メニュー(閉じる)
閉じる

ここから本文です

石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センターに、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービスなどに従事。
現在は、地域や学校、介護サービス事業者や施設の研修講師、アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員などを兼務。介護福祉士などの受験対策講座も数多く行っている。 (介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級、介護予防主任運動指導員)

第45回 第30回介護福祉士国家試験・筆記試験を振り返って(後半)

 こんにちは。皆さんが、そして皆さんのお仲間が挑まれた筆記試験。今回は、「午後」の問題を振り返ります。なお、解答速報については、こちらをご覧ください。

発達と老化の理解

 本科目は、介護の原因となる老化や、老いて患う病気・障害などの知識が問われます。その中で今回は、老化に伴う身体の変化(貧血になりやすい)や、感覚・知覚の変化(「1時〔いちじ〕」と「7時〔しちじ〕」のような似た音を聞き取ることが難しくなる)、嚥下障害(食事の時にむせる)、パーキンソン病の症状(無表情)などが、出題されました。「下半身の保温を心がける」という日常生活上の注意点を要するのは、前立腺肥大症ですね。また、人の細胞分裂の回数があらかじめ決まっていることで老化が生じると考える、老化プログラム説は、何だか分かるような気がします。

 「こころとからだのしくみ」で学習した、マズローの欲求階層説キューブラー・ロスの死の受容過程は、今回、本科目で出題されました。あせらず解答できましたでしょうか。

認知症の理解

 認知症の人への基本的な関わりや日常生活上の支援、初期のアルツハイマー型認知症における認知機能障害の特徴(エピソード記憶が障害される)、前頭側頭型認知症の特徴(常同行動)、レビー小体型認知症にかかる事例問題、血管性認知症の危険因子(メタボリックシンドローム)など、認知症の原因疾患別の特徴や、認知症に関する基本的な知識・技術が、例年どおり出題されました。得点できましたでしょうか。

 家事動作などを含むIADL(手段的日常生活動作)のアセスメントは、軽度の認知症において有用、という考え方は、大事ですね。また、認知症にかぎらず、高齢者等の生活や介護に関する相談機関といえば、地域包括支援センターであることを、実務という点でも、しっかり頭に入れておきましょう。

障害の理解

 上記2科目が、およそ介護保険法の利用者を想定しているのに対して、本科目では、障害者総合支援法の利用者において、介護の原因となっている病気・障害などの知識が問われます。今回は、高次脳機能障害の症状の1つである社会的行動障害(ちょっとしたことで感情を爆発させる)や、自閉症の特性(対人関係の形成に障害がある)、注意欠如・多動性障害(ADHD)にかかる事例問題、言語機能障害を来す難病(脊髄小脳変性症)などについて、出題されました。なお、相談支援専門員は、障害者総合支援法のもとで、「サービス等利用計画(ケアプラン)を作成する」者で、介護保険制度下の介護支援専門員(ケアマネジャー)に相当します。

 また、障害者分野で台頭した、ソーシャルインクルージョン(共に生き、支え合うこと)などの理念や、「障害は、環境によって作り出されるものである」というICF(国際生活機能分類)の考え方は、とても大切です。

 「こころとからだのしくみ」で学習した、適応機制の1つである退行(発達の未熟な段階に後戻りして、自分を守ろうとする)について、本科目で出題されました。

こころとからだのしくみ

 こころとからだのしくみも、学習範囲が広く、難しく感じる科目です。今回は、こころのしくみからは、記憶(記銘とは、情報を覚えることである)などについて、からだのしくみからは、血管系(肺動脈には静脈血が流れている)、生体で生じる化学反応に関わる酵素(主要成分はタンパク質)などについて、出題されました。さらに、排便(麻薬性鎮痛剤の使用中は便秘になりやすい)や体内時計(1日24時間の周期に修正する最も強力な因子は日光)、臨終期の身体の様子(喉からゴロゴロする音が聞かれる)などについても、出題されました。

 本科目は例年、「発達と老化の理解」や「生活支援技術」など他の科目で学んだ事柄を組み込んだ出題が多く見られます。テキストなどでの学習と現場経験を結びつけながら、1問でも多く正解にたどりついていればと思います。

医療的ケア

 前回から2年目の出題となった本科目は、いかがでしたでしょうか。

 医療行為としての喀痰吸引等を行うための指示書は「医師が作成する」、喀痰吸引を必要とする利用者に対する生活支援として「室内の空気を清浄に保つ」、1回の吸引で痰が取り切れなかった際、再度、吸引を行うときの対応として「呼吸が落ち着いたことを確認する」など、医療との密な連携を必須とした、医療的ケアにかかる知識や技術、留意点などについて、テキストや本連載記事などによる学習や、実務者研修等での演習などを思い起こしながら、冷静に正解を導いてくださっていれば何よりです。

総合問題

 在宅あるいは施設で生活する利用者に関する4つの事例について、12科目の学習や、実務経験で身につけた知識、技術、理念などをふまえて、正答できましたでしょうか。

 今回は、事例を通して、脳出血不全麻痺、アルツハイマー型認知症、頸髄損傷、両大腿切断と、その介護に関する知識や技術などが、出題されました。あわせて、虐待に対する「老人福祉法」を適用した、市町村の措置による施設入所や、身体障害者手帳による「有料道路(高速自動車国道)の通行料金」割引などについて、出題されました。

 「午後」は、何問くらい正答できましたか。発達と老化の理解4~5問、認知症の理解5~6問、障害の理解5~6問、こころとからだのしくみ6~7問、医療的ケア3~4問、そして総合問題を7~8問正答し、「午前」と合計して、125問中80問、あるいはそれを超える感じで得点できていればと思います。

 受験された皆さんからの良い知らせを心待ちにするとともに、結果は確かに大事ですが、現場の仕事をわかりやすく、おもしろく、やりがいをもって続けていくために、ここまで積み重ねた学びを、活かされることを願ってやみません。

 これからも一緒に取り組んでいきましょう。