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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

合格率が13.1%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部准教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

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第28回 第20回介護支援専門員実務研修受講資格試験の講評

試験の講評をする前に

 まずは、本当にみなさん、お疲れ様でした。

 受験勉強と受験生であるという何とも言えない毎日のプレッシャーは、終わってみれば気分よく、何か解き放たれた気分爽快となるかと思いきや、自己採点の結果とネット上であふれる合格のボーダーライン、そして「来年に向けて頑張ります」とか「2年間は受験できません」などの書き込みなど・・・。
 まだ結果が出ていないのにとは思いますが、何とも言えない気持ちで過ごしておられることと推察いたします。

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オーソドックスな問題になった印象

 私も試験問題を解いてみましたが、まず思ったのは、「うん、かなりオーソドックスな問題になったな」が第一印象でした。

 近年は「出題者の意図を知りたい」と思ってしまうような不満の出る問題ばかりでしたので、正直、プンプンという怒りの気持ちが強かったのですが、今年の問題に少しふれてみて、「良問が増えたかな」と感じています。

 あらためてですが、この「ケアマネジャー試験」と呼ばれている試験の正式名称は、「介護支援専門員実務研修受講試験」であり、当初は「介護支援専門員実務研修受講資格試験」と呼ばれていました。介護支援専門員養成において、第一段階として実施される「実務研修」を受講するためには一定のレベルが備わっており、実務研修のスタートラインのレベルをほぼ同様にするために行われたものです。
 つまり、介護保険制度における適切なケアマネジメントを推し進め、制度運用の要となる介護支援専門員(ケアマネジャー)を育てるプロセスとして、この「介護支援専門員実務研修受講試験」が位置づけられているのですから、内容もそうあるべきと考えています。

 また、『[七訂]介護支援専門員基本テキスト』(以下「基本テキスト」)では、本試験について、「介護支援専門員の業務に関する基礎的知識及び技術を有することを確認する」(「基本テキスト」1巻249ページ)目的で、都道府県が実施主体となって行うと記載されています。

 さらにその基礎的知識については、「制度自体の詳細な内容、要介護認定の申請から保険給付、介護報酬、給付管理、審査・支払までの手続きをよく把握し、要介護者等に不利のない運用を行うとともに、介護保険のあらゆる相談等に相当程度対応し得ることが必要となります」(「基本テキスト」1巻226ページ)とされています。また、ケアマネジメントの一連のプロセス及び保健・医療・福祉にわたる総合的な基礎知識とサービスや施設等の機能や事業内容の熟知も、介護支援専門員に求められる「基礎知識等」として必要になるわけです。

 であるならば、試験問題として問う内容は、利用者からの相談に相当程度対応できる知識と技術について、ケアマネジャー試験の問題として問うことが求められていると、私は考えます。

 近年の介護保険の実施状況をみると、ケアマネジャーには充分な医療的な知識が求められるとともに、生活困窮者や複雑で複合的な生活課題をもつ家族も多く、介護保険制度だけの対応ではなく、さまざまな社会福祉の制度活用も求められているのは事実です。そのため、今回の「保健医療サービスの知識等」「福祉サービスの知識等」の試験問題については充分検討されており、基礎知識としては難問も多くはなく、例年同様の問題であったと私は感じでいます。

「介護支援分野」について

 介護支援分野については、私はみなさんに、試験前の受験対策として次のようなことを述べてきました。

  • (1)「問題1」「問題2」は受験者を呪文にかける難問が出る。
  • (2)「事例問題」は比較的やさしい問題で得点しやすいので、「問題25」からやるとよい。
  • (3)「地域支援事業」や「地域包括支援センター」については必ず出題されるので、全体像を理解したうえで学習をしてほしい。
  • (4)最近は、「要介護認定等の審査判定基準」「主治医意見書の項目」「課題分析標準項目」など、言ってみれば試験委員の「宝島」から出題されるので、受験生にとっても「宝島」にできるよう確認しておくこと。
  • (5)介護保険の制度導入の目的や実施状況は出題されない。

 こうしたことを、この受験対策講座や、受験対策セミナーでもお話させていただきましたので、それを信じてくださって、勉強された方も多いと思います。そこでまずその5点について、私からコメントさせていただきたいと思います。

(1)について

 「問題1」「問題2」は、やはり呪文でしたね。いきなり介護保険法第4条と介護保険の動向に関する事項からの問題で、昨年は第8条からの出題でしたから今後は、第1条から第8条が指定席になるのでしょうか。「問題2」の介護保険の動向は、(5)で出題されないとお話ししてはきたもの、制度施行から17年経過しているのに、選択肢1で2012年当時のことを出題するとは・・・。しかし、よく読めば明らかな正解の選択肢が2つみつかるので、選択肢をじっくり味わって読めば、正解もわかりやすいですね。

