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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

合格率が13.1%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部准教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

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第3回 第1単元「被保険者」1回目

昨年の問題を解いてみよう

 みなさんこんにちは!!  毎日暖かくなってきていますね。
 私の大学でも新入生を迎え、新学年へのオリエンテーションに続き、いよいよ講義も始まりました。
 みなさんの職場でも、異動や新しい役割が任されることになったとか、新しいことがいっぱいですよね。そんななか実務経験が5年となり、「今年は、ケアマネ試験を受けます」という声もちらほら聞こえてきていませんか?
 初めて挑戦する人もリトライする人も、10月8日の本番に向けて、いよいよ本格始動です。ぜひ合格に向けて始めていきましょう!

 さて、何度も言いますが、「ケアマネ試験は、“ノー勉”では合格できません」。
 ケアマネジメントと同様に、「試験に対する」充分なアセスメントと合格という「目標の明確化」、計画の作成と「家族や仲間と受験勉強をする」という同意、計画の実施状況に対するモニタリングフォローアップといった、まさしくケアマネジメントのプロセスを実践することになるのです。
 例えば、ケアマネ試験の25問を占める「介護支援分野」は、介護保険制度とケアマネジメントが出題範囲ですね。これまでにこの分野についてはどんな出題傾向だったのでしょうか。これをアセスメントするものとしては、最近では「過去問解説集」があります。
 過去問解説集は、受験対策にはとても有効です。ただ、その選択肢が問うている問題文は、法改正や制度改正で変わるものです。そのため試験で出題された当時は「正解」であっても、現在では「誤り」になってしまう選択肢もなかにはあります。
 過去問解説集は、こうした改正点にも対応した、信頼のおける出版社のものがおすすめです。
 中央法規さんでは、神奈川県介護支援専門員協会編集の『ケアマネジャー試験過去問一問一答パーフェクトガイド』があります。一問一答方式で過去問題がカテゴリーごとに分類されており、解説には長寿社会開発センター『[七訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)の該当ページもあり、私のおすすめの1冊です。

 では、いきなりですが、昨年の「介護支援分野」25問を解いてみませんか?

 私の大学では新4年生に対して、4月早々に実際の国家試験問題を使って試験を行います。多くの学生はその結果でショックを受けるのですが、そのショックがとても有効なんです。
 初めて試験を受けられる方にとっては、苦痛な時間になるかもしれません。しかし、一度チャレンジしてみませんか? どれぐらい難しい試験なのか、体感してほしいのです。
 ぜひトライをして今の自分の知識をアセスメントしてください。ただし、ショックで立ちあがれないなんてことはないように!

さて、今週の本題です「森を見て、木を見ましょう」

 先週は4つのキーワードと6つの単元のお話をしました。
 4つのキーワードとは、介護保険は、「社会保険・強制適用・地域保険・短期保険」でしたね。その点をおさえたうえで、保険制度としての介護保険を理解していきましょう!
 そして、介護保険制度を理解するには、ただダラダラと参考書やテキストを読んで理解しようとするよりも、「保険制度」の特徴にしたがって、次の図のように、6つの単元で区切って学習していきましょう。
 それぞれの関係性を下の図(森の全体)を頭の中にイメージしてほしいのです。


 では、森のなかにある、「被保険者」という木をこれから学習していきましょう。
 「基本テキスト」の準備はできていますか? 被保険者の単元は、「基本テキスト」では、第1巻54ページからになります。『ケアマネジャー試験ワークブック2017』(「ワークブック」)では32ページから38ページになります。

被保険者の学習(1)「年齢要件」について

 さて、早速学習に入りましょう!
 介護保険は、4つのキーワードの1つ目「社会保険」ですね。
 「社会保険」ですから「民間の保険」と違い、「強制適用」(「基本テキスト」1巻54ページ・「ワークブック」32頁)の仕組みがあります。つまり一定の要件に該当したら「被保険者」の適用となるものです。「強制加入」ともいいますね。同じ社会保険である年金についても、20歳になったら国民年金の加入が義務づけられますよね。
 実は、社会保険の1つである「介護保険」も、「強制適用」され、一定の要件に該当すると強制的に加入しなければならないのです。
 介護保険制度の創設当初には、「20歳から加入で、保険料は月500円」なんてキャッチコピーもあったのですが、介護について関心が出てくるのは、「親の介護が必要となる年齢からではないか?」とか「20歳から加入とすると障害者の介護も介護保険に含まれるのか?」といった議論がなされ、わが国の介護保険は、40歳から加入するものになりました。このことを「年齢要件」といいます。
 また、介護保険の大きな特徴の1つとして、要介護状態になる可能性の高い65歳以上の高齢者についても被保険者として位置づけていることがあります(「基本テキスト」1巻10ページ)。
 そして身体障害等の介護については、障害者関係各法で対応することを基本にし、介護保険法で規定する保険事故は、「加齢に伴う、要介護状態等」としました。そこで「加齢」という観点から、「65歳以上」と「40歳から64歳まで」と、2つに区分することにしました。
 65歳以上を「第1号被保険者」、そして40歳から64歳までを「第2号被保険者」と呼ぶことになりました。

