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石橋先生の受験対策講座

石橋 亮一(いしばし りょういち)

忙しい日々の中で効率よく勉強するにはどうしたら?とお悩みのあなたに、ぴったりのガイド役となるのがこのコーナーです。介護の現場にも詳しい石橋亮一先生が受験勉強のポイントを講義します。

プロフィール石橋 亮一(いしばし りょういち)

社会福祉法人同胞互助会にて特別養護老人ホーム、在宅介護支援センターに、株式会社ベネッセコーポレーションにてホームヘルプサービスなどに従事。
現在は、地域や学校、介護サービス事業者や施設の研修講師、アドバイザー、介護認定審査会委員、東京都第三者評価員、介護サービス情報の公表制度調査員などを兼務。介護福祉士などの受験対策講座も数多く行っている。 (介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員、福祉住環境コーディネーター2級、介護予防主任運動指導員)

第5回 人間の尊厳と自立

 こんにちは。
 今回から各科目について勉強していきましょう。
 まずは、「人間と社会」領域の「人間の尊厳(そんげん)と自立」です。
 自立支援の視点で、介護職がニーズに応じて利用者の生活を適切(てきせつ)に支援するためには、そもそも人間の尊厳や自立とは何か、その尊厳を保持(ほじ)し、自立を支援するとはどういうことかを理解しておく必要があります。

人間の尊厳・自立とは何か

 人間の尊厳とは、人間が生きている存在(そんざい)として、その生命や生活が、尊(とおと)く厳(おごそ)かで、侵してはならない価値のあるもの、ということです。介護職においても、利用者の尊厳を侵(おか)すことなく、その生活を支援していくことが不可欠です。

 しかし、現場を振り返ると、虐待(ぎゃくたい)や身体拘束(しんたいこうそく)、職員の業務の都合を優先した介護など、利用者の尊厳が踏みにじられる出来事が少なからずみられます。歴史的にみても、病気や障害をもつ人々が、偏見や差別を受けてきた経緯(けいい)があり、第25回の試験では、ハンセン病に関する出題がありました。

 現場での望ましくない出来事を解消し、利用者の尊厳を守り保持するためにも、今回のような資格取得を通した介護職一人ひとりの学習や、事業者・施設としてのさまざまな取り組みが絶えず必要です。

 一方、自立とは何でしょうか。自立とは、援助を受けていようといなくても、自らの生活を、自己選択、自己決定、自己責任の原則で管理していることを指します。1960年代後半から70年代初頭にかけて、アメリカの重度身体障害者により唱(とな)えられた自立生活運動(IL運動)によって登場した考え方です。

 利用者の自立を支援するというのは、利用者の個別性を尊重し、利用者一人ひとりのライフスタイルに沿って自分らしく生活できるように援助することです。たとえ寝たきりや認知症になっても、できる限り自分の意思で自分の生活をコントロールできるように援助することといえます。意思の表明が難しい利用者には、アドボカシー(利用者の立場に立って代弁すること)も大切となります。第24回、28回の試験では、介護職がそのような理念を身につけているかどうかが、事例問題で確認されました。

社会福祉士及び介護福祉士法

 利用者の尊厳の保持や自立の支援を、介護などの現場で確実に実行させるために、「社会福祉士及び介護福祉士法」という法律で、次のとおり規定しています。

  • 誠実義務:利用者の立場に立って、誠実にその業務を行わなければならない。
  • 信用失墜(しっつい)行為の禁止:介護福祉士の信用を傷つけるような行為をしてはならない。
  • 秘密保持(ほじ)義務:正当な理由がなく、その業務に関して知り得た人の秘密を漏(も)らしてはならない。介護福祉士でなくなった後においても同様。
  • 連携(れんけい):利用者の心身の状況などに応じて、福祉サービス等が総合的かつ適切に提供されるよう、福祉サービス関係者等との連携を保たなければならない。
  • 資質向上の責務:介護を取り巻く環境の変化による業務内容の変化に適応(てきおう)するため、介護などに関する知識及び技能の向上に努めなければならない。

 この法律は、1987年(昭和62年)に制定され、介護、社会福祉分野に従事する介護福祉士のあり方などを定めています。受験する皆さんは、この法律で定める資格の取得(しゅとく)を目指しています。本科目では、第24回、25回に出題され、「介護の基本」など他の科目でも出題されますので、確実に把握(はあく)しましょう。

 また、今後、「社会の理解」という科目で学習する社会福祉法介護保険法でも、介護職が提供する介護サービスは、利用者個人の尊厳の保持を旨(むね)とし、利用者の有する能力に応じて自立した日常生活を営(いとな)むことができるように支援しなければならないと規定しています。第26回では障害者総合支援法にて、すべての国民は、障害者等が自立した生活を営めるような地域社会の実現に協力するよう努めなければならないとの規定が、第27回では障害者差別解消法にて、行政機関に対して、障害者に対する合理的配慮を法的義務としていることが出題されました。

 次回は、「人間関係とコミュニケーション」を学びましょう。