(2)について

 事例問題は、今年も「問題25」の1問だけの出題となり、「利用者の飼い犬の世話」に対しての対応の問題でした。本来は、事例問題を通して介護支援専門員としての判断能力や、あわせて基礎的な技術を問うものが事例問題の位置づけであると考えますが、介護保険の保険給付とはまったく関係がなく、資源の開拓・開発という点は大丈夫ですが、このテーマを出題する意図があまりわからなかったという印象です。

(3)について

 「地域支援事業」や「地域包括支援センター」に関連しての出題も、「問題2」「問題3」「問題9」「問題11」「問題12」「問題20」「問題21」などの選択肢に散りばめられて出題されていましたね。「問題3」「問題20」などは、現場の動きからも判断できる問題内容だったと思いましたね。

(4)について

 私が、ぜひみなさんの「宝島」にしてくださいねとお願いしていたのですが、「問題16」「問題23」で出題されましたね。受験対策セミナーでは「課題分析標準項目」を確認して、「きっと今年は狙われる!!」と話していましたが、「問題16」で的中しましたね。

(5)について

 このカテゴリーは、「問題2」の選択肢1での記述はありましたが、出題されなかったと判断できますね。

 ということで、本受験対策講座で記載した内容については、ほぼ予想通りだったかなと思います。

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趣旨どおりの問題は増えた傾向

 さらに試験問題として全体を見ると「選択肢の短文化」と併せて、はじめに述べたとおり、本試験の趣旨どおりの良問が増えていたと思います。
 この傾向は一昨年、昨年と比べると明らかに違います。試験委員会の方向性が修正されたのではないかといっても、合格者をどれくらい出すかが前提の合格基準だと考えられるので、合格者が一気に増えることはないのかもしれません。
 短文化については、適切な読解力と正確な知識がないと判断が困難となります。したがって、受験者は短い文章の選択肢を詳細なことまで理解した知識を、自問自答しながら正否を一つひとつ判断しなければならないこととなります。
 ただ、問題文の「○○○について、正しいものはどれか。」という○○○のカテゴライズと選択肢のつながりが気になる問題もあったと思います。特に「問題5」は、出題意図が疑問でしたね。市町村特別給付のことを知っていれば、3つの「介護給付である」を簡単に選択できますから。

 まあ、多少気になるところもありますが、介護支援分野としては良問化し、オーソドックスな出題になったということだと感じています。

「保健医療サービスの知識等」「福祉サービスの知識等」について

 一昨年からは免除がなくなり、全員が「保健医療サービスの知識等」「福祉サービスの知識等」の35問を解答することで、保健医療系の受験者が有利であることは変わりありませんが、保健医療サービスの分野は、従来通りの内容からの出題でしたね。

 ケアマネジメントの対象となることが多い高齢者の「検査」や「疾病・疾患」、「認知症」、「在宅医療管理」に加え、給付サービスの「訪問看護」や「短期入所療養介護」、「介護老人保健施設」などの出題範囲や傾向や難易度も大きく変わりませんでした。

 福祉サービスの分野も、「ソーシャルワーク」「メゾ・ソーシャルワーク」「マクロ・ソーシャルワーク」「短期入所生活介護」「通所介護」「訪問介護」「介護老人福祉施設」 「成年後見制度」などは、従来通りの出題ですね。「地域包括ケアの時代」といわれているだけあって、メゾ・ソーシャルワークは今後も出題されると思われます。

 また、過去5年で3回は「成年後見制度」「生活保護制度」の2問が出ていましたが、今年は「成年後見制度」だけで、生活保護が出題されませんでしたね。社会では低所得者の問題が顕著なのに少し意外な感じもしました。
 たぶん、来年は生活保護制度の出題が堅いですね。

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まずは「受験」から解放され、合格を待ちましょう

 受験した皆さんは、合格基準点のことが心配で、11月28日の合格発表まで気持ちの整理がつかないという人もたくさんいらっしゃると思います。ただ受験勉強、受験生という「受験」に抑圧されたこれまでの時間からは解放されましたから、まずはその時間をお楽しみください。

 合否結果はともかく、ほんとうにおつかれさまでした。

 といいつつも、私は今年の傾向から来年に向けての分析と対策を考えてみたいと思います。

 本当にみなさん、4月から毎週、28回にわたりお読みいただいたこと感謝いたします。