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伊東先生の実技試験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

 筆記試験が終わると次は実技試験が待っています。試験委員が見守るなかでの実技試験は、緊張してしまってなかなか思いどおりにできないものです。
 実技試験の効果的な試験対策は? 評価のポイントは? 試験直前には何をしたらよい?
 伊東利洋先生が、第27回介護福祉士実技試験に向けて4回にわたって講義します。

プロフィール伊東 利洋(いとう としひろ)

有限会社いとう総研 代表取締役
 長年の介護現場、介護研究において身に付けた、「魅せる介護」の研修で多くの支持を得てきた。現在は、経営から接遇研修まで介護企業をサポートする活動に従事している。
 介護福祉士試験の実技試験対策では、緊張下でも実践できる独自の研修プログラムで、ほとんどの受講生が合格してきた。
 著書に、『介護福祉士国試ナビ』(中央法規出版)、『社会福祉士国試ナビ』(中央法規出版)、『ケアマネジャー試験合格指南書』(日総研出版)、『社会保障制度指差しガイド』(日総研出版)などがある。

第2回 出題傾向をつかもう!

介護福祉士「実技」試験 過去問題の傾向と分析

 実技試験は今まで26回実施されてきました。「利用者の身体状況」や「介護内容」を中心にどのような問題が出題されてきたのかを確認しましょう。

年度時間名前年齢身体
状況
種別場面介護内容
移動・移乗着脱
第1回5分山田65右上下肢麻痺ベッド設定なし 寝巻き交換側臥位の安楽の姿勢寝たまま寝巻き交換
第2回5分田中80右半身麻痺移乗設定なし気分転換のためにいすに移動ベッドからいすへの移乗 
第3回7分鈴木80右手首骨折
左上肢振戦
ベッド設定なしベッド上で水を飲むベッドで仰臥位から起座位 
第4回5分佐藤78右手首・指が硬直移乗設定なし作業療法が終わり手が汚れている(1)車いすの段差越え
(2)車いすからいすへの移乗
 
第5回5分田中87視覚障害歩行食事昼食の場面視覚障害者の歩行介助 
第6回5分山本75右上下肢麻痺
認知症
歩行設定なし夜に「家に帰る」とうろうろしている(1)歩行介助
(2)ベッドに就寝
上着の脱着
第7回5分木村80左上下肢麻痺移乗移動散歩を済ませて帰宅(1)車いすからベッドへの移乗
(2)安楽の体位
 
第8回5分秋山82左上下肢麻痺移乗排泄トイレに行きたいベッドからポータブルトイレの移乗 
第9回5分金子92左片麻痺ベッド設定なしベッド上で浴衣を着る安楽の体位寝たまま浴衣の着衣
第10回5分佐藤74左麻痺移乗設定なし一人で車いすからベッドに移乗したい(1)車いすからベッドへの移乗
(2)側臥位にする
 
第11回5分佐藤90全身倦怠感ベッド設定なし褥瘡の予防と安楽な体位仰臥位から側臥位にする 
第12回5分佐藤75右上下肢麻痺移乗保清入浴後にパジャマを着る車いすの操作(段差あり)パジャマ上下着衣
第13回5分鈴木78左片麻痺移乗排泄排尿後にベッドに移乗(1)ポータブルからベッドへ移乗
(2)仰臥位から側臥位
ズボンの着用
第14回5分青木77右片麻痺歩行設定なし朝洗面台へ移動歩行介助(杖なし)トレーナー上下着衣
第15回5分斉藤86左半身麻痺ベッド設定なしベッドの下方で寝ているベッドの下方から上方への移動衣服と靴下を整える
第16回5分伊藤76右半身不全麻痺移乗移動レクリエーションのため隣室へ移動(1)いすから車いすへ移乗
(2)段差の乗り越え
 
第17回5分山本75左上下肢麻痺歩行移動デイサービスに行くための介助(1)台を使って床からの立ち上がり
(2)歩行介助(杖あり)
上着の着衣
第18回5分木村80左片麻痺移乗移動散歩に出かけるための介助(1)ベッドから端座位
(2)車いす移乗
上着の着衣
第19回5分山川75左半身麻痺歩行保清入浴をするためにシャワーチェアに移動(1)いすからの立ち上がり
(2)歩行(段差あり)
(3)シャワーチェアーに座る
上着の脱衣
第20回5分鈴木85右半身麻痺歩行食事部屋で食事をする(1)ベッドから端座位
(2)歩行介助
(3)椅子に座る
 
