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張先生の受験対策講座

張 百々代(はり ももよ)

受験勉強のガイド役となるのがこのコーナーです。受験対策のプロである張(はり)先生が、あなたの合格までの道のりをサポートします。

プロフィール張 百々代(はり ももよ)

精神保健福祉士・社会福祉士。児童養護施設、老人福祉施設での勤務を経て福祉系専門学校講師に。
現在は受験対策講座講師、各大学での受験対策に従事しており、第三者後見人として精神障害者・知的障害者の成年後見活動にも携わっている。

第6回 精神保健福祉の理論と相談援助の展開(1)

 皆さんこんにちは。4月に起きた熊本、大分の災害の大きさには、言葉に言えない程の心の痛みを覚えています。余震が続く中、避難生活の長期化が予想され、緊張と不安の中で心身ともに疲れが蓄積してきているのではないでしょうか。

 受験生の中にも被災された方々がおられると思います。少しでも様々な形で環境が整えられて精神的緊張から解放され、1日も早く正常な生活に戻れることを心から願っております。

 今回は、「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」を取り上げていきます。範囲が広いので、今回と次回の2回に分けて進めていきたいと思います。

 この科目は、範囲は広いですが、援助を実践していく力を養う大変深い内容になっていますので、学習を進めていけばいくほど、楽しさを体験できることと思います。私たちが精神保健福祉士として、援助の理念に基づいて、具体的にどのような援助を行っていくことができるのか、是非将来の精神保健福祉士としての実践場面を思い浮かべながら学習してみてください。

 ではまず、前回の課題の解説をしておきましょう。

第18回 精神保健福祉士国家試験 「精神保健福祉相談援助の基盤」

問題28 精神保健福祉士が行うアドボカシーに関する次の記述のうち、正しいもの1つ選びなさい。

  • 1 クラスアドボカシーとは、同じ課題を抱えた当事者の代弁や制度の改善・開発を目指すことである。
  • 2 セルフアドボカシーとは、当事者自らがサービス利用時の権利侵害を回避できるよう指導することである。
  • 3 ケースアドボカシーとは、当事者同士で権利擁護を行えるよう成功事例の蓄積を実施することである。
  • 4 シチズンアドボカシーとは、当事者の権利が市民の立場から擁護されるよう地域社会に働きかけることである。
  • 5 リーガルアドボカシーとは、当事者から制度を利用した際の権利侵害を聞き取り、法的手段によって解決することである。

正答 1

解答解説

  • 1 ○ クラスアドボカシーとは、同じような問題に直面する、特定の集団に対して行われるアドボカシーです。同じようなニーズをもつ特定の集団の権利を擁護する役割をもっています。社会制度の不備等に関して、制度や政策の改善を求めて働きかけることや、自ら必要な資源の開発等を行うことも含む、ソーシャルアクションにも通じるアドボカシーの概念です。システムアドボカシーと呼ばれることもあります。
  • 2 × セルフアドボカシーとは、当事者自らが権利を主張し、権利を行使するアドボカシーです。1970年代以降、北欧や北米を中心に、当事者運動が活発になっていったことから生まれてきたアドボカシーの考え方で、知的障害者の「ピープルファースト」の活動として発展してきました。「ピープルファースト」とは、「障害者である前に人間である」という主張に基づく活動です。
  • 3 × ケースアドボカシーとは、個人または家族の権利を擁護するアドボカシーで、アドボカシーの対象がケースに限定されるアドボカシーのことです。自己の権利を主張することが困難な個人や家庭の権利を守るアドボカシーで、パーソナルアドボカシーと呼ばれることもあります。
  • 4 × シチズンアドボカシーとは、当事者と市民が主体となって実践されるアドボカシーです。地域の市民が、社会から除外されがちな人々と関係を保ち、その利益を代表して、問題への対処の方法を一緒に模索しながら、当事者が権利を行使できるよう、当事者とともに進めるアドボカシーの活動です。市民は、パートナーとして長期的にかかわることが重要で、情報提供、助言、友人、同伴者、支援者という役割を果たします。
  • 5 × リーガルアドボカシーとは、当事者と司法関係者が協働で実施するアドボカシーで、法律に基づいて権利を行使したり、ニーズの充足を実現していく活動です。法律に基づくサービスの利用契約、交渉、法律や規則の調査、サービス要件の評価、不服の申し立て、クライエントの権利に関する法律や規則の監視等も含まれる活動です。

 いかがでしたか。「精神保健福祉相談援助の基盤」では、精神保健福祉士法、精神保健福祉士協会倫理綱領、国際ソーシャルワーカー連盟のソーシャルワークの定義、ノーマライゼーション、エンパワメント、アドボケイト等の援助の理念、多職種連携等についても整理しておきましょう。

 では、今回の「精神保健福祉の理論と相談援助の展開」について、近年の出題傾向を分析し受験対策のポイントを取り上げていきたいと思います。