被保険者の学習(2)「住所要件」について

 4つのキーワードのうち「地域保険」と関連しておさえてほしいのが「住所要件」です。強制適用される一定の要件の1つとして、先にお話しした「年齢要件」がありますが、もう1つ「住所要件」がありますよ。
 地域保険ですから、保険者が市町村および特別区(東京23区)となることは第2回でお話しました。したがって、その被保険者についても、その市町村に住所があることが要件です。住所があるということは、「住民基本台帳」に記載されているということになります。
 このことから、例えば年齢が50歳で、海外に長期赴任していて、住所が日本にない場合は、「年齢要件」は満たしていても「住所要件」を満たしていないので、「強制適用」されません。つまり被保険者とはなりませんよ。
 また、日本国籍を有しない方についても、3か月を超えて日本に在留する場合は、住民基本台帳法の適用対象となり、住民票が作成されますので、「住所要件」を満たしていることになります。(「基本テキスト」1巻55~56頁・「ワークブック」32頁)
 このように、地域保険であるために被保険者の要件として、「住所要件」をおさえておきましょう。

被保険者の学習(3)「医療保険の加入」について

 さて、「年齢要件」「住所要件」の2つの要件に加え、第2号被保険者(40歳~64歳)については、もう1つ要件があります。これは、介護保険運用上、加えられた要件だと考えられます。
 保険制度を健全に運営するためには、確実な「保険料」を徴収しなければなりません。「保険料」を解説するときに詳しくお話しますが、第2号被保険者から、確実に「介護保険料」を徴収する方法が検討されたときに、第2号被保険者の多くが「健康保険」や「共済組合」または「国民健康保険」といった「医療保険に加入」していることに着目されたのです。そのため、介護保険料の徴収は、それぞれが加入している医療保険者が医療保険料として徴収する際に、あわせて徴収することで、確実な徴収ができるように設計されました。
 そういえば私は、私学共済会という保険者の医療保険に加入していますが、毎月の給料明細の控除欄に「健康保険料」という欄があり、枠外に「介護保険料 ○、○○○円」と記されています。
 つまり、第2号被保険者の強制適用の要件は3つ「年齢」「住所」「医療保険加入」があるというわけです。

被保険者の学習(4)「医療保険の非加入」について

 ここで疑問が涌いてきますね。いや「わいてきてほしいのですが…」
 「医療保険に加入していない人って誰?」っていう疑問はないですか?

 はい。お答えしましょう。医療保険も社会保険ですから、強制適用となりますね。さらに医療保険の種類については、「職域保険」と「地域保険」に区分されます。(「基本テキスト」1巻35ページ)
 働いている40歳以上65歳未満の人は、基本的に「職域保険」に加入します。自営業や無職の人は「国民健康保険」に加入します。しかしながら、この国民健康保険には、「適用除外」という規定があって、生活保護を受けている人(「被保護者」という。)は、加入できないことになっています(「基本テキスト」1巻54ページ・「ワークブック」32~33ページ)。
 被保護者の方が、仕事に就いていて、職域保険にも加入していることは非常に少ないですから、被保護者の多くが「医療保険に加入していない人」となるわけです。つまり、生活保護の被保護者のうち介護保険の被保険者とならない人もいるということです。
 ここで間違えないでほしいのは、65歳以上の強制適用の要件には、「医療保険加入」は求められていないことです。したがって65歳以上の生活保護受給者は、「保護を受けているということ」=「住所がある」(生活保護は住所がある者に限られる)、年齢要件もOKということになり、第1号被保険者として強制適用されることになります。
 このように第2号被保険者の場合には違うところがあるので、しっかりとおさえましょう。試験でも頻出されるところです。

 来週は、被保険者の学習(5)から「強制適用」と「適用除外」について解説しますね。