第21回5分田村79右上下肢麻痺移乗食事上衣が汚れたので着替える(1)車いす移乗
(2)車いす操作(段差なし)
上着の脱衣
第22回5分金子80左上下肢麻痺移乗排泄ポータブルトイレでの排泄(1)ベッドから端座位
(2)ポータブルトイレへ移乗
ズボンを下ろす
第23回5分山下75右上下肢麻痺歩行移動趣味の活動の準備(1)いすからの立ち上がり
(2)歩行介助(杖あり)
(3)いすに座る
 
第24回5分田中87左上下肢麻痺移乗移動車いすで外出する(1)車いす移乗
(2)車いす操作(段差あり)
上着の着衣
第25回5分坂田85右上下肢麻痺移乗移動自室へ戻る(1)立位の状態から車いす移乗
(2)車いす操作
(3)車いすからいす移乗
 
第26回5分遠藤80視覚障害歩行食事食堂まで歩行介助(1)いすから立ち上がり
(2)視覚障害者の歩行介助
(3)いすに座る
身だしなみを整える

試験時間は「5分」

 試験時間は、第3回試験を除き、5分間の設定になっています。
 試験開始後5分経過すると、「ストップ」されてしまい、それ以降の介護内容は得点に反映されないようです。

 合格基準に達するには、「5分以内」で課題を終わらせるトレーニングをすることがとても大切だといえます。

名前を覚えよう!

 利用者の名前を覚えて「○○さん」と呼ぶと、利用者を尊重しているアピールにつながります。
 利用者に声かけするときは、「○○さん」と名前で呼びかけましょう。

 過去16名の方が出題されましたが、複数回出題された方は約40%にあたる6名のみで、約60%は1度しか出題されていません。複数回出題されたのは、「佐藤さん」「鈴木さん」「田中さん」「山本さん」など、日本に多い方が多いようです・・・。

 名前を覚えるのが苦手な方は、自分の知り合いの「佐藤さん」をイメージするなど、短時間(10分以内)で覚える練習をしておきましょう!


利用者の身体状況

 利用者の身体状況は、約80%が「右上下肢麻痺」又は「左上下肢麻痺」の設定になっており、「右」「左」の割合は約50%ずつになっています。。

 その他の設定は、「右手首骨折」「右手首、右指硬直」「全身倦怠感で全介助」「視覚障害」「認知症」が出題されています。


利用者の状態像は3種類

 実技試験の問題パターンは大きく分けて、次の3種類に分類することができます。

  • 1、「歩行」の介護が必要な利用者(障害高齢者の日常生活自立度Aランク)
  • 2、「移乗」の介護が必要な利用者(障害高齢者の日常生活自立度Bランク)
  • 3、「ベッド」での介護が必要な利用者(障害高齢者の日常生活自立度Cランク)

 ・・・過去の出題傾向は、「移乗」の介護が必要な利用者が50%と最も高くなっています。


場面設定は4パターン

 介護場面は、設定ありが約60%、設定なしが約40%になっています。設定ありの場合は、大きくわけて次の4つのパターンになっています。

  • 1、「食事」の場面(食事のセッティング、食事で衣服が汚れた場面など。実際に食事を摂る場面はない)
  • 2、「排泄」の場面(ポータブルトイレに移乗の場面など。実際に排泄の介助をする場面はない)
  • 3、「保清」の場面(浴室へ移動、入浴後にパジャマを着る場面など。実際に入浴する場面はない)
  • 4、「移動」の場面(外出をする、散歩に行く、デイサービスに行く、居室に行く場面など)


頻出課題は「移動・移乗」と「着脱」

 出題基準では、介護内容は「身体介護全般」が設定されています。
 しかし、実技試験は学校の教室などで行われますので、食事や入浴、排泄介助は出題されにくい傾向にあります。

 食事の場面、入浴の場面、排泄の場面の設定はありますが、直接的な介護は出題されていません。(モデルさんは、一日にたくさんの人の相手をしなければなりませんので、現実的に出題は困難だといえますね・・・。)


 過去の出題でも、入浴の場面、排泄の場面などがありましたが、実際は、「移動・移乗」「着脱」が課題の中心だということが分かります(移動・移乗は100%、着脱は約50%の確率で出題)。
 今年の試験対策でも、「移動・移乗」「着脱」の練習をしっかりと準備しておくと「ツボ」を押さえたことになると思います。