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林先生の受験対策講座

林 和美 (はやし かずみ)

合格率が15.6%という超難関のケアマネ試験。この狭き門を突破するためには、ポイントを押さえた効率よい学習が不可欠です。このコーナーでは、「介護支援分野」について、その秘訣をガイドします。
※毎週火曜日更新!

プロフィール林 和美 (はやし かずみ)

国際医療福祉大学医療福祉学部准教授。
研究領域は、ケースマネジメント・高齢者福祉・地域支援ネットワーク。特養、在宅介護支援センター勤務などを経て、教育の場へ。現在は大学でソーシャルワーカー育成に尽力されています。

第12回 第4単元「保険給付」3回目

「地域支援事業」について予習してきましたか?

 2014(平成26)年の介護保険法改正では、要支援者に対する「予防給付」のうち「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」が廃止されました。これらのサービスはどうなったかというと、市町村が2017(平成29)年度末までに、2011(平成23)年の介護保険法改正でこっそりと位置づけてあった「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)に切り替えていくことになっています。

 このことは、市町村がどのようなサービスを新しく組み立てていくのかが大きなポイントになることと思われます。現在、市町村では急ピッチで、「生活支援コーディネーター」を配置したりして、「総合事業」の体制整備に向けた「協議体」での検討が進められています。しかし、「総合事業」を実際に行うのは、住民参加による「多様な実施主体」とされ、これまでの指定介護予防事業者のような法人格といったものがなくても、住民が中心となって行う活動や、コストの安いサービスであってもよいとか…。聞こえてくる内容だと、事業の継続性などいろいろなことが心配になってしまいそうですね。

 さらに市町村ごとの独自事業も展開するとはいえ、「市町村格差」といったが現実として起きてきますね。このあたりのことを心配しているのは私だけでしょぅか…。「消費税を上げない」から「社会保障も上げられない」と国は説明しましたが、介護保険制度はこれからどうなっていくのでしょうか? もはや「介護の社会化」とか、「利用者本位」だとか介護保険制度創設の理念(『[七訂]介護支援専門員基本テキスト』(「基本テキスト」)1巻10~11ページ)はどこへ行ってしまうのかと思います。

 さて、今週は新しい「地域支援事業」と「地域密着型サービス」についてお話します。

 まず、はじめに「地域支援事業」について解説していきます。先ほどお話したとおり「介護予防・日常生活支援総合事業」(総合事業)の実施については、すべての市町村が2017(平成29)年度末までに実施し、移行を完了しなくてはならないのですが、移行時期は各市町村が判断することになります。

もともと「地域支援事業」とは何だったのか?

 この「地域支援事業」が実施されるようになったのは、2005(平成17)年の介護保険法の改正によるものですね。

 ご承知の通り、「地域支援事業」は「保険給付」ではありません。「地域支援事業」は「介護予防事業」を中心に展開するために、介護保険の財源(介護給付費の3%以内)を使って実施されている事業で、近年の「地域包括ケア」を推進するための大切な事業です。

 「基本テキスト」でも、第1巻180ページからかなりのページが割かれ、「基本テキスト」のなかでも重要な位置を占めているということを示しています。また「地域支援事業」を実際に行う「地域包括支援センター」も含めてページ数も多くさかれています(「基本テキスト」第1巻180~193ページ・『ケアマネジャー試験ワークブック2016』(「ワークブック」)2~13ページ)。

 介護保険法は、当初から施行後5年の状況を見て、大幅な改正が行うことが「附帯決議」されていました。これは、介護保険法にはいわゆる「見切り発車」的な事項も多く、「走らせながら考える」状況だったからでした。

 私自身も「要介護認定の調査を委託することは、保険者としての怠慢ではないか?」とか「要介護状態の人に給付をするのが保険であって、要支援や援助の必要な人については税金(公費)で対応すべきではないか」「ケアマネジメントの必要な人とそうでない人もいるのに全員に位置づけるのはおかしい!」など、多くの疑問を介護保険法施行当時も、そして現在ももっています。

 こうしたなか、2000(平成12)年に介護保険法が施行されて5年の2005(平成17)年がやってきました。

 状況的には制度施行の5年間で保険給付にかかる費用が急増したという大きな課題がありました。そこで「制度の持続可能性」という観点から、当時は「要支援」「要介護1~5」という6区分だったのですが、「要支援1・2」「要介護1~5」という具合に、「要支援2」という新しい区分を取り入れ、7区分としたのです。「要介護1」の人を「要支援2」と「要介護1」に分け、「要支援2」と認定された人は、「要介護1」より、区分支給限度額を6万円程度下げれば、少なくとも保険給付費を下げることができるとされたのです。

 また、要介護認定等を受ける人の要介護状態区分の伸び率についてみると、当時の「要支援」「要介護1」の区分の伸び率が非常に高かったのです(「基本テキスト」第1巻13ページ)。そこで財源抑制のために、「要介護状態」や「要支援状態」にならないようにする「介護予防」という考え方が示されました。

 そこで、介護予防をどのような展開をするのかを検討した結果、介護保険財源(保険給付費の3%程度)を使って「地域支援事業」を位置づけ、「介護予防事業」を市町村の必須事業として位置づけたのです(「基本テキスト」第1巻13ページ・「ワークブック」111~123ページ)。