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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第7回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開(2)

 皆さんこんにちは。緑が美しい季節になってきました。新年度の生活には慣れてきたでしょうか。被災された方々は、いまだ余震の続く中不安な毎日を過ごしておられることと思います。1日も早い復興を心からお祈り申し上げます。

 今回は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開(2)」を取り上げたいと思います。現場で相談援助を実践していくための、具体的な援助技術に焦点をあてていきたいと思います。

 では最初に前回の課題の解説をしておきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」

問題38 精神科リハビリテーションの基本原則に関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 疾患ごとにアプローチを統一する。
  • 2 本人の依存を防いで自立度を高める。
  • 3 全過程を一貫した計画で実施する。
  • 4 本人と専門職の二者関係で展開する。
  • 5 疾病管理と再発予防の視点を持つ。

正答 5

解答解説

  • 1 誤り。精神科リハビリテーションでは、精神疾患ごとにアプローチ方法が統一されるのではなく、精神障害がもたらしている生活上の困難さの克服に焦点をあてたリハビリテーションが求められます。現実の生活に障害をもたらしている部分の改善に焦点をあてて、具体的な生活が改善されるよう様々なアプローチを、個別の状況に応じて適切に使用していくべきです。
  • 2 誤り。様々な社会資源を活用し、自らの能力を向上させ、社会生活に適応できるようにすることによって、究極的には自立を達成することになる適切な依存は、自立のために活用すべきです。アンソニー(Anthony,W.A)は、「熟慮した上で、当事者の依存を増やすことが、究極的には自立につながることがある」と言っています。この場合の依存という言葉は、甘えとは異なり、社会生活上のスキルを身につけるための一時的な依存という意味で使用されています。
  • 3 誤り。全過程を一貫した計画で実施するのではなく、状況や場面、必要性に応じて、計画に縛られずに様々な援助技術を駆使する必要があります。援助の過程において、当初の計画では想定されていなかった状況が引き起こされることもあり、状況の変化に対しては、絶えず現在の状況を分析し評価しながら、必要に応じて計画を立て直し、臨機応変に柔軟に対応することが求められます。
  • 4 誤り。精神科リハビリテーションは、本人と専門職だけで展開されるものではなく、家族や地域住民、関連機関、ボランティア、当事者同士の仲間等が協働して総合的にかかわれるような、統合的なアプローチによって展開されることが求められます。精神障害者が、地域の中で生活技能を高め、自己の本来の力を取り戻し、環境の中でその人らしく生きていくために、本人の能力の向上とともに、社会資源の開発やソーシャルインクルージョンの理念に基づく社会全体におけるかかわりは欠くことができません。精神科リハビリテーションにおいては、多様な人々の関係における援助の展開が求められます。
  • 5 正しい。精神科リハビリテーションを実施していく過程で、リハビリテーション開始時は症状が安定していても、様々な環境の変化が、症状を悪化させたり再燃させるという危険性をはらんでいます。特にリハビリテーション自体がストレスになり、症状を悪化させる原因になる場合もあります。これらをふまえて、十分な疾病管理と再発予防のための配慮が必要になります。

 いかがでしたか。精神科リハビリテーションの原則や理念のほか、精神障害者の人権と尊厳、精神科専門療法等についてもよく学習しておきましょう。では、今回は「精神保健福祉の理論と相談援助の展開(2)」について取り上げていきたいと思います。