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半側空間無視のある人とのコミュニケーション

【Q】
半側空間無視のある高齢者とのコミュニケーションの工夫について教えてください。

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【A】
半側空間無視の特徴と日常生活への影響
 半側空間無視とは、自分の正面を境界にして、右側あるいは左側にある物や人を無視する状態です。脳のある部位が損傷すると、どちらか一方の方向に注意が向かなくなってしまいます。
 左側を無視する人が多く、発症してから間もなく治ることも多いですが、治らない場合は長期にわたって症状が続きます。脳卒中や頭部外傷などで発症する高次脳機能障害の1つです。左側を無視する場合(左半側無視)を例に説明しましょう。
 左半側空間無視の人は、自分の目の前に置かれた絵をまねして描くように言われると、のように、自分の右側に見える絵しか描きません。左側にも同じように絵があるのに、それに気がつかないのです。
 この症状は、左側に置かれたお椀やお皿に気づかずに食べ残したり、移動するとき、左側にある手すりの突起に気づかずぶつかってしまうなど、日常生活でも大きな支障が生じます。
 それでは、左半側空間無視の人とコミュニケーションをとる際の問題は何でしょうか。1つ目は、自分の左側にいる人に気づかないことです。そこに人がいると思っていないので、話しかけられても気づかなかったり、ひどく驚くことがあります。2つ目は、自分の前に置かれた文字の左側を読み落とすことです。左半分を読まないので、文章を飛ばして読むことになり、結局意味がわからなくなります。3つ目は、自分にそのような症状があることを自覚しないことです。「左側を見ましょう」「左側に気をつけましょう」と言っても、注意を向けることができません。

≪図≫ 花の絵の模写における誤反応の例
20111013.gif


特徴を踏まえたコミュニケーションの工夫
 左半側空間無視の人とコミュニケーションをとるときは、それら3つの特徴を踏まえた工夫が必要です。
 まずは環境整備です()。ぶつかりそうな障害物があったら取り除く、大切な物は右側に置くようにするなど、半側空間無視があっても安全に生活できる環境を整えることが大切です。
 次に重症度別の対応です。症状が重度の場合は左側を完全に無視するため、右側からの話しかけ、文字を右側にずらして読みやすいようにするなどの配慮が必要です。
 症状が軽い場合は、注意を促すことで多少症状が改善されるので、あえて左側から話しかけたり、文章を本人の正面において「左のほうも読んでください」と指示するなどの働きかけが有効です。

≪表≫ 左半側空間無視に対する環境整備
安全 ベッドや本人がいつも座るいすを右側にする。
左側の障害物(いす、箱、カートなど)を除去する。
左側に危険な物を置かない(とがったもの、熱いもの、液体など)。
車いすの左側のブレーキのかけ忘れに注意する。
コミュニケーション 右側に立って話かける。
気づかないときは、身体に触れて注意を促す。
視線を合わせて話す。
食事 トレイを右側に置く。
トレイの左端に目印をつけて注意を向かせる。
左側の食べ残しを指摘する。

出典:飯干紀代子『認知症の人とのコミュニケーション 感情と行動を理解するためのアプローチ』中央法規出版、2011年


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