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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

合格率が15.6%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部准教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

第23回 「ケアマネジメント論」7回目

あと3回日曜日が過ぎると…

 先週の私が大学で使っている「ケアマネジメント論」の試験問題はいかかでしたか? 何度も言いますが、ケアマネジャーになる介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネジャー試験)に「ケアマネジメント」そのものの試験問題が出ないことに個人的には怒りを持ちつつ、みなさんには基本的なところは押さえていただきたいと思い、今週も「ケアマネジメント論」を展開していきます。試験対策ばかりではなく介護支援専門員(ケアマネジャー)として仕事をする際にもご活用いただければと思います。

キーワードをあげてみると…

 先週お話させていただきました「ケアマネジメントのプロセス」について、キーワードをあげてみます。しっかりと説明できなくても、イメージしてみてください。

アセスメントの目的生活課題(ニーズ)を把握するため。
ニーズ優先アプローチ反対のことばは「サービス優先アプローチ」です。
生活課題とは何か生活するうえで解決しなければならない課題。
生活とは何か全体性・個別性・継続性・地域性というとらえ方が必要。
全体性を把握する身体機能的状況・精神心理的状況・社会環境的状況の相互関連性に着目する。

「ニーズ優先アプローチ」のために必要なこと

 介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者のニーズを的確につかむことができなければ、ケアマネジメントを行うことはできません。ケアマネジメントのプロセスでは、このニーズ(生活課題)を把握するために、「アセスメント」と呼ばれる利用者の生活の全体像の把握が求められます。

 そこで生活課題について、あらためてその「生活」とは何かということを考えてみましょう。

 生活については、「全体性」「個別性」「継続性」「地域性」といったキーワードが、『[七訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)ではあげられています。

 「全体性」とは、身体機能状況をアセスメントするだけではニーズは把握できないことを示しています。つまり生活は、その人の身体機能状況、精神心理状況、社会環境状況が、複雑に関連しあって存在するということです。

 たとえば、同じ身体状況の2人の高齢者がいたとしましょう。2人とも身体機能状況のアセスメントでは「片麻痺があり、一人でお風呂にはいれない」ということがあり、精神状況的のアセスメントには「お風呂に入るのが好き」とあったとします。ところが、社会環境状況が大きく違うとしましょう。Aさんは一人暮らしでアパートに住んでいる、Bさんは介護福祉士の娘と同居し、浴室をはじめに住宅全体が改修されていた、とするとこの2人のニーズ(生活課題)は、全く違うということもあるということはわかりますよね。

 このことからも的確なニーズ把握のために、アセスメントは生活全体を対象に行うことが求められます。さらにその生活は、それぞれの個人によっても価値観が違うものですし、現在だけではなく、過去があって現在があり、そして将来もあるのです。

 また、生活習慣や自然状況など“ローカリティ”(地域性、土地柄)が加味されて存在しているのが「生活」なのです。その生活していくうえでの課題を「ニーズ」としていることからすれば、ニーズ優先アプローチをすすめるためには、生活全体をアセスメントしなければならないのです。

 過去問題の選択肢で「身体状況が同じならば、生活課題も同じである」とか「身体状況のみアセスメントすればニーズ把握できる」といったものがありましたが、これらの選択肢は「ケアマネジメント論」を押さえていれば、適切でないことはすぐにおわかりいただけますよね。

ニーズの種類についても理解

 ニーズには利用者本人が気づいているものがあります。先ほどの例のAさんは当然「入浴したい」というニーズをもっています。そして介護支援専門員(ケアマネジャー)は、入浴のためのサービスを調整することになるでしょう。介護保険制度では利用者本位が基本ですから、利用者が生活課題としてあげることに対し、解決に向けて取り組むことが、介護支援専門員(ケアマネジャー)のスタンスとして必要です。しかし、実はニーズは、利用者本人が気づいているニーズだけではないのです。

 具体的にニーズは、3つに分類されています。

 本人や家族が気づいているニーズを(1)「フェルトニーズ」としています。いわゆる体感的ニーズです。

 そして、本人・家族は気づいていない、また隠されてしまって本人は感じていない、さらに将来的にはこうしたニーズも発生するだろうと専門職なら予測されるニーズもありますよね。こうした普通なら発生するであろうと思われるニーズを(2)「ノーマティブニーズ」規範的ニーズ)と呼んでいます。

 さらにケアマネジメントにあたっては、「フェルトニーズ」と「ノーマティブニーズ」をすり合わせることによって(3)「リアルニーズ」つまり「真のニーズ」を導き出すことが求められるのです。

 「いいなりケアプラン」という“いやな”表現のことばがあります。

 「いいなりケアプラン」とは、介護支援専門員(ケアマネジャー)が、利用者本位の姿勢を保つためだという理由で、利用者・家族の求めるサービスだけを求められるがままに組み込んでしまうケアプランのことです。確かに当面、利用者は満足するかもしれませんが、それでは専門職がかかわる意味がありません。専門的にかかわる意味を、介護支援専門員(ケアマネジャー)は、利用者・家族の求める「フェルトニーズ」を聞くだけではなく、「ノーマティブニーズ」を発見するとともに、そのことについても充分説明し、話し合いながら「リアルニーズ」としていくことこそが、専門職たるゆえんです。

ケアマネジメント後半部分のプロセス

 先週出した問題のをもう一度見てください。

 ケアマネジメントは、「I エントリー」「II アセスメント」「III ケアプランの作成」というプロセスから「IV ケアプランの実施」に至ります。さらにはケアマネジメントのプロセス後半部分として、「V モニタリング」「VI (フォローアップ)終結」のプロセスがあるとされています。

 「IV ケアプランの実施」でサービスを提供すれば、必ず利用者の状況は変わりますから、その状況を「モニタリング」していくと、新しいニーズが発生したり、ニーズがサービスを提供されても解決しないなどという状況が起こったりします。「フォローアップ」は、再度「II アセスメント」を行い、「III ケアプランの作成(変更)」等が取り組まれるという、繰り返しのプロセスのことをいいます。

 もう一つ「終結」がありますが、介護保険の場合のケアマネジメントの終結は、利用者の死亡、利用者の入所・入院、担当介護支援専門員(ケアマネジャー)の変更希望などで終結となりますね。

 そこでケアマネジメントプロセスの後半部分での大切なこと、つまりサービスの調整から「モニタリング」まで全体にかかわっていくことが、マネジメント(管理していくこと)を考えたときに、重要なキーワードとして次のようにまとめてみました。

ケアプランの作成利用者を中心にした計画であり、介護保険のサービスだけではなく、家族や近隣等のインフォーマルな資源も活用。
ケアプランの調整本人・家族を交えたサービス担当者会議の開催
ケアプランの実施本人の同意後、実施する
モニタリングの目的
  • (1)ケアプランが計画通りに実施されているか?
  • (2)ケアプランの援助目標が達成されているか?
  • (3)ケアプランにある個々のサービスやサポートの内容が適切かどうか?
  • (4)ケアプランの変更を求めるような新しい生活課題(ニーズ)は発生していないか?

 さらに、今日的なトレンドとして

ストレングスモデル身本人の「できること」「したいこと」「強さ」を生かす計画作成をしていく考え方が大切です。

 以上キーワードとして列記し、少し解説をしてみました。しっかりと押さえておいてほしいと思います。

 試験まであと4週間を切りました悔いのないような準備をお願いいたします。

 来週からは、「介護支援分野」のまとめに入りたいと思います。すこし予想問題も入れていきたいと考えていますのでよろしくお願いいたします。