたコミュニティの考え方から一歩進んで、地域性という空間に縛られないコミュニティという概念を提唱し、これをコミュニティ解放論として提示しました。現代社会は交通網や通信手段の発達と、グローバルな社会関係の展開によって生活圏が拡大し、地域という空間を超えて、共同体意識でつながるコミュニティが形成されるという理論です。

 いかがでしたか。「地域福祉の理論と支援」では、地域福祉の理念、地域福祉の発展過程、社会福祉協議会、共同募金、民生委員、ニーズ把握、第三者評価などについても、十分に学習しておきましょう。

 では、今回の「福祉行財政と福祉計画」について、出題傾向を分析し、対策を立てていきたいと思います。この科目は、大きく分けて、「福祉行政」「福祉財政」「福祉計画」という3つの分野から構成されています。