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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第12回 社会理論と社会システム

 皆さん、こんにちは。今回は「社会理論と社会システム」を取り上げます。この科目は出題範囲が広く理論的な理解が求められるので、苦手意識をもっている受験生が多いかもしれません。

 社会変動に伴う社会の仕組みの変化やそれぞれの時代に生きる人々の意識の変化、ライフスタイルの変化、現代社会の諸課題など、現代に生きる私たちにとって、とても身近な科目です。

 現代社会がもつ、様々な問題の影響を受けて困難を抱えている人々を援助する精神保健福祉士として、社会に対するより深い洞察力と分析力を養い、よりよい援助者となるために学ぶ楽しさを体験しつつ、理解を深める一助となればと願っています。

 では最初に、前回の課題を解説していきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「心理学理論と心理的支援」

問題9 次の記述のうち、学習の形成における洞察学習の例として、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 孵化し首をのぞかせたハイイロガンは、最初に凝視したものを親だと思い込み、凝視したものの後追い行動を始めた。
  • 2 檻に入れられたネズミが、檻の中にあるレバーを押すと餌が出ることを知った後、ネズミはレバー押し行動を増加させた。
  • 3 大人が人形を攻撃した後にほうびをもらう場面の映像を幼児に見せると、人形などのおもちゃのある部屋にいる、その幼児の行動は、より攻撃的になった。
  • 4 狭い箱に入れられた猫は脱出しようとしていろいろ試みたが、紐を引っ張ると出口が開くことを覚えた後は、箱に入れられるとすぐに紐を引っ張った。
  • 5 檻の中で天井に吊るされたバナナを取りたいチンパンジーは、すぐさま箱をバナナの下に引き寄せ、その上に登って、手にした棒でバナナをたたき落とした。

正答5

解答解説

  • 1 誤り。この記述は、刷り込みの説明です。オーストリアの動物学者ローレンツ(Lorenz, K.)は、孵化後にすぐに歩行でき、巣から離れて自立する離巣性のある鳥類の雛は、孵化後に初めて凝視したものを親だと思い込み、その後追い行動を始めるということについて研究し、刷り込み(インプリンティング)として説明しました。
  • 2 誤り。これは、アメリカの心理学者スキナー(B.F.Skinner)が提唱した、オペラント条件付けの説明です。箱の中に入れられた空腹なネズミが、レバーを押すと餌が出ることがわかると、レバーを押し続けるようになったという実験結果を通して、自主的な行動が、餌のような強化子によって強化されて学習が形成されるという、オペラント条件付け理論を提唱しました。
  • 3 誤り。記述は、観察学習の説明です。カナダの心理学者バンデューラ(Bandura, A)は、模範となる他者の行動を観察することだけによって、行動を変容させることができるという、観察学習を提唱しました。子どもを、大人の攻撃行動を見せる実験群と、大人の攻撃行動を見せない統制群に分けて実験をして、子どもの反応を観察し、大人の攻撃行動を見せた実験群の子どもは攻撃行動が増え、大人の攻撃行動を見せない統制群の子どもは攻撃行動はそれほどみられないという結果を受けて、観察学習を提唱しました。
  • 4 誤り。記述は、試行錯誤の説明です。アメリカのソーンダイク(Thorndike, E.L.)は、空腹な猫を、紐を引くと脱出できるように仕掛けをしてある、狭い箱に入れ、箱の前に餌を置いて、猫が箱から脱出しようとする行動を観察しました。紐を引っ張ると出口が開くことがわかった猫は、箱に入ると短い時間で紐を引っ張るようになりました。ソーンダイクはこれを試行錯誤と名づけました。
  • 5 正しい。洞察学習は、ゲシュタルト心理学の立場に立つ、ドイツの心理学者であるケーラー(Köhler, W)が提唱した理論で、どのような手段を用いたら目的を達成することができるかという、目的と手段を見通して行動を形成するという学習形成の方法です。ケーラーは、これを洞察学習と名づけました。

 いかがでしたか。「心理学理論と心理的支援」は、心理学的基礎知識、発達理論、ストレス、心理検査、心理療法などの頻出分野についても、十分に学習しておきましょう。

 では、今回の「社会理論と社会システム」に入っていきましょう。出題基準に沿って、過去問の出題傾向を分析しながら分野ごとに対策をたてていきたいと